~「踊る」管理官たち~

1984年から1989年にかけてパファーマンスの歴史を築いてきた男たち「一世風靡SEPIA」。
劇男・一世風靡の中から音楽活動をするために「手」をあげて出てきたリーダー・小木茂光を始めとする彼らは、以後六年間にわたりコンサートツアー、プロモーションビデオ、レコードの作詞・作曲、本の出版、映画と多彩な活動を試みる。
そして、彼らはいう。
「あくまでも本業の傍ら・・・」と。
社会に媚びず、観客に媚びず、あくまでもパフォーマンス(表現)を追求して彼らは集った。
解散して十数年目・・・。再び彼らの姿を記憶の中から呼び起こそう。

SEPIAニュース

最終更新 03.10.24 

一世風靡SEPIA  DVD発売情報


「セピア・ファンタム+現在(いま)が好きです」
DVD (2003/12/21) 徳間ジャパンコミュニケーションズ
価格: ¥3,000


「SEPIA FINAL」
DVD (2003/12/21) 徳間ジャパンコミュニケーションズ
価格: ¥3,000



ニューヨーク公演のプロデューサーのお一人、
マリオ山口氏のインタビュー記事が下記のサイトさんで紹介されています。
http://discotimemachine.at.infoseek.co.jp/index.html

一世風靡SEPIA CD「シングルス」
(徳間ジャパンコミュニケーションズ) 
03.02.26発売

シングルカット版の集大成2枚組
封入特典は、シングルオリジナルジャケットCDサイズ復刻版(10枚)

これまでレコードB面のみに収録された『
「現代版」日本男児唯唯唯男
(シゲさんが「笑っていいとも」ゲスト出演時にすっかり忘れて「あれれ・・・?」になってしまった曲)や
「月姫と右京太夫の恋煩い 」、「?HOTEL 」などよく知られているメジャー路線とは
また一風変わったSEPIAの楽曲をお楽しみください。

1枚目
トラック:1.前略、道の上より 、2.セピアカラー 、3.賽を振れ!、4.セピア狂想曲~暗褐色ラプソディー~、5.風の唄 6.落日間際の秋 、7.花鳥風月、8.戦いの唄、9.善い酔い嘉い 、10.「現代版」日本男児唯唯唯男
2枚目
トラック:1.我が愛しき犯罪者たち 、2.神の摂理を知らされたまふ 、3.夢色一つ飛び!、4.月姫と右京太夫の恋煩い 、5.汚れちまった悲しみに 、6.幾時代ありまして 、7.こっちから願い下げだぜ!~OVER THE END~、8.?HOTEL 9.SHIBUYA 、10.THANKS

「一世風靡セピア」プロフィール(1984年秋、公開されたもの)

メンバー 呼び名 職業 出身地 血液型 生年月日 身長 体重
小木茂光 シゲ
(リーダー)
ファッション&
グラフックデザイナー
福井県 1961.11.28 183 65
武野功雄 イサオ そば屋主人 埼玉県 1959.11.17 175 65
春海四方 ハル アパート管理人 東京都 1959.03.22 172 70
柳葉敏郎 ジョニー ダンス・インストラクター 秋田県 1961.01.03 171 57
哀川 翔 ショウ フリーライター 鹿児島 AB 1961.05.24 178 60
松村冬風 マツ パソコン・エンジニア 群馬県 1961.07.05 172 56
西村香景 ニシ パントマイム・ダンサー 大分県 1961.07.14 170 56


-映像編(ビデオ・リスト)


「現代(いま)が好きです」 1984.6.25  徳間ジャパン  1st ビデオ 2003.12.21 DVD版発売

「前略、道の上より」「セピアカラー」を収録。アルバム「道が俺たちの背を押した」(1th)よりシングルカット版された二曲のプロモーションビデオ。シゲは、私立探偵である。ジョニーは、コック。「25.03」昔の仲間であるマツに呼び出されたメンバーが、倉庫で殴り合ったあげくに聞こえてきたリズムに再び青春の日に立ち返り踊るというストーリー。印象的なのは、グルグル回る風車の様な影。コレは、その後の「セピア・ファンタム」にも受け継がれる演出方法。映画「エイリアン」でもおなじみの不安をあおるアレである。ちなみに「おすすめ」入り口にもある。殴り合いのシーンでは、あまりのすごさに監督が止めに入ったという曰く付きのものらしい。
「Sepia Phantom」 1985.10.25  徳間ジャパン   2nd ビデオ  2003.12.21 DVD版発売
ファンタムとは、幻想のことである。今回は、メンバーが、一人一曲ずつに個人を描き「それぞれの朝」をテーマにイマジネーションをかき立てるビジュアルが展開される。能楽堂や城、ビル街など全編ロケーションでズートスーツ以外の姿をみせることでも話題になったらしい。撮影は、横須賀、千葉、大手町、調布、静岡でおこなわれている。また、同時進行でメンバーによる作詞作曲の3rdアルバム「街よ崩れるように笑いなさい」を制作していたため、相当なハードスケジュールだったらしい。

1.朝  (BGM)オルゴール  
 メンバーがそれぞれの部屋で眠っている。(ジョニーは、ソファ。シゲは、デザイン画に囲まれたデスクの革椅子。)

