愛着障害(神経症・アダルトチルドレン)の乗り越え方
神経症(愛着障害・AC)とは何か
(特に支配された結果神経症になった場合)
・自己の確立に失敗した情緒的に未成熟な感情の貧しい親に育てられる過程で、その親に自我侵食を許し続けた結果、生じた負の感情が(抑圧した感情が)大人になった人を動かし続けている状態。
・自我の確立に失敗した親は自らの愛着のために子供を育てる。そういう親は自らの行為が愛情と思っているが実体はただ絡んでいるだけで、自らの延長として育てるため無意識に子供に侵食し、その結果子供は自我を発達させることができない。
・逆にそのような親の元で育つと親に愛されたいがために偽りの自己を発達させてしまう。愛されながら育った人はありのままの自分を受け止められながら育ったために、自我の確立ができ等身大の自分を愛することができる。
・愛情とは、相手の自我に侵食しないで、かつ相手の心の必要のために栄養(愛・信頼)を与えることである。つまり子どもから半歩外側で見守ることである。それができるためには、しっかりとした感情の骨をもち情動的に強くなければいけない。
➡︎愛する物どうしか適切な距離をもてる一方で共依存が距離がなくなることからもわかるように、相互愛が自我の確立したもの同士の行為である一方、共依存が自我の不安定なもの同士の関係である。
自我の確立というのは感情の骨を持つことである。それは愛を知るとともに憎しみも知るということである。人間の深い感情を理解することであり、要するに相互愛という自律した関係というのは厳しい関係だと言える。
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・抑圧した感情を吐き出し続け、愛着型を不安定型から安定型に変化させることが唯一の解決方法である。
・神経症は半端な覚悟では乗り越えることはできない。自分の人生・一生を掛けた闘いであるくらいの覚悟を持ってぶつかっていかないと乗り越えることは不可能である。
逃げて死ぬくらいなら闘って死ぬくらいの覇気をもって自らの内側に入っていくことが唯一の解決の方法である。
・機能不全家族から離脱する唯一の方法は原家族の心柱よりも強固な感情の芯、心柱を作ることである。
・乗り越えた先に待っているのはこの世で最も厳しい闘いを闘い抜いた何世代にも渡る連鎖の業を一人で断ち切った偉大なオーラをまといながら人生を闊歩する自らの姿である。
以下僕が実際に体験し乗り越えた()具体的な方法を記す。
現状把握: 無意識には親への愛憎が渦巻いていて、抑圧した感情が重層的に粉雪のように積もっている精神の状態。玉ねぎの皮をむいていくように感情の諸層を薄くしていく。
感情の諸層: 憎しみ➡︎悲しみ➡︎恐怖・不安➡︎さみしさ・孤独
理想: 独立した精神の獲得。
問題解決:
『抑圧した感情の吐き出し』
『潜在意識下に眠る葛藤や感情を顕在化すること』
『育て直し』
キーワードは『破壊と創造』
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前半
① 体内のインナーペアレンツを弱体化させる。(憎しみの吐き出し,過去にぶつけたかった気持ちの言語化,心の傷の表現化)
② それに伴うインナーチャイルド(抑圧された感情)の救い出し。
➡︎イメージとしては意識と無意識の狭間で救われたい想いを表現化する感覚。
心理学を学べば誰でもわかることであるが、人間の心にとって最大の鍵になってくるのは『抑圧』である。
親に無条件で愛された人は幼稚的願望を抑圧すること無しに育つことができた、他方で未熟な親の元に育てばそれらを抑圧せざる負えなかった。神経症を脱することができるかどうかの鍵はこの抑圧処理ができるかどうかに掛かっている。
よく世代間連鎖と言われるが、それはいわゆる抑圧の連鎖でもある。
自らの中にある重層的な抑圧された感情を処理することができるかどうかが神経症脱出の鍵である。
抑圧された幼稚的願望の代償行為である強欲や名声欲を追いかけても心休まることはない。真因を解決しない限り違う形でその問題は浮上する。神経症の真因は抑圧である。
幸せな金持ち成功者になりたければこの真因を取り除かなければならない。
問題解決の鍵は見えないものを見る力である。神経症という大きな問題のその『見えないもの』というのが無意識と抑圧である。
③ 心柱が出来上がる過程で過去の辛かった体験の再体験。(心柱の強化)
