日本アクチュアリー会によると2021年現在の正会員数は、1,936名となっています。
宅建士や弁護士に比べるとアクチュアリーの認知度はまだまだ低く、年収やキャリアに関する情報はまだまだ少ないのが現状です。
本コラムでは、実際にアクチュアリーとして働いていた筆者が業界の平均年収について解説します。
目次
アクチュアリーの年収の中央値
令和2年に実施された賃金構造基本統計調査によると、アクチュアリーの平均年収は約774万円となっています。
この調査でアクチュアリーの平均年齢は37.2歳であり、年齢に対して高収入であることがわかります。
ただし、アクチュアリーの年収は、業種や日系・外資系企業の違いなどによって大きく異なります。
業種別によるアクチュアリーの年収の違い
アクチュアリーの平均年収についてですが、裏付けのある数値が少ないのが現状です。
アクチュアリーとしての経験が長い私の感覚でお話するのであれば、所属企業にもよりますが正会員だと年収1,000~1,500万円前後が相場となっています。
信託銀行、国内生保
新卒で入社したアクチュアリー候補の多くが、そのまま主力メンバーとなっていきます。
アクチュアリーを抱える企業はそもそも大企業である場合が多く、一般企業に勤める会社員より収入を多く得られるケースがほとんどです。
新卒として入社した企業では、資格取得の進捗によって大きく年収に差がつくことは少ないかもしれません。
私の実体験として、30歳の若さで年収1,000万円の大台に到達していた人が多いように感じます。
外資系
外資系では、即戦力として活躍できる人材確保に注力しています。
そのため、アクチュアリー資格取得者の待遇は非常に良く信託銀行よりも年収は高い傾向です。
監査法人
生保信託である程度経験を積んだ後に、監査法人へ転職するアクチュアリーが多く見受けられます。
監査法人内では、アクチュアリーは主役ではないためか信託銀行に比べると年収は下がる印象です。
アクチュアリーの年収は準会員・正会員で異なる
アクチュアリーは、資格を取得するまでに8年近くかかるといわれる難関資格です。資格の進捗状況に応じて、研究会員、準会員、正会員と分類されるため年収が異なります。
※関連コラム:合格まで平均8年!アクチュアリー試験の合格率と資格取得までの流れ
資格取得が昇進要件?
限られた一部の企業においては、資格取得が昇進・昇給の要件となっているケースもあります。
試験合格が昇格の大きなチャンスにつながるため、試験勉強のモチベーション維持につながるでしょう。
アクチュアリー準会員や正会員の場合は、毎月数万円前後の資格手当が月給にプラスされます。
資格を持っていると転職活動時に有利になる可能性も
求人募集では、資格取得状況に応じた条件が提示されていることがほとんどです。
そのため、アクチュアリーの資格を持っていると転職活動を有利に進められるでしょう。実際、準会員・正会員になったタイミングで転職活動を行う人は多くいます。
アクチュアリーは、年齢に左右されることがないため転職を機にキャリアアップできるチャンスに恵まれるかもしれません。