2.「DAY LIGHT」・・・ジョニー
 朝、トレーニング用具に囲まれたジョニーが、ソファの上で目覚めると奇妙なことが起こりはじめる。コーヒーメーカーのお湯が勝手に沸いたり鉄アレーが転がったり・・。そして、そこに突然聞こえてきたのは、「DAY LIGHT」。風と共にやってきた破壊者たちは、困惑するジョニーの前で破壊の限りを尽くす。(ちなみにシゲが持っていたのは、ハンマー)。我に戻ったジョニーがほっとしたのもつかの間、窓の外には、年老いた白髪の自分が立っていた。

3.「賽を振れ!」・・・マツ
 車の中で寝ていたマツが目覚める。ドラキュラの貯金箱にお金を入れると奇妙な手がそれを箱に引き入れる。と突然、見えない力に投げ飛ばされる。衝動に駆られて逃げるマツを追いつめる大男。捕まって投げ込まれた先には、生け贄に選ばれた男たちが痛みにうめいていた。そして、動けない男たちをさらに暴力が襲う。そこに響くのは、サディストたちの笑い声。しかし、瀕死のニシがカセットテープをデッキに入れると・・・。男たちは、音楽に勇気づけられ踊り出す。表現するのは、戦い。扉を開けて出ていく男たちのシーンは、やがて階段へと移動する。

4.別れ・・・イサオ
 公衆電話でなにやらうち合わせをするイサオ。始めは、みんなで待っていたが、待ちきれずにジョニーを先頭に階段を上っていってしまうメンバー。電話をおえてタバコを手にするイサオ。最後まで待っていたのは、リーダーのシゲ。しかし、イサオは、そこで新たなる自分の道を指し示す。シゲは、一度だけ頷き振り返らずに階段を上がっていく。この日から「一世風靡SEPIA」のメンバーは、6人になった。(ちなみにイサオこと武野さんは、本業の「そば屋」に専念したいという理由でSEPIAを卒業。劇男の活動は、継続する。その後、融合事務所では、ギバの「チャンネル13」(ファンクラブビデオ)などで司会者として大活躍している。キバと武野さんの組み合わせは、ほとんどコントである。)

5.「道からの組曲」・・・ニシ
 ニシのパントマイムショーより床屋さんのシーンが始まる。そして、たき火に当たるシーンへと移りやがてたき火は、篝火へとオーバーラップしていく。そして、能楽堂での「道からの組曲」が始まる。間奏場面では、たすき掛けの彼らが雨の中で斬り合い討ち死にする姿が映し出されている。

6.「セピア狂想曲」・・・ハル
 ハルさんが、鏡の前で絆創膏を選んでいる。口を濯ぐと次は、本日の帽子を選ぶ。そこに一通の手紙が・・。それを破り捨てると場面は、桜の舞い散る城の中庭へ移る。「セピア狂想曲」を踊るメンバー。季節は、春真っ盛り。天守閣で三味線を弾くパントマイムが、印象的。

7.「風の唄」
 ハンモックで目覚めたショウは、朝食のレモンをかじりながらフィルムの編集を始める。映し出されるのは、道、空、林、森の映像。そこに聞こえる祭りの音と花火。そして、映像は、草原へと変わり「風の唄」のダンスパファーマンスが始まる。青い空と若草の中踊るメンバーは、実に若々しい。ジョニーのすぐ後ろで踊っているシゲとのツーショットが泣かせる。

8.「街で生まれた唄」
 ラストは、デザイン中のシゲ。なかなか構想がまとまらずにタバコを片手にオフィスの窓から街並みを見下ろす。そして、しばし休憩に向かったのはガレージ。そこにいるのは、愛犬のボクサーと愛車のハーレー。手慣れた様子でエンジンの分解を試みるシゲ。でもなぜか最後にねじが一本余った。「まっ、いいか・・」とそれを後ろに投げ捨てる。いいのか?ホントに・・・?思わずつっこみを入れたくなるこのシーン。こだわらない性格とこだわる性格。まさにこのいい加減さがB型。嬉しくなるさりげなさ?である。

9.エンディング
  一人ずつ集まってきて「街」を歩く6人。そう、「道」を歌い「風」を歌ったセピアが「街」を歌ったのがこのセカンド・ビデオ「セピア・ファンタム」なのである。



「La.Boratoira」(ラ・ボラトワール) 1986.7(一般販売1987.12) 3rd ビデオ
 
 実験室(ラボ)の名を冠したサードビデオは、1987年のツアータイトルにもなっている。
 内容は、3rdツアー「EXPERIMENT GAME」(野外ライブ)と4thツアー「街よ崩れるように笑いなさい」'86渋谷公会堂のライブコンサートの様子を記録したものである。

第一部「EXPERIMENT GAME」(YOMIURI EAST 野外ライブ)

  
1985年8月2、3日より福井県朝倉遺跡を皮切りに全国七カ所で行われたサマーイベント。
8/8福岡ロフトストリート(KBC横・福岡ボート駐車場)、8/10.11読売ランド、8/14.15京都・円山音楽堂、8/16名古屋城野音、8/18盛岡・岩山パークランド、8/25青森・浅虫海岸、料金は、2700円~3000円だった。

  テーマは、「祭」。静と動の融合を試みる彼らは、「6人が18人に見えるように動く」という過酷な構成に挑む。「前やったことと同じことは絶対しない」彼らのポリシーが炸裂する。

