モウセンゴケ(読み)もうせんごけ

日本大百科全書(ニッポニカ)「モウセンゴケ」の解説

モウセンゴケ
もうせんごけ / 毛氈苔
[学] Drosera rotundifolia L.

モウセンゴケ科(APG分類:モウセンゴケ科)の多年生食虫植物。葉は根生し、長さ2~8センチメートルの明瞭(めいりょう)な葉柄があり、杓子(しゃくし)形で長さ、幅ともに0.5~1センチメートル。縁(へり)に長い毛があり、表面は赤色またはほぼ透明な腺毛(せんもう)に覆われ、名は、これに由来する。この腺毛から粘液を分泌し、小動物が腺毛に触れるとこの粘液でこれをとらえ、消化する。6~8月、高さ6~30センチメートルで無毛の花茎に総状花序をつくり、片側に数個の花を開き、先は渦巻状に巻く。花は白色の5弁花で、1輪ずつ上方に向かって開いていく。萼(がく)は深く5裂し、裂片は長楕円(ちょうだえん)形、縁に短腺毛がある。花弁は枯れたまま、果実期にも残る。花柱は3本で深く2裂する。蒴果(さくか)は楕円形で萼より長く、褐色に熟して3裂する。日当りのよい酸性湿地に生え、北海道から九州、および北半球の亜寒帯、温帯に広く分布する。

 近縁ナガバノモウセンゴケは、葉は線状披針(ひしん)形で、長さは本種より長く、3~4センチメートルである。

[小林純子 2020年12月11日]


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百科事典マイペディア「モウセンゴケ」の解説

モウセンゴケ

モウセンゴケ科の食虫植物。多年草で,北海道〜九州,北半球に広く分布し,湿地にはえる。葉は根生してロゼット状に地面に広がり,杓子(しゃくし)状で柄が長く,表面には腺毛が密生,分泌液で小動物を捕え消化する。6〜8月,高さ15cm内外の花茎を出し,白色5弁の小さい花を総状につける。果実は長楕円形で,熟すると3裂し,種子を散らす。近縁のコモウセンゴケは本州〜沖縄,東南アジア,オーストラリアに分布。葉はへら形で柄が短く,花は淡紅色,果実は球形となる。ナガバノモウセンゴケは尾瀬,北海道にはえ,葉は線状へら形。サジバモウセンゴケは前種とモウセンゴケの雑種とされる。

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