➡︎退行催眠(ヒプノセラピー)がお勧め。分裂した感情を統合する。人格統合。
過去の断片的な物語を一つの物語にする感覚。決壊を起こした川の流れを元に戻す作業。
➡︎何故神経症になったかというと、
愛されるということは、心に堤防を貰えるということで、搾取されながら育った人は堤防を貰えなかった。
堤防を貰えるどころか自我をメチャクチャにされ決壊が発生している。
自他の区別、境界線を破壊されて決壊を起こしている状態が神経症者の精神状態である。
まずは決壊を治め、堤防を作り直さないといけない。
具体的に言うと破壊された自我を憎しみを吐き出すことで元に戻し、そして自らに栄養(愛・信頼)を与えることで自我を強化する。
他の心柱の強化の方法
➡︎好きなこと、悪いことをする。
➡︎毒親から離脱するリハビリ
好きなこと➡︎毒親を持つと自らの価値観が全てであり、かつ支配してくるので自らの好きなことを持つこと、することができなくなる。まずは好きなことを見つけ自らにそれをすることを許可する。
ACが重いと情緒が無くなる(感情鈍麻)ので、好きなことすら無い状態、自分で好きなことが分からない状態になる。まずは憎しみの量を減らし好きなことを発見していくことが第一歩。
悪いこと➡︎毒親育ちの場合『いい子』で育ってしまう。その真因は親に愛されたいという渇望からくる。
愛された人がいい部分も悪い部分も含め理解されたうえで受け止められる故に自らを分離しないですみ統合しながら育つことができる。
悪いことをあえてしてみる。何も犯罪を犯したりするのではなく、僕の場合男だったので海外の風俗に行ったりして、体内の親の目より自らの欲求を優先する行動を取り続ける。そうすると自らが自らを信頼できるようになってくる。
分裂症者が自らの欲求に気付けないのは体内のインナーペアレンツがあまりにも巨大で自我がなくなってる状態だからである。逆に言えば欲求欲望を持てるということは自我が健全な証である。
心柱が毒親の心柱よりも強くなればつまり精神的にタフになれば毒親の結界から抜けることができる。
④ 幼稚的願望(依存的欲求)を満たしていく。(愛情飢餓・承認欲求・甘えの欲求)➡︎ストローク 許可
承認欲求は完全に無くなることはない。愛されても人から認めて貰いたいという感情は存在する。問題は愛のない家庭で育った場合はその飢餓が深いのが問題。深いと人からその弱点(承認欲求飢餓)を見透かされいいように利用されてしまう。だから承認欲求は無いに越したことはない。
甘えの欲求はポウルビィが言うように親に甘えられる『親子の役割逆転』により完全に抑圧されてしまう。子の甘えは甘えの欲求を満たされた親だけが感知し満たしてあげることができる。親に甘えられた人間は甘えられた時の憎しみを吐き出し抑圧した甘えの欲求を意識化し自ら満たしていかないといけない。甘えの欲求を抑圧したまま真の独立には到達しない。
大切なことは自分には甘えなどないと抑圧するのではなく、甘えの欲求が存在することを認めることである。問題解決の第一歩目はどれだけ苦しい事実でもその事実を正視すること。
⑤ 心柱の完成。(ありのままの自分に戻る・人生脚本の書き換え・サバイバーからスライバーへ・ネクロフィラスからバイオフィラスへ)➡︎孤独の試練
最も大変なのが①で最も苦しいのが③。再体験すれば死んでしまうような感情が無意識に埋まってるはずでそれを再体験しないと心柱は完成しない。
分裂症者が完治しないと言われる所以は分裂症の場合過去を思い出すことすらできないため、③をすることが出来ない結果心を元の状態にもどすことが出来ないんだと僕は思ってる。
権威主義的な親の元で育った人間が真の自己を発展させ潜在能力を開花させることが至難の技だと言われる所以は抑圧された幼稚的願望がインナーペアレンツに意識化に上げることを妨害されるからである。その脱出したいインナーチャイルドと抑圧させていつまでも自分の重力場に鳥籠のなかに置いて成長させないでおこうとするインナーペアレンツの内なる壮絶な葛藤を解決しなければ一生開花しないで終わるのであろう。
換言すれば潜在力というのは真の自己の中に存在するということである。
とにかくACを克服したければ①②で心柱を形成しはじめ、その心柱の強さに比例して思い出すことができる過去の未完了の感情を一つずつ完了させていくしか方法はないかと思う。
前半の過程で最も難しいのが親と共依存の関係で育った場合の親とのへその緒を切ること。