1.「DAY LIGHT」
 素肌にズートスーツ姿で歌うメンバー。全員がマイク片手。すでに背中は、汗でびっしょり。

2.和太鼓と笛(BGM)
 和太鼓をたたく動きで踊るシゲ。ジョニーは、背中向きに台の上で踊っている。三味線に合わせて両腕を広げてゆらゆらするジョニー(鳥の様な動き)。ステージに走り出ると扇子を出してみんなで太鼓を打つまね。さいごは、あぐらで座る。響くドラム。そして、立ち上がるメンバー。

3.「セピアカラー」
 おなじみダンスパフォーマンス。照明がエキサイティングに変わる。漂うドライアイスと浮かび上がるシルエット。それが、「一世風靡SEPIA」の世界。『戦う強い男』がそこにいる。

4.「フィレンツェからの風」
 シゲとマツのセッション。シゲは、ひたすら客席にガンを飛ばしまくる。威嚇しているのか?すごい迫力。
 にこりとも笑わない彼らがクールで衝撃的だ。一倉君が、歌っている・・・。

5.「賽を振れ!」(メンバー全員)
 踊るジョニーの横でシゲが歌う。雨が激しく降っているなか、バクテンするメンバー。後ろの中央にシゲ。そして、一斉に上着を脱ぎ投げ捨てる名場面。このとき、シゲは、髪の毛やや長め。そして、真ん中分けだ。そう・・・まさに一倉君だ。歌の合いの手にはいる「・・あーあー・・」の色っぽいことといったらない。

6.「やがて来る日」(メンバー全員)
 ドライアイスが漂う中メンバーが歌う。飛び散る汗。歌っているときは、微動だにしない彼らと宙に舞う彼らは、まさに『静』と『動』を自在に使い分けている様に見える。セリフが入るのもこの歌の特徴。切なくメンバーの声が響く・・・。そして、歓声が彼らを包み込む。

インターバル・・・街の風景とメッセージが流れる。
   ・・・セピアは、無国籍ジャパン、エクスプレーションにこだわり続けてきた・・・。


第二部「街よ崩れるように笑いなさい」4th 渋谷公会堂

 12月25日にリリースされたサードアルバム「街よ崩れるように笑いなさい」同名の4th全国ツアー。
 1985年12/6千葉文化会館より四ヶ月にわたる彼らのハードスケジュールは下記の通りである。
 12/8埼玉会館、12/10山梨県立県民ホール、12/20徳島文化ホール、12/21高知県民文化ホール、12/23高知市民会館、12/24松山市民会館、1986年1/5.6.7渋谷公会堂 、1/10旭川市民文化会館、1/11.12札幌厚生年金会館、1/20倉敷市民会館、1/21広島郵便貯金会館、1/22山口市民会館1/23島根県民会館、1/25.26名古屋市民会館、1/27.28大阪厚生年金会館、その他2月13カ所、3月15カ所、4月四カ所、料金はいずれも3000円前後だった。
 
1.「輪の中より、草々」
 花火と紙吹雪の中、宙を舞うメンバー。照明の効果もあっていったい何人いるのか?と目を疑う動きを披露する。逆光の中に立つメンバー。

2.「戦いの唄」
 くるくる回る振り付けとフォーメーションを決める唄と踊りが印象的。シゲの前髪は、少し伸びていた。

3.「晴れに唄えば」~フィルム~
 雨の中を泥の田圃で戯れるメンバー。童心に戻り、大の大人が遊んでいるのがとても微笑ましい。後のクリーニングは、大変だったに違いない。まさにどろどろ・・・。誰の車に乗って帰るのかな・・。

4.「天地の舞」太鼓のリズム
 小気味良いリズムで時間差で足を動かすメンバー。気合いのはいる踊り。一糸乱れぬ動きがお見事。

5.「街よ崩れるように笑いなさい」
 交代でボーカルを取るメンバー。間奏の動きが目を見張る。ショウ&マツが、歌いそして、ラストにジョニーの声に被さるようにシゲが入ってくるところが圧巻。一回り深い声量のシゲが、心地よいハーモニーを醸し出す。メンバーのポートレートと「道」、セピアの旗が映し出される。

6.「未だ遠い道」
 もっともメロディーに時間を費やしたと言うだけあってしみじみと響くメロディーと歌詞。ギター片手にオギシゲがソロで歌う。セピア色のライティングの中、メンバーの姿がオーバーラップしていく。そして、場面は、劇男、一世風靡メンバーのピクニックの様子へと変わる。車から降りてくる一同。土手に座って弁当をほおばるニシ、ハル、マツ。立ったまま食べているジョニー、水を飲むショウ、タバコをふかすジョニー。

