欧州、エネルギーの脱ロシア依存進まず 軽油輸入は急増・ノルドストリームも再開
ロシアへの制裁のため、エネルギー輸入の対ロシア依存脱却をうたう欧州。しかし、7月のロシア産軽油の輸入量は急増し、中断していたノルドストリーム1からのガス供給も再開されるなど、「脱ロシア」には程遠い状況です。
ロイター通信は、石油分析会社ボルテクサのデータによれば、欧州がロシアから輸入するディーゼル燃料(軽油)が今月急増し、3月以来の高水準となったと伝えています。
それによると、ロシアからのディーゼル燃料は7月1日~19日の間で日量82万5000バレルとなり、6月から24%増えました。これにより、ディーゼル燃料全体の輸入量の60%近くをロシアが占めました。
また、21日木曜には、ロシアと欧州を結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム1」によるガス供給が再開されました。
ノルドストリーム1をめぐっては、6月中旬、カナダで修繕されていたタービンが制裁により返還されないことを理由に、運営企業である露ガスプロム社が、ガス供給量を4割削減していました。さらに今月11日からは、定期点検作業のためガスの供給は完全にストップしていました。
ロシアからのガス供給停止をうけ、カナダ政府は制裁を緩和し、タービンの返却を決定。18日に航空便でドイツへ輸送されました。
そしてきょう21日、10日間の点検を終え、ノルドストリーム1によるガス供給が再開されました。現時点では、40%の水準で供給が行われています。
供給再開まで、欧州ではロシアが制裁への報復として、点検終了後もガスを供給しないのではないかとの懸念が高まっていました。しかし実際に供給が再開されると、欧州のガス価格は取引開始時に一時6.5%の値下がりを記録しました。
一方で、ロシアのプーチン大統領は20日、ノルドストリーム1の再開後も、部品関連の問題が続けば供給をさらに絞るか停止する可能性があると警告しました。これをうけEUは、加盟各国に来年3月までガス使用量を15%削減するよう提案しました。
このような一連の動きからは、表向きの主張とは裏腹にエネルギーの脱ロシア化を勧められない欧州の姿があらためて浮き彫りになっています。