・親と共依存で育った場合、無意識下に(幻想的)絆が存在し、その(幻想的)絆が能力を無能化させ人生を破滅な方向に向かわせている。
・この絆を断ち切るのが容易でない点は3つあり
①人間は安定した状態から変化する時不安を感じる。とくに神経症であれば根底に分離不安を持つが故に愛された人に比べいっそう変化に不安を感じる。
共依存というのは(一見)安定してるがその状態をぶち壊すのに不安を伴う故にぶち壊すのを躊躇ってしまう。
➡︎元々親から愛された人は『安心感』を貰いながら育つので自律することは普通の事であるが、共依存で育った場合根本に不安がありかつ、共依存という枠組みから外に脱出しないといけないので二重の意味で自律することが難しくなる。まだ無視されて育った場合は、根底には支配されながら育った人と同じように不安はあるが育つ過程で無理やりな自律という枠組みで育つためにまだ支配されるよりも本当の自律に到達しやすい。(無視された人もまた愛情飢餓をもつので育て直しが必要)
②共依存で育った場合親と心理的距離がないので親を客観視できない。故に愛情飢餓からくる親の理想化と重なって自らの親の正体を正確に把握するのが、親に無視されながら育った人と比較して難しくなる。
③親に分離不安があるのと同じように自らの中にも分離不安があるゆえにへその緒を断ち切ることに抵抗してしまう。
上記の3つが原因となってへその緒を断ち切るのが難しくなってくる。
どうすればいいか。これは僕自身の体験からくるもので
・まず上記の真実を頭で理解する。そして、このへその緒を断ち切らない限り自らの潜在能力を発揮できないまま人生が終わってしまう。この(幻想的)絆を断ち切れるかどうかが自らの人生を大きく左右することを理解する。
・親に対する理想化をやめること。
・無意識にある親の荒ぶる不安で孤独な魂を光で包みながら自分の魂から離していく、それに伴い生じる意識化にのぼる自らの分離不安を光で包む。退行催眠を使って見捨てられた場面を思い出してその時の傷を癒すことを並行して行うと分離不安が小さくなり親の重力場から離脱しやすくなると感じる。
後半
① 愛着を不安定型から安定型へ。
ポイントはただかけがえのない人を自分の中で作り、その人を母親代わりにする。(代理母を自分の中で作る)その人と安定した愛着を形成をし直す。安全基地の確保。
大切なことは、(岡田尊司の本にも書かれているが)愛着対象はただ唯一の存在との間に形成しなければならない。親(特に母親)に愛された人は愛着形成を母親との間に作ることができるが毒親(自らの欲求にしか興味がない人)の場合はそれが不可能である。故に自分の中でその母を作ること。
精神科医岡田氏はパートナーに恵まれればそのパートナーとの間の愛着形成により安定することがあるというが、パートナーが自らの人生の最後まで共に伴走できる可能性の方が低いので、自らの中に架空の母を作る方がより現実的である。
ちなみに僕の場合は(似非)クリスチャンなので聖母マリアを母にしてる。また自らが自らの母親になることでも乗り越えられる。
② 自分の中に家族をつくる。暖かく見守り、受け止めてくれる共感能力の高い家族を作る。
境界線の引き直し。自他の区別の把握。
僕はこれまでの人生で愛情を持って接してくれた人を父にしたり祖父にしたりしてる。新しい家族を作り自らはそこにいるだけで愛されるに値する人間であるという感覚を無意識に刻み込むインストールをし直す。
③ その人達に見守られながら、自らの依存心・依頼心を克服していく。
憎しみは依頼心・依存心・依存的欲求から生じる。人生において憎しみの処理は極めて大切であり、幼稚的依存心の克服がそれを現実的にすることを考えると、自らを変えるつまり依存欲求を自らで満たしていくことが幸せになるための合理的な解決になる。
逆に言えば自らの未熟性が自らの首を絞めていることに気付けるかどうか。
④ そして真の独立へ。
自らの選択で自らの人生を切り開き自らを作っていく。創造的な人生が始まる。恨みっこなしの自らの人生に完全な責任を持つということ。
吐き出しの時のポイント
・ノートに汚い言葉でもなんでもいいから、親にぶつけたかった気持ちを吐き出す。お勧めは可能ならば、平日に山登りしながら思いっきり叫ぶ。平日なら人がいなく恥ずかしくないし誰にも迷惑かけないのでGood
育て直しのポイント
・自分が自分の親になる時、頭に入れておくことは
① ホールディング➡︎安心感を与える
基本的信頼感と基本的安心感
② 限界設定➡︎万能感の消失と社会性の発達、我慢強さ、責任感を自然に身につけさせる。
