全身化石の発見
オロバテス(Orobates)も紹介しておきたい。
ドイツに分布するペルム紀の初期の地層から、ほぼ全身の化石が発見されている四足動物である。「ディアデクテス類」と呼ばれる、こちらも絶滅した両生類のグループに分類される。ディアデクテス類は、両生類とはいっても、爬虫類の特徴ももつ動物たちで、植物食性だったとみられている。オロバテスの全長は1メートルほど。大きなトカゲのような姿で、がっしりとした四肢をもち、長い尾を備えていた。
オロバテスの歩行復元
オロバテスは、良質な全身化石だけではなく、「オロバテスが残したもの」とされる足跡の化石も発見されている。足跡の化石はさまざまな動物が残しているけれども、その"主"が特定できることはかなり珍しい。「○○類の足跡化石」といった具合に、"大雑把な分類"まで特定できることはあっても、種まで絞り込むことは至難なのだ。
2019年、フンボルト大学(ドイツ)のジョン・A・ニャカトゥラたちが、オロバテスの歩行復元に挑戦した研究を発表した。
この研究が発表されるまで、石炭紀やペルム紀の四足動物の"動きのイメージ"は、漠然としたものだった。なんとなく、「四肢を横に張り出して、腹這いで移動する」という、それこそ、トカゲのようなイメージが主流だった。