7.「街で生まれた唄」
 バケツで水を掛け合うメンバー。踊る彼らがスローモーションで映し出される。客席の合唱と共に去っていくメンバー。

8.エンディング
 ツアー終了後のパーティ。タキシードに身を包んだ彼ら。噴水のそばで打ち上げしている。メンバーが、一同に介して酒を飲むのは一年に一回この日だけ。メガネをかけているシゲ。噴水に落とされるニシ。どこまでも濡れるのが好きな連中なのか?タバコをすっているシゲ。セピアの写真。パーティの参加者がオーバーラップする。そして、エンディングテロップが流れ出し、噴水の前の六脚の椅子に一人ずつメンバーが座る。始めに登場したのは、ジョニー。すでにびしょびしょのニシは、噴水を横断して登場する。ラストがシゲ。そして、劇男のメンバー。最後は、水を掛け合って終わる。やっぱり濡れるのが好きなのか・・・。誰かが登場するたびにくすくす笑うメンバーが微笑ましい。一体どんな話をしているやら・・・。
4thツアー補足(「パチパチ」1986.2より)

1. ビデオには収録されていないマツのソロ。「街はREINをCALLして」では、『・・・濡れながら君を抱きしめる・・・』と手を体に這わせながら歌ったらしい。「冬が得意なスレンダーな男」マツの色気・・・。見たかったぞ。
2.ショウのマイクさばきが会場の目を釘付けにしたらしい。チャーミングな悪ガキ・・・なるほどである。
3.クールに燃える男・シゲのコメント「プレッシャーを跳ね返して、私なりに必死に向かっていきたい。ステージでこんな気持ちになれることを感謝したいと思います」
4.鋭い眼光のジョニーのコメント「始まったばかりで、頭ん中こんがらがっているけどまたこうやってあえて、何かを見つけてくれたら満足です。」
5.ツアー初日のプログラム(その後変更された)
 春海四方の演説で始まるオープニング。続く「扇の舞」
 1.「夢、何処」2.「CUT DOWN」(ジョニー&シゲ)3.「ETHNTC TOWN」(ショウ)4.「パントマイム・ジェニー」(ニシ&ハル)5.「賽を振れ!」6.「I SHOULD SO LONG」7.「街で生まれた唄」


「NICE GAME」   1987.2(1988.2.11一般発売 バンダイ)  4thビデオ

SEPIA-MOVIEである。策略の松村、管制の小木、混沌の柳葉、哀川の怒気、春海の勇健・・・。そして、香景のおとぼけ・・。ここに「NICE GAME」が始まる。

〈ダイジェスト・ストーリー〉
 カケイは、映画の中の兵士の役柄である。しかし、撃たれても死ななかった為にそのシーンは、カットされてしまい後輩にまで文句を言われてしまう。そこにカケイの婚約者が弁当を持ってやってくるが、詰め寄る後輩を一撃してしまう強いお姉ちゃんである。
 場面かわってベットで戯れる男女。カケイとその婚約者である。結婚とハネムーン・・・その資金繰りにカケイは、苦慮していた。 
 ハルは、アパートの管理人である。爪を切って飛ばし記録を更新している。そこにはしごを使ってやってきたのが、カケイである。定規を使って器用に窓を開けるが、ハルは胡散臭そうに追い払う。
 外には、一台の車が止まっている。そこに電柱から下りて来た一見NTTの職員風の男。実は、探偵をやっているジョニーの子分である。そう・・彼は、有名人の浮気の盗聴をやっているのである。そして、それをネタに金をゆするのが目下の仕事だ。「N.T.T」とは、「日本テレフォン盗聴」の略だった。そこにカケイがやってくる。しかし、ジョニーは無視を決め込み車を出発させる。かかわりたくない・・。全身で訴えていた。
 シゲは、歯科医である。でも免許は持っていない。カリスマ歯科医なのか?ちょっとサドでマッドなティスト。そこにカケイから電話が入る。しかし、シゲも取り合わない。
 ショウは、ストりップ小屋の裏で売春を斡旋する仕事をしている。そこにカケイがやってくる。「貧乏神がきた」と大暴れするショウ。
 そして、最後に実験室にこもってなにやら研究をしているマツ。そこにカケイがやってくる。
 「この部屋の空気は、少量の毒ガスで汚染されている。防御マスクをつけた方がいい」
 ふたりは、対面式のコンピューターでチャットを始める。
 「香景。なんのようだ」
 「いまだ前のことを怒っているのか?」
 そう、以前カケイのたてた計画でメンバーたちは、仕事や女を失ったのだ。
 「今度は、マツの計画でNICE GAMEしようぜ・・」
 カケイの呼びかけにマツは、策略を立てる。カケイは、マツを始めとした他のメンバーの秘密を握っていたのだ。
 集まったメンバーに策略を説明するマツ。だが、カケイが一緒であることに全員が反対をする。
 しかし、「婚約者の為に何かをする」ことが、自分を中心にして生きてきたメンバーの心を動かす。
 そして、NICE GAMEが始まった。
 計画は、誘拐事件をでっち上げ預金をネタにまんまと金庫を開けさせて銀行から金を奪うというものだ。ターゲットは、王和銀行。参加費用は、一人100万円。ハルは、預金者、夏山五郎の役。シゲは、捜査課の大林警部。同じくマツは、捜査課のオギ里警部補。そして、途中で入ってくる刑事にショウ。電話の対応にジョニー。そして最後の逃走車両係りがカケイ。金庫を開けさせたときに蒔く毒ガスは、マツが作ったものだ。
 各自が役割を理解したところで計画は、実行に移された。しかし・・・。
 結局は、担保に成るはずの600万円をハルのアパートから通帳と印鑑を盗んだカケイがさっさと引き出しハネムーン代にしてしまう。
 最後に夢の島のドラムカンの中にクッションに押し込まれた手紙を発見する五人。
「結婚のお祝いアリガトウ」
 そのカケイの言葉にクッションをけっ飛ばし笑うしかない男たちだった。
 そう・・・クッションは、蹴飛ばすためにあるのさ。・・・という話。
 
