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ジャニーズ事務所新体制と、懐かしき昭和のジャニーズ映画論考【前編】

タッキーとジュリー社長の新方針?…封印されていた幻の「昭和ジャニーズ映画」解禁の謎

文=峯岸あゆみ
タッキーとジュリーさんがジャニーズ映画に新指針?…幻の「昭和ジャニーズ映画」解禁の謎の画像3
2012年に発売されたCD『ベスト・オブ・ベスト』(ソニー・ミュージックダイレクト)。メンバーは写真左からおりも政夫、青山孝史、北公次、江木俊夫。彼らが主演した『急げ!若者 TOMORROW NEVER WAITS』こそ、元祖ジャニーズ映画である

フォーリーブスに郷ひろみが出演!ついに映画館で観られる超お宝ジャニーズ映画とは?

 一方、東京都杉並区にあるミニシアター「ラピュタ阿佐ヶ谷」では、9下旬より「昭和アイドル映画の時代」という特集上映を行っている。これは、昭和ジャニーズマニアには垂涎の特集である。

 男女問わず多くのアイドル主演映画が多数ラインナップされているが、ジャニーズ関連で最大の目玉といえるのが、『急げ!若者 TOMORROW NEVER WAITS 』(監督:小谷承靖、1974年)だろう。

 これは、看板グループだった4人組・フォーリーブスと、その分として売り出され人気が爆発した郷ひろみという、当時のジャニーズ事務所の二大アイドルの夢の共演作なのである。しかも、当時はジャニーズJr.だったJOHNNYS’ ジュニア・スペシャル(JJS)のメンバーも出演しているといわれるが、過去に1度もパッケージ化されたことがなく、私的な上映会を除き、映画館での鑑賞機会のなかったレア中のレア作品。郷ひろみは、公開翌年に他事務所に移籍しているので、これがジャニーズ事務所在籍時唯一の、彼の出演映画でもある。

 なお、「ラピュタ阿佐ヶ谷」での今回の特集上映では、郷ひろみが移籍後に主演した『ワニと鸚鵡とおっとせい』(監督:山根成之、1977年)も上映されることになっている(こちらも未DVD作品)。また、シブがき隊が駅伝に青をかける若者たちを演じた主演映画第2弾『ヘッドフォン・ララバイ』(監督:山根成之、1983年)もラインナップされている。もちろん、こちらも前作『ボーイズ&ガールズ』同様に封印作であり、VHSの入手は困難である。

突然解散となった男闘呼組主演の傑作『ロックよ、静かに流れよ』を解禁!

 同じくラピュタ阿佐ヶ谷にて上映予定作品のなかでもう1本、大変に貴重なのが、男闘呼組のメンバーがロックバンドを結成する少年たちを演じた『ロックよ、静かに流れよ』(監督:長崎俊一、1988年) だ。

 この青春群像劇は、芸能界とのシガラミのないことで知られる「ヨコハマ映画祭」で作品賞、監督賞、新人賞を受賞するなど、ジャニーズ映画史においても、突出して評価が高い作品である。また、光GENJIがゲスト出演しているというオマケ要素もある。

 映画の登場人物と男闘呼組のメンバーを重ねて観ることもできる『ロックよ、静かに流れよ』もずっと封印されてきたが、実は徐々に解禁傾向にある。ローカルな映画館での上映を経て、2019年5月10日に池袋HUMAXシネマズにて映画公開30周年の記念上映がなされ、さらに長崎俊一監督と、男闘呼組メンバーだった岡本健一(現在もジャニーズ事務所に所属)によるトークショーが開催されたのだ。

 男闘呼組は、1993年6月30日に突然の活動休止……事実上の解散が発表されたいわく付きのグループである。それもあってか、『ぼくの姉キはパイロット!』(TBS系、1987年)、『オトコだろッ!』(フジテレビ系、1988年)といった彼らの主演ドラマも再放送、パッケージ化はされていない。そうした意味でも、再び『ロックよ、静かに流れよ』 が映画館のスクリーンで観られるというのは、実に画期的な出来事なのである。

 ジャニーズ事務所は現在、激変期にある。2019年7月に創業者であるジャニー喜多川氏が他界し、今年9月4日には、“メリー喜多川”こと藤島メリー泰子氏が代表取締役会長から退いたことが報道された。今後、2019年1月にタレント人生にみずから終止符を打ち同社副社長となった滝沢秀明氏、そしてメリー氏の娘で同社社長となった藤島ジュリー景子氏が同社を牽引していくといった状況下で、同社内の“力学”が変わりつつあるに違いない。

 そうした情勢の変化が、過去の封印コンテンツに対して及んできているとみて間違いなかろう。

 しかし、それでもなお“幻の作品”であり続けている昭和のジャニーズ映画も、ないではない。【後篇】では、それらの作品についても取り上げたい。

(文=峯岸あゆみ)

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