歩行復元ロボット「オロボット」
しかし、ニャカトゥラたちは、骨格化石と足跡化石をもとに、コンピューター上でその歩行を再現し、しかもそのコンピューター上でつくりあげたモデルをもとに、ロボットを実際に製作して、その動きを検証したのである。このロボットには「オロボット(OroBOT)」という名前が与えられた。
ニャカトゥラたちの分析の結果、オロバテスの歩行は、トカゲよりもカイマン(ワニ)に近いことが指摘された。四肢を踏ん張って、からだを持ち上げて歩いていたというのである。意外とすばやく、活動的である。強いて言えば、のちの恐竜類にみられるような歩き方に近い。
もちろん、オロバテスの分析と歩行の再現にあたっては、いくつもの仮定が設定されている。そのため、これがそのまま往時のオロバテスの歩行を正しく再現したものであると断言することはできない。
しかし、ニャカトゥラたちの研究は、石炭紀やペルム紀の陸を歩いていた"初期の四足動物"の歩行が、従来の漠然とイメージされていた姿よりも、活動的だった可能性を示唆するものとなった。
なお、オロボットの歩くようすは、特設ページから、いくつかの動画をみることができる。ぜひ、確認されたい。
『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編』 〈オロバテス ロボットによる歩行実験〉特設ページはこちら
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