③ 手放す➡︎安心感を土台にもっているので自然に自律・独立への志向させ、その邪魔をしない。
④ 無条件の愛と信頼、自由(選択)
尊重を自らに与える。
オススメな本
① 『愛着障害 』岡田尊司
② 『母という病』岡田尊司
精神科医の本です。
作家の曽野綾子氏と学者の加藤諦三氏の本は神経症・愛着障害を持つ人にとっては一読の価値はある。
というのも彼らは愛着障害を乗り越えた大きな人達だからである。曽野氏は日本財団、加藤氏は精神衛生学会の会長である。彼らの本から彼らの精神の遍歴を読み解くことは心の支えになるに違いない。丁度ニーチェがショーペンハウエルの中に自らと同じものを見出し心の支えとしたように。
ちなみにニーチェもショーペンハウエルも愛着障害を持っており、ニーチェは乗り越えることができず自殺をしたがショーペンハウエルは毒親を捨てることができた故に最後まで自らの生を全うできた。
ニーチェとショーペンハウエルを見ると愛着障害を乗り越えることができるかどうかの岐路は心の中で親を捨てることができるかどうかに掛かってることがわかる。
全過程でのポイント
①徹底的に自らの心と対峙。
②一人で乗り越えるという覇気。
③逃げないという意志。不退転の決意。
④チャイルド(抑圧された感情)は全てを教えてくれる。
⑤とにかく情動を解放していく。
⑥厳しい現実の直視
⑦抑圧した憎しみを焼ききることができるかが大きな鍵。
⑧全過程で大体6年~10年かかるので長期戦を覚悟して取り組む。
期間は掛かるが一歩一歩前進しよう深海から浮上しようとする姿勢が大切。
⑨一人で闘い一人で抜け一人で自らを作る。その孤独な作業から逃げない強い意志。
❶何か強烈な目標があれば神経症から脱出しやすくなる。➡︎僕の場合は救急医になりたいという動機が自らを著しく変え強くなる原動力になった。この試練は救急医になるための試練だと自らを奮い立たせた。
❷自らを変える、その苦しい作業から逃げない。歓喜は苦悩の後にやってくる。
❸神経症と自覚したのなら自らの人生は毒親に貰った毒素を薄くし自らを修正するための人生であることを理解する。➡︎自らの歩く道を間違えない。それが幸せへの道である。
❹自分は精神的に断崖絶壁にいることを理解する。その断崖絶壁から這い上がるのは自らの足でしかないことを理解する。
❺変な表現になるけれど神経症は治そうと思えば思うほど泥沼にはまっていく。
治そうとするよりも今までと逆の行動を取ると言った方がいいかもしれない。体内の親の目とインナーチャイルド(真の自己)を自らの中で区分して、どれが真の自己の欲求かそれとも親の欲求なのかを選別する。
真の自己➡︎真の感情に従って生きること。治そうと努力すると、インナーペアレンツを強化してしまう結果になるので、ゆっくり焦らず気長にインナーチャイルドが顔を出すのを待ってあげる。小さな感情が出てきたらそれを抱きしめて名前をつけてあげる。その繰り返しがあるがままの自分に戻る小さな一歩になる。
問題解決をする時のポイントは現状と理想の一本の線の上の自分はどの辺りに立っているのか常に自らを俯瞰して大局的に見る姿勢がとても大切。
神経症のまま人生が終わるか、それを克服し人生を飛躍させれるかは、運命(家庭環境)に対する態度の違いによる。これはフランクルが言う『態度価値』のことである。運命に対してどのような態度で望むか。
要は覚悟ができるかどうか。覚悟とはそのためにそれ以外のものを捨てる勇気である。つまり家族や親を捨てる勇気があなたの未来を作る。
自分の一度きりの人生を取るか、または搾取してくる親をとるか!?
前者しかないでしょ。一度きりだもの人生は。
ただ支配された人はこれが難しい。体内にいる魔(インナーペアレンツ)を追い出さなければいけない故に簡単に親を捨てろと言われてもなかなか難しく時間がかかる。
僕の場合20年間の家族や思春期で受けた心の傷の後遺症が次の10年間(20代)にモロにでて、何度も死にかけて、その10年間死にかけながらも(一歩間違えれば分裂症になっていたと思う)心理学を学び自らと対峙し自分の人生に絶望しながらも光を求めながら歩いた結果、30代で人生の再構築する礎をなんとか作ることができたのだと思う。僕にとって30代が愛されながら育った人にとっての10代20代に相当するのかなと感じる。
最後に,,
憎しみに負けるか乗り越えるか。
乗り越えた先には偉大なる自由な世界が待っている。
16/01/15 16:02