司法試験・予備試験を受験するに際して、だれもが悩むのが選択科目です。
選択科目の中で最も選択者が少ないのが国際公法、国際関係法(公法系)です。
そのため国際公法がどのような科目特性を有しているのか、どのような勉強法が効果的なのかはあまり広く知られてはいません。
そこでここでは、それらの点についてみていきたいと思います。
目次
【谷山政司講師が解説!】
アガルートアカデミー司法試験の谷山政司講師が、「選択科目」の国際関係法(公法系)の選び方について解説します。
国際公法は、受験者数全体の1%程と非常に少ない科目ですが、高得点が狙いやすい、足切りになる受験生が少ない、などのメリットもあります。
ぜひ、国際公法のメリットそして勉強法を知って、選択するか、どう学習を進めるかといった判断にお役立てください。
国際公法の特徴
選択科目のなかで最も選択者が少ない科目
国際公法の選択者は令和3度司法試験では、46名(受験者の約1.4%)であり、選択科目のなかで最も選択者が少ない科目でした。
そのため、予備校等で開講されている講座も極めて少なく、司法試験過去問の模範解答をはじめとする司法試験対策用の教材も少ないのが現状です。
したがって教材の充実度という点では国際公法は勉強しにくい科目であるといえるでしょう。
一方で選択者が少ないのでしっかりとした対策をすれば得点が跳ねる可能性は高いといえます。
また、最低ライン未満以下の受験者(いわゆる足切りされる受験者)の少なさも魅力的です。
現に令和3年度の司法試験では、国際公法で最低点を下回った受験生(いわゆる足切りをうけた受験生)は1人しかいませんでした。
国際公法の出題範囲
国際公法では国家間で生じる紛争や問題に関する解決策を答える問題が出題されています。
また出題範囲としては国際法、国際経済法、国際人権法の3法です。
一見出題範囲は広範に思えますが、国際人権法・国際経済法については国際法の体系に属する者に限るとの留保付きである(平成22年7月14日司法試験委員会決定)うえ、国際経済法の出題可能性は極めて低いため他の選択科目と比較したときに、出題範囲が極めて広範であるということはありません。
国際公法の勉強法
1 国際公法のインプット
国際公法の科目特性① インプットの比重が重め
国際公法の司法試験の出題は後述のとおり過去問のくりかえしが多いという特徴があります。
したがって国際公法の知識がしっかり身についていれば過去問を演習することで合格答案のレベルまで到達することができる可能性が高いといえます。
そこで国際公法の科目特性としては問題演習というよりも知識のインプットが重要と考えられます。
国際公法の効率の良いインプットの方法
国際公法の採点実感では、繰り返し法科大学院教育に求めるものとして「国際法に関する基本的な知識と理解をしっかり身に付けることをまずは目指してもらいたい。」と指摘されています。
したがって比較的広範な国際公法系の出題範囲の中で「基本事項」の該当する範囲は何かを見極め、その部分についての理解を深めていくことが肝要です。
なお、平成31年度の司法試験採点実感では「基本事項」として「国連憲章,海洋法条約,国際司法裁判所規程などの主要な多数国間条約の関係条文の解釈,国家責任に関する理論やICJの判例などに関する理解」が指摘されています。
そこで、国際公法の 「現代国際法講義(第五版)」(有斐閣)をはじめとする基本書を用いて上記「基本事項」の理解を深めていくことが考えられます。
2 国際法のアウトプット
国際公法の科目特性② 過去問演習が重要
司法試験における国際公法の出題傾向として過去に聞かれた問題点が繰り返し出題される傾向があります。
そのため司法試験との関係では過去問の演習を繰り返し行うことが極めて重要であると考えられます。
国際公法の効率の良いアウトプットの方法
先のとおり国際私法は過去問演習の重要性が極めて高いため平成18年度以降の国際公法の問題を繰り返し解くことは必須です。
また、国際公法の演習書は「《演習》プラクティス国際法」(信山社)がほぼ唯一の演習書であるといった状況です。
そこで上記の過去問演習に加え、不安な部分を当該演習書で補強するという勉強法をとることをお勧めします。
さらに、選択者が極めて少ない国際公法ではその受験者数の少なさゆえ、答案作成にかかるノウハウが一般に広がっていないという難しさもあります。
そこで演習の際には小手先の答案作成のテクニックに拘泥せず、法律文書作成の基本である三段論法を遵守して論述していくことが肝要であると考えられます。
※関連コラム:【司法試験・予備試験】選択科目ごとの合格率・難易度を解説!
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