大卒で工場勤務なんて恥ずかしいんじゃないの?と悩むあなたへ向けて本記事を書きました。
- 工場勤務は中卒や高卒がするもの
- 大学まで卒業して工場で働くなんて恥ずかしい
- 大卒で工場勤務なんてもったいない
など大卒で工場勤務は負け組イメージが強いもの。
しかし、工場で働く大卒はたくさんいますし工場で働くことにメリットを感じ、すすんで工場勤務を選ぶ大卒もいます。
私は大卒ながら非正規従業員として複数の工場で働いた経験があり、今は町工場の正社員として働いています。
そして、9年以上働き続けていますが辞めるつもりはありません。
今の工場で働くことに満足しているから
そんな大卒の私が製造業である工場で働くことに関し、実体験をふまえつつさまざまな視点から述べていきます。
- 大卒でも工場勤務がおすすめできる理由
- 大卒が工場に就職するときの注意ポイント
- 大卒が工場で長く働き続けるためのコツ
大卒だけど工場で働いてみたい・・・
と悩む人にとって本記事は参考になること間違いなし。
最後までお読みいただければ「大卒で工場勤務も十分アリだな」と感じていただけるはずです。
私のような3流大学以下の卒業生にとって工場はホントにおすすめだよ
大卒で工場勤務がおすすめできる理由
世間のイメージがよくない大卒での工場勤務ですが、おすすめできるポイントがいくつかあります。
あえて大卒が工場勤務を選ぶメリットをまじえながら、おすすめできる理由を述べていきます。
大卒は幹部候補として