 ダンス・パフォーマンスで見る気合いの入った彼らとは、まったく違う面を見せてくれるこのビデオは、役者としての現在の彼らの片鱗を伺うことができる。まさにNICE GAMEなおもしろさである。

「或る時、道の夢太郎」SATYRIKON'87 1987.劇男一世風靡夏季演劇特別公演
(2000.12.29挿入)
 1987年8月15日より築地本願寺の境内で上演された劇男・一世風靡による夏季公演の様子を収録したもの。
 「しばし、うつつをぬかそうぞ」というサブタイトルにふさわしく古代ローマと現代を融合させ、退廃と未来への希望を劇男のメンバーが個性豊かに演じている。
 平賀団長のエンコルビオを主演に古代ローマの富豪・トリマルキオを小木リーダーが演じている。
 舞台は、屋外の特設ステージとあって不思議な空間を感じさせる。
 又、緊張の中に笑いもあって劇男らしい演出。特に小木さんの関西弁と芝居がかった言い回しのギャップが、迫力と重み、軽快さを感じさせてくれる。団長の熱演も圧巻。そして、途中で牢獄に繋がれた青年役で登場するジョニーは、やはり誰よりもプロの役者だった。

  〈ダイジェスト・ストーリー〉2002.12.28 挿入
 
第1場 廃墟
 炭坑の廃墟に逃げてくる青年二人。主人公エンコルピオ(平賀)とギトン(米山)。彼らは、何者かに追われている。「俺のオヤジは、ここで死んだんだ」と語るエンコルピオ。「じっとしているのは、嫌だ。どこかに何かあるかも知れない」というギトン。そんな二人の前に自らを「地獄へ誘う水先案内人」と名乗るアシルト(松村)が登場する。

第2場 パスタ屋の店先
 詩人兼パスタ屋の主人・エモルポ(武野)に出会う3人。かつてコマーシャルソングをヒットさせ、一流の料理評論家ともてはやされてパスタ屋を営むようになったエモルポだが、行列をなしている客達は、少しも彼の詩に耳を傾けようとはせず、ただ他人がそうするからという理由でその店先に並んでいるのだった。そこに富豪トルマルキオの使(中野)がくる。そして、彼らは、パーティに出かける。

第3場 トルマルキオ邸の大広間
 4人をもてなす大富豪トルマルキオ(小木茂光)。(シナリオも関西弁)旅をするエンコルピオたちにここに留まれと言うが、彼らは、即座に断る。怒ったトルマルキオは、自らの権力を誇示する為に料理人(中野)にブタの丸焼きを持ってこさせる。その腹の中から現れた少年(勝俣)が、主人の寵愛を受けんと賢明に道化を演じると小姓(西村)も張り合う。その様子を見て一つの詩を披露するトルマルキオ。だが、それはコピーだと3人が非難する。結局、宴会は、めちゃくちゃになる。
 
第4部 街頭
 トルマルキオの屋敷を出た三人の後を小姓がついて来る。しかし、金持ちに従属することに慣れきった小姓を3人は、拒否する。少し行くと時間に追われた男(工藤)がやってくる。男は、風を追いかけて3人の前を通り過ぎる。やがて、老婆ハビンナス(春海)が登場する。老婆は、3人に「天国が見たくはないか」と言う。興味を示す3人。

第5部 ヘルマフロディテの神殿
 3人の前に天国の門番(米満)が現れる。そこから中に入る為には、人並みであることが条件だと言う。それなら簡単だと答える3人。だが、それは、意外と難しい。結局、3人は、老婆の計らいでその門の中に入る。「神の酒」を振る舞われるた3人は、たちまちまやかしの快楽に包まれる。ナルシズムに酔うギトン。蠢く虫に身を委ねるアシルト。心を手放すまいと最後まで抵抗したのは、エンコルピオだった。

第6部 牢獄
 牢獄に入れられた3人は、そこで「殺し合いをさせられた男達の話」を聞く。
(差し込み演出・・・ビデオでは、柳葉氏が、男1を演じている。それを助けに来る男2.3に哀川、山口の両氏)
 驚きながらも自分たちは、そうはならないと励まし合う3人。ここでエンコルピオとギトンの物語が、語られる。ギトンは、城に住む化け物にイケニエにされるところをエンコルピオに助けられ逃げている最中だった。思いがけずとらわれの身となり、これまで出会った人々を非難し始めるエンコルピオ。責められてアシルトは、激怒する。3人の間に始めて走る緊張。そこにトルマルキオが老婆ハビンナスを伴って再び登場する。ギトンを解放するという彼ら。ただし、エンコルピオとアシルトのうちから一人だけを連れて行くことが条件だった。自分が選ばれると思っていたエンコルピオだったが、ギトンが選んだのは、なんとアシルトの方だった。

