気分はどうだい? Vol .14 「それぞれの年末に」

2018年も以前に比べてますますあっという間に過ぎ去った感があります。広告代理店、コンサートプロモーターやマネージメントをしていたある意味まともな現役当時ももちろん一年が早かったイメージがあるのですが・・。コンサートの会場押さえで早いものでは1年前であったり、殆どが6ヶ月前に押さえ、アーティストの調整をしてそのコンサートを発表、チケットを売り出す。アーティストサイドではもちろんその時期に新譜をリリース、レコード会社と連動してのプロモーションを全国規模で展開するみたいなことを仕事として数十年続けていたわけです。そして特に80年中頃は日本において音楽ビジネス(いわゆるJ-POP / ROCK)が最も華やかな時期を迎えようとしていた時期でした。今は全くそれら巨大レコードメーカーそのものが消滅し現在はその音楽業界の仕組みや形態が変わってしまいましたが。で、いつも年末になると思い出すことがあるのです。それは勿論今でも行われているカウントダウンイベントのことです。80年の後半は特にバンドブームを迎え、日本の音楽業界も今から思えば最も華やかな時期ではなかったのではないかと思います。今回は1987年に実施されたオールナイトのロックイベントであった<ロックンロール・バンドスタンド>のことを少し。

1987年のシーンの状況が・・

このイベントは1987年12月31日から全国5ヶ所の都市で同時に開催された年越しライブで、後何年間かに渡り実施されました。開催場所は札幌、新潟、名古屋、神戸、福岡でライブをNHKが放送、各地でさまざまなアーティストが出演しました。全体の主催、運営をニューミュージックから派生したグループ達が所属していたマネージメント・オフィスやイベンターなどが1986年に設立した日本音楽制作者連盟(音制連)が行いました。(旧来の演歌、歌謡曲の芸能プロダクション組織、<音事協>に対抗)時期はバンドブーム到来の始まりで、それぞれ各バンド、事務所がパワーを持っていた時期でした。ハウンド・ドッグ、レッド・ウォーリアーズ、ストリート・スライダーズ、尾崎豊がいた<マザー>、<ハートランド>佐野元春他、エコーズ、ブルーハーツのいた<ジャグラー>、吉田拓郎、泉谷しげる<YUI音楽工房>、<ヒップランド・ミュージック>吉川晃司、大澤誉志幸他、<アミューズ>サザンオールスターズ、爆風スランプ他、<キティーミュージック>など。 そして僕のいた、SION、デルジベット、コレクターズ、ウイラード、ピッチカート・ファイブが所属していた<麻田事務所>などが中心でした。会場も結構でかい場所が選ばれました。

札幌は <月寒グリーンドーム> 出演は金山一彦・ルースターズ・中村あゆみ・泉谷しげる・TAX FLEE・子供ばんど・吉川晃司・RC SUCCESSION。名古屋は <名古屋市総合体育館(レインボー・ホール)> でストリート・スライダーズ、久保田利伸、大澤誉志幸、PEARL、ヒルビリー・バップス、MOJO CLUB、麝香猫、PINK。神戸は <神戸ポートアイランド・ホール> で白井貴子、TOPS、ちわきまゆみ、LOOK、シャムロック、THE HEART、高橋研、GWINKO、安全地帯、德永英明。福岡は <福岡国際センター> ブルー・ハーツ、バービー・ボーイズ、レッド・ウォリアーズ、エコーズ、SION、ZELDA、安藤秀樹、ヒート・ウェイブが出演。そして、僕がデルジベットに同行した新潟の会場は <新潟市産業振興センター展示ホール> でUP-BEAT、BACK-TICK、エレファント・カシマシ、小山卓治、聖飢魔 II、ハウンド・ドッグ、デルジベット、野本直美、長島秀幸、SCOOP、A-JARI、爆風スランプという出演者でした。カウントダウン前後に登場したこの日のメインアクトであったハウンド・ドッグは最もパワーの有る時期で90年には武道館15日間を行うまでになります。また事前の取り決めで爆発系の使用自粛が決まっていたのですが思い切り特効(マグネシウム)を使用したBACK-TICKや今でも語り継がれる強烈なインパクトを残したエレファント・カシマシなどはまだデビューしたとこだったと思います。あとハウンド・ドッグへのアンコールの最中登場したデルジベットなのですが、ど頭の曲でフロントPAから音が出ず(PA卓は2台あり、前のバンドが演奏している時に回線等のチェックが出来ているのですが)周りにいた各PA会社のチーフが慌てて回線の確認をしたのですが単にチャンネルをOFFっていただけのことでした。イベントそのものは進行上いろいろ有りながらも結構スタッフもマネジャーも知り合いが多く楽しくやっていました。まー、楽屋ではいろいろなバンド間のトラブルが有りましたが(ここには書けませんが)それも一つの伝説かもわかりません。今年久ぶりに再会したエレファント・カシマシの元事務所の社長とはこの時の話で盛り上がったのですが・・コンサートのスタッフ、PAも照明も舞台監督、レコード会社のスタッフ、そして僕も含めてほぼ全員がまだ30代、出演しているバンド連中はもちろん20代前半、お客さんもほんと若かったです。ここに出演していた連中でもちろん現在も大ホールでコンサートやっているグループもいるわけですが、いずれにしても31年前の出来事。まだまだガンガン先に向かって皆が競っていた時期でした。いろいろなことが思い出されるのですが、また別の機会にでも・・映像は結構YOUTUBEにUPされています。

 

