2021-12-16

【財界賞受賞】信越化学工業会長 金川千尋さん

金川千尋・信越化学工業会長

財界賞受賞の“喜びの声”


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 旧制第六高校の大先輩である永野重雄さんや櫻田武さんも受賞された『財界賞』をいただき、身に余る光栄に存じます。1970年代に米国シンテック社への投資を決断されました小田切新太郎社長(当時)がお元気でしたら、必ずこの場へ来て祝福して下さったはずです。

 私が経営に専念できるように守って下さった小田切さん、技術面で支えて下さった元副社長の小柳俊一さん、そして信越化学グループの成長に献身的に取り組んで下さった役職員の皆さんに心より感謝申し上げます。

 シンテックでは、新たな成長に向けてルイジアナ州で工場の増設を継続的に進めています。米国で塩ビの生産を開始したのが1974年。苦労も多々ありましたが、小田切さんのご恩にお応えするという強い思いで経営に取り組んできました。これからも財界賞の名に恥じることのないよう精進を重ねてまいります。

2022-07-22

日本総合研究所会長・寺島実郎「いま問われているのは、戦後80年を経た日本人の叡智」

そろそろアベノミクス幻想から目覚めよ



 ―― 参議院選挙は終わりましたが、新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻、食料・エネルギー価格の高騰と、日本の様々な対応が問われています。寺島さんは岸田政権の課題をどのように認識していますか。

 寺島 岸田政権が打ち出している「新しい資本主義」というのは、公益資本主義が大切だというところまでは結構だとしても、国民全員が「貯蓄から投資へ」などという話は理解できません。これは証券会社の社長が話しているなら別ですが、国のリーダーが、貯蓄をやめて投資しようと呼びかけるのは違うような気がします。

 かつて、わたしが商社マンとして働き出した頃、日本人のセールスマンは皆トランジスタのセールスマンかと言われたものですが、国の指導者までもがマネーゲームのセールスマンみたいになるというのは何なのでしょうか。

 当然ですが、国家の指導者が語るべきことは、産業の基盤をどう創生するのか。産業基盤をどのように付加価値の高いものにしていくか。技術を磨いて、国際競争力をどのように高めていくのか。そういう話をしなければいけない時に、マネーゲームの旗を振るような話しかしていないことの問題を、もっと真剣に考えるべきです。

 ―― 問題意識の低さというか。

 寺島 そうです。日本の問題意識のある産業人が気づくべきことは、そろそろアベノミクス幻想から目覚めなければいけない、ということです。

 アベノミクス幻想とは何かというと、要するに、政治がリーダーシップをとって中央銀行を押さえて、金融をじゃぶじゃぶにし、金融政策で景気を浮上させられるという幻想です。これは誰が悪いという次元の低い批判をしているわけではない。なぜなら、産業界もマスコミも一体となって、金融をじゃぶじゃぶにして、株高と円安にもっていこうとしたわけですから。

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