第7部 街角(A)
 街角にいるギトンとアシルト。残してきたエンコルピオの事が気になるのかギトンは、いつまでもその街を離れようとはしない。アシルトは、なぜギトンが自分を選んだのかを察していた。パスタ屋のエモルポの助けを借りてエンコルピオを脱出させようとする2人。そして、差し入れられた糸ノコを使ってエンコルピオは、無事脱出に成功する。
 
     街角(B)
 エンコルピオと再会したアシルトとギトン。なぜ自分を置いていったのかと詰め寄るエンコルピオに「途方に暮れているあんたを目覚めさせるためにやったんだ」と必死で説明するギトン。糸ノコの差し入れが、彼らの仕業であったことを知りエンコルピオは、また3人で旅を続けることを承諾する。そこにエモルポが再び登場する。病に犯されたエモルポは、自らの死体を食べたものに遺産を与えるという遺言状を作ってしまったばっかりに群衆に追われていた。そして、3人に詩人の魂を蘇らせてくれた礼に、時をさかのぼり夢という風を帆にはらんで進む一艘の船を贈った。

第8場 廃墟から船へ
 衰弱するエモルポを背負って逃げる3人。船は、何処にあるのかと問うアシルトにエモルポは、「船は、信じる者の前にあらわれる」と言い残し息絶える。群衆との乱闘がついに始まる。エモルポの死体は、群衆に食べられ3人は、骸骨になったエモルポと一枚の地図を見つける。アシルトが「船が見つからないのは、その話を信じていなかった自分のせいかもしれない」と言い出す。そして、負傷した自分を置いていくように言う。
「俺たちは、仲間じゃないかと」言うエンコルピオだったが、感謝しながらアシルトは、絶命する。
「また、振り出しに戻ってしまった」と言うギトンに「他人の夢をたくされるのにふさわしい人間になるために旅をしているのではないか」と考え始めるエンコルピオ。
 そして、エモルポやアシルトの夢を咲かせようと決意する二人の耳に波の音が聞こえる始める。
 そこに「風」を捕まえようとしていた男や小姓たちが現れる。今度は、みんなに船に乗れと告げるエンコルピオ。
 だが、いよいよ出航という彼らの前に、突然、トルマルキオ、老婆ハビンナス、エモルポが現れる。大渦を予言する老婆。後悔の涙で津波が来るかも知れないと皮肉るトルマルキオ。
 しかし、エモルポは、どんなことが起きても恐れずに行けと言う。
 その言葉を信じた時、ついに船は、本物となりエンコルピオは、声高らかに出航を合図するのだった。
                          ~幕~

考 察
 ビデオ版では、場面が入れ替わっていたり割愛されていたりと少しわかりにくくなっているが、シナリオ通りだと上記のようになる。ここでは、あらすじとしてまとめてみた。劇男・一世風靡らしく「留まる事、他人に縛られること、既成概念」などを否定し、「夢」「仲間」「希望」を中心テーマに据えている。また、劇中登場する人物達は、現在社会の風刺画的存在であり、それぞれがメタファー(隠喩)に富む存在となっている。終盤、希望に燃えて出航しようとする若者達の前にトルマルキオや老婆ハビンナスが、再び登場し警告を与える。彼らは、何かをなそうとするときに立ちはだかる壁や困難を神の様に予言する。しかし、船を与えた張本人であるエモルポは、自分の夢を彼らに託すと「恐れずに進んでいけ」と励ます。
 出航を宣言する主人公。若者たちに力強いメッセージを与えるすがすがしいラストである。
                         (2002.12.28 ERIN)



「THE  PERFORMANCE」  1987.12.10   5th
     -試したかったし、吸収したかった-(小木茂光)

 1987年10月、ニューヨーク・アポロシアターでのエイズ基金のチャリティ・ショーの様子を記録したビデオ。出発の前に彼らは、そのズートスーツの背中にそれぞれに日本的な絵を描いた。ちなみにシゲは、三日月に雲、そして白い鳥(雁?)が三羽飛んでいるデザイン。ジョニーは、背中に「龍」の文字。「花」と書いていたのはマツ。さらに衣装の前面にもニューヨークで加筆。シゲは、新たに「嵐」の文字を書き、ジョニーは、「にしき鯉」のイラストを書き加えている。この衣装は、最近「はなまるマーケット」でも披露されていた。
 各自が個人負担で参加したこのツアー・・・。ちなみに渡航費用は、3235ドル。
 80年代初頭のファミコンゲームを思わせるイントロは、一見しただけではじれったい。しかし、それなりに「一世風靡」のことが解ってくると情報の宝庫だ。コマンドで選択していく中でこの公演のテーマが、プログラムが、そしてワールドツアーの全容が見えてくる仕掛けになっている。
 主体性・I.D(アイデンティテイー)が盛んに叫ばれた80年代。まさに「一世風靡」は、その時代にマッチしていた。EAST  WESTAN(東洋と西洋のミックス)をテーマに、すべての日本芸能を主体に彼らは、世界の「道」でパフォーマンスを行った。

-プログラム-
1.「la ce'rer(ラ・セ・レ)」(オープニングBGM)
 バックに映し出されるニューヨークのビル街。 暗闇の中舞台に立つ男たち。徐々に照明があたる。立っている・・・その存在感が威圧的だ。それぞれの位置に移動する彼ら・・・。それだけの動きの中にも緊張と気迫がこもる。