2018年に聞いた新譜、リイシューアルバム(写真は一部ですが)・・

そして2018年も相変わらず音楽三昧でした。週一の<ラジオ関西>の番組だけでも選曲したのは800曲近くになるし、新譜のアルバムも一杯聞いたし、相変わらず中古レコードも結構買いました。再発物は50周年ものがほんとに多かった2018年でした。で、本ですが片っ端に新刊そして古本をオークションや本屋さんで買いました。ほぼ読んだ順番に掲出してみたのですが・・(雑誌等は除いてます)、この12ヶ月で自分の関心の動きが凄くわかります。12月は小津安二郎の映画を結構観ていたので、本は「原 節子のすべて」だったりするわけです。

 <2018年、読んだ本> 

「叶えられた祈り」トルーマン カポーティ、「恋しくて- TEN SELECTED LOVE STORIES」「職業としての小説家 」村上春樹、「ハリーズ・バー・世界でいちばん愛されている伝説的なバーの物語」アリーゴ・チプリアーニ、「シャドウ・ストーカー」ジェフリー ・ディーヴァー、「コスモスの影にはいつも誰かが隠れている」「渋谷」藤原新也、「あだしの」大岡 信、「メイプルソープ」パトリシア・モリズロームーン、「ぼくは「村上春樹」と旅をした」飯塚 恆雄、「Blind Willow, Sleeping Woman」「ふわふわ」村上 春樹、「人はなぜ「美しい」がわかるのか」「窯変源氏物語」「蝶のゆくえ 」橋本 治、「ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ」江國 香織他、「奇縁まんだら」瀬戸内 寂聴、「ナイト・ダイバー」 天童 荒太 、「富岡多恵子詩集」「表現の風景」富岡多恵子、「いつだってティータイム」鈴木いづみ、「女 」山本 容子、「空白の五マイル」 角幡 唯介、「随筆集 」南方熊楠 、「鈴木いづみ 1949‐1986「女と女の世の中」「いづみ語録」鈴木いづみ、「寺山修司イメージ図鑑」、「マイ・バック・ページ – ある60年代の物語 」川本 三郎 、「ライク・ア・ローリングストーン」宮谷一彦、「二十世紀」橋本 治、「みいら採り猟奇譚 」「谷崎文学と肯定の欲望」河野 多恵子 、「 マイ・ストーリー」 山本 容子、「少女仮面」唐十郎、「村上さんのところ」村上 春樹、「ラジオのこころ」「私のための芸能野史」「老いらくの花」小沢 昭一、「ひとり暮らし」谷川 俊太郎、「小澤征爾さんと、音楽について話をする」村上 春樹、「旅と芸術 発見・驚異・夢想 」巖谷 國士、「 たましいの場所」早川 義夫 、「村上春樹ブック」文學界」4月臨時増刊 、「エンドレス・ワルツ 」稲葉 真弓 、「ねじ式・紅い花」つげ義春、「隠居の日向ぼっこ」杉浦 日向子、「とんがって本気 」加賀 まりこ、「心が見えてくるまで 」早川 義夫 、「こころと人生」 河合 隼雄 、「おんなの遊び編集室」安井かずみ、「詩のこころを読む」茨木のり子、「エンジェルズ・アイ」 山本 容子 、「私デザイン」石岡 瑛子、「源氏物語」谷崎潤一郎、「赤毛のアンの贈り物」ルーシー・モード・モンゴメリ、「HOSONO百景」細野 晴臣、「犬婿入り」 多和田 葉子、「Bob Dylan Chronicles」英ハードカバー、「ロックはどうして時代から逃れられないのか」渋谷陽一、「ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ」 高橋 源一郎、「1995年」速水 健朗 、「ウルトラマン誕生 」実相寺 昭雄 、「ハートに火をつけて! 」「愛するあなた」「男のヒットパレード」「あたしは天使じゃない」鈴木いづみ、「見事な死」 文藝春秋 (編集)、「この冬の私はあの蜜柑だ」片岡 義男 、「ジョバンニの切符をさがして」飯塚 恆雄 、「西安の柘榴」茅野 裕城子、「ヒップな生活革命」佐久間 裕美子、「負け犬の栄光」寺山 修司、「たとえば好き たとえば嫌い」安井かずみアンソロジー、「名前のない花」 藤原 新也、「音楽が終わった後に」渋谷 陽一、「70s」寺山修司、「アメリカン・ニュー・シネマの息子たち―ルーカスからゴダールまで11人のインタヴュー集」ロッキングオン、「電話・睡眠・音楽」川勝 徳重、「あ・だ・る・と」高橋 源一郎、「No Direction Home The Life and Music of Bob Dylan」(英)Robert Shelton 、「O嬢の物語 1」ギド・クレパス、「「老いる」とはどういうことか」河合 隼雄、「インディヴィジュアル・プロジェクション」「グランド・フィナーレ」「Deluxe Edition」阿部 和重、「今日を歩く」「誰でもないところからの眺め」いがらしみきお、「After the Quake Stories」村上春樹、「アイデン&ティティ 24歳27歳 」みうら じゅん、「ぼくは本屋のおやじさん (就職しないで生きるには 1)」早川 義夫 、「生き上手 死に上手」遠藤 周作、「吾れ老ゆ故に吾れ在り―老いと性と人生と」波多野 完治、「死ぬ気まんまん」 佐野 洋子、「「歌」の精神史」山折 哲雄、「花のベッドでひるねして」よしもと ばなな、「ガイアの時代―地球生命圏の進化」J. ラヴロック、「倚りかからず」茨木 のり子、「美女の正体」「ウーマン」下村一喜、「真夏の航海」トルーマン・カポーティ、「村上春樹シーク&ファインド」評論集、「きれいな猟奇」滝本誠、「ダール映画史Ⅱ」ジャン=リュック・ゴダール、「エーゲ海に捧ぐ」「待望の短篇集は忘却の彼方に」中原昌也、「コカイン・ナイト」J・G・バラード、そして「原節子のすべて」(SHINCHO MOOK)