なぜかというと必ず、「人文地理って何ですか」と聞き返されるからだ。
そして答えるのは簡単ではない。なんせ、「人文地理学ってなんだろう?」というテーマで半年間、授業があったくらいだから。
とりあえず、「特定の地域をベースにした人間活動について研究する」とか訳のわからないことを言ってお茶を濁すことになる。最近では、突っ込まれるのを避けるために「地方自治・地方行政を研究しています」といきなり具体的な研究対象を挙げて自己紹介を済ますことも多い。
これが「政治学」や「経済学」ならば、相手が「ああそうなんだ」と簡単に納得してくれるだろうに。マイナー学問に身を置いたおかげでいつも居心地の悪さを覚えてしまう。
しかし、少し考えてみれば、「ああ、政治学なんだね」「経済学専攻なんだね」と返事するとき、その内容について理解している人がどのくらいいるのだろうか。たぶんその中身についてはほとんどイメージできていない。政治学や経済学だって、その学問の定義について定まったものがあるわけではなく、書く人が書けば定義についてだけでも一冊の本になるだろう。そういう意味では、「謎の」人文地理学と、たいして違いがあるわけではない。
違うのは、ブランド力、メディアへの露出度、なのだろう。