2.「殺陣DANCE」
 「おりゃー」「そりゃー」のかけ声で踊る男たち。赤いたすきを素肌にまとい流れる汗で身を包む。肉体美と気合い。表現するのは、「強さ」か・・。

3.「嵐」
 三味線と太鼓の曲にあわせて座る群舞が、一人また一人と踊り出しやがて全員の動きへと変わる。シゲが太鼓の舞をソロでとる。次第にころがっては、立て膝をついて起きあがる男たち。モダンバレー風にも見えるところが和洋の折衷・・・。

4.「天地の舞」
 太鼓のリズムにあわせて時間差で足を動かす男たち。中盤、緑の扇子を取り出して舞う。戦いの前の武士の「舞」を醸し出している。

5.「鶴亀三昧」
 シルクロード風シンセサイザーのメロディーにのって白虎の姿で舞う平賀雅臣団長。舞い散る紙吹雪は、桜の花びらにも雪に見える。その光景に京都、東寺の五重塔が重なりそして、広隆寺の弥勒菩薩像が映し出される。

5.「花・鳥・風・月」
 フォーメーションとストップモーション・・・。バクテンで宙を舞うSEPIAの動きは素早いが、その中に「静」の動作を取り入れ緩急をつけることでより動きの中に時間という概念を加えることができる。止まっている時間があるからこそ一瞬の「動」がスピードを持つ。彼らには、やたらと動き回るという無駄はない。ボーカルを交互にとり歌うSEPIA。途中でマイクを倒しそうになりあわてて起こすシゲ・・・。素顔が見えてちょっとかわいい。
 余談(・・・当時、大ヒットした「ドラゴンボールZ」には、やたらとフォーメーションを決める敵が登場したが、コレも今にして思えば、SEPIAの影響なのだろうか・・・)
 
6.「ZOYASSA」
 再び踊る団長。時代(現在)とパフォーマンスをミックスさせた彼らの踊りは、力強かった。

7.「la ce`rer」
 静かに流れるメロディーに団長・平賀雅臣からのメッセージが画面に流れる。アンコールの光景やニューヨーク公演の発表の瞬間・・・驚き喜ぶ劇男メンバー。ビデオの中には、収録されていない狂言を舞う姿。そして、再びライトを背にして立つ男たち。

 このビデオは、特にパフォーマンス活動における芸術性を重視した舞台公演記録である。これまでのコンサート・ライブビデオにある観客との呼応をいっさい排除し芸術的記録に努めた・・・そう感じられる作りである。そして「一世風靡SEPIA」が、あくまで劇男「一世風靡」の一つのユニットにすぎないことを示しているビデオである。

当時、音楽プロデューサーを務めたマリオ山口氏インタビュー記事が、下記のサイトさんで紹介されています。
http://discotimemachine.at.infoseek.co.jp/index.html

「SEPIA FINAL」~一世風靡SEPIA・卒団の日より~1989.10.10 徳間ジャパン 2003.12.21 DVD版発売          
1989.7.31 渋谷公会堂
 楽屋に入るメンバー・・・。卒団のこの日を境に彼らは、本当に個人の活動に立ち戻っていく。元々SEPIAの魅力は、集団であっても個人がきちんと確立されている所にあったが、コレは、中国の三国志・群雄割拠の時代の武将の世界観に似ている。集団に埋没しない個性・・・。それが、彼らをさりげなくそして、潔く見せていた。
 楽屋で談笑する彼ら、リハーサルの彼ら・・・。素顔の彼らもとても魅力的だ。
  
1.「こっちから願い下げだぜ!」
  ショウの出だしで始まったこの曲は、シゲに引き継がれそして、メンバーが登場してくる。この日の最初のズートスーツは、シゲ・・・グレー、ジョニ・・・ベージュ、ニシ・・・赤、マツ・・・紫、ショウ・・・コン、ハル・・・  それぞれが、ポーズを決めながら踊る。登場の瞬間から吹き出す汗。飛び散る水滴。必死の形相で全身全霊をこめて歌う彼ら。今日ですべての歌い納め・・・。

2.「夢色一つ飛び!」
 ソロで入るシゲに被さるジョニーの声。二人の音色はどこか似ている。低音が響くシゲとシャープなジョニーの声・・・。うまく表現ができないが、こんな感じだろうか。ポーズをつけて動作をするたびに感じられる様式美は、激しく動いているときも常に観客の目線を計算している。空間の美がそこにある。

3.「汚れちまった悲しみに」
 手をポケットに突っ込んで歌うメンバー。流れる汗を拭うまもなく次々と吹き出す。歌っていないときに息を整えるシゲの苦しそうな顔が印象的だ。舞台後方の階段は、紅白。歌いながら叫ぶメンバー。ライブならではの迫力だ。

 インターバル・・・ロンドン・コベントガーデン、トラフォルガー広場のライブの様子が映し出される。           

4.「CUT&DOWN」
 手拍子で客席にアピールするメンバー。衣装替えをしている。ジョニー・・・シルバー、マツ・・・ワイン、ハル・・・グリーン、ニシ・・・群青、ショウ・・・白、シゲ・・・茶。ビデオは、編集してあるためにこの後、衣装が始めのものと二番目のものと入り乱れる。

5.「ファイナルトライ」

6.「街よ、崩れるように笑いなさい」
 ショウの白いズートスーツが、ドライアイスの中に栄える。

7.「時間をかすめろ」
 シゲが五番とかいたマイクを持っているのがわかる。ジョニーと交互に映る。中央で叫んでいるのはニシ。

インターバル・・・ニューヨーク・アポロシアターの看板が映る。「花・鳥・風・月」と書かれた舞台。
8.「善い・酔い・嘉い」
 扇子を持って登場。色は、シゲ・・・茶、ハル・・・緑、マツ・・・紫、ショウ・・・紺、ジョニー・・・ベージュ、ニシ・・・赤。衣装は、前半のものを着用。扇子を担いで踊る振り付けと足を180度振り回す独特の振り付けが特徴だ。

9.「花・鳥・風・月」
 衣装は、二番目のもの。

10.「前略、道の上より」
 「一世風靡SEPIA」の名を天下に知らしめたデビュー曲。いろんな曲の間に挟まっていても少しも古さを感じさせない。「素意や~」のかけ声が会場に響き渡る。素肌にズートスーツ。汗が光る。ジョニーを中央にショウとマツがはさみボーカルを取る。

11.「DAY LIGHT」
 舞台前面に出てきて客席にアピールするメンバー。シゲ、間奏で客席に喝を入れている?「声が小さい!」とでもいっているのか・・・。さすがリーダー・・・。六番マイクを持ったマツが逆光に浮かび上がる。最後は両脇から出るドライアイスを伴ってトライアングルで「決め」のポーズ。

卒業式・・・
 THANKS・・・。短いその言葉が胸に迫る。一人ずつ名前を呼ばれて袖から舞台中央へ。ポカリを飲みながら「やばいっすよ」と言うニシ。笑っているがすでに涙目。それぞれが自分の名前を呼ばれるのを待つ。きっとその時間は長くて短い。解っちゃいるが・・・。嬉しいような寂しいような表情を皆浮かべている。同じく卒団する団長が、自分の挨拶の後で六人のメンバーの名前を呼ぶ。まずは、ジョニー。いきなり抱きつく奴だ。マツ、ハル、ニシ。ショウは、目線をあわせない。下を向いたまま・・・。やばい。泣きそうだ。シゲは、にこりと笑って登場。リーダーは、大人だった・・・。そして、全員で「SHIBUYA」を合唱。客席にアピールをしながら肩を組んで揺する団員。さいごは、ラインダンス。実にさわやか。客席前列で手拍子する男の子たち。次は、君らの番だ・・・。セピア色に画面がなる中、メドレーを歌うメンバー。にこやかなシゲ。普段ステージでは、笑わない彼らが笑っている。騎馬を組んだ団員に担がれて練り歩くSEPIA。何処までも体育会系のパファーマンス集団・一世風靡。暴れるニシにとまどう馬がかわいい。でかいシゲは、少し遠慮がちだ。個性的な面々は、こんな時も様々な反応を見せる。

「道」の上のちんぴらたちが言う。・・・道は、今日からでも始められるんだぜ・・・と。

12.「街で生まれた唄」
 路上のSEPIAにオーバーラップしながら、ファイナル・メッセージが交わされる。最後の説教をするジョニー。彼の説教は、この後「ギバの説教ライブ」へとバージョンアップし全国を縦断していく。「渋谷は、俺たちの街や~」最後の叫びが会場にこだまする。十年後、彼は「子供ができたら田舎で育てる」と呟いている自分を知る由もない。シゲは、最後まであまり自分を主張しない。リーダーは、やはりリーダーだった。「この街とあなた達すべての人に贈ります」そして万感の思いをこめてラストの曲が流れ出す・・・。

13.「THANKS」
 歌詞がテロップで流れる。抱き合うメンバーに舞い散る紙吹雪。メンバーの名前と「THANKS」と書かれた垂れ幕が下がる。収録されていない場面がスローモーションで映し出される。長い棒を持って歩くシゲ・・・。怖い。シゲに抱きつくハル。よしよしするシゲ。嬉しそうなメンバー。そして、深々と二度、長い礼をして手を振りながらステージ後方に去っていく。去り際に舞台の紙吹雪を上着でまき散らす姿が華麗だ。そして、最後のテロップが流れ始める・・・。


「SHI・BU・YA・STREET」徳間ジャパン

卒団記念SEPIA BOXとして発売。同梱包品として他にCD(11曲収録)、グッズとしてスペシャル写真集、特製バッチ、特製Tシャツ、特製シールが付いていた。
1.「前略、道の上より」
2.「道からの組曲」
3.「賽を振れ!」
上記の三曲の映像は、コンサート・ステージとセカンド・ビデオ「Sepia Phantom」の映像を編集したモノ。
4.「街で生まれた唄」
ストリート・パフォーマンスのために倉庫で練習をする7人のセピアの様子。時折、挿入されるのは、「Sepia Phantom」 とストリートの様子。初期の頃の映像であり、みんな若い。


 「一世風靡SEPIA」は、消滅した。しかし、映像に見られる彼らは、今も尚強烈なメッセージを送ってくる。私たちは、今「道」の代わりに「インターネット」という新しいパフォーマンス(表現)手段を手に入れた。路上で繰り広げられた切磋琢磨は、場所を変え新たなる「道」を私たちに見せているような気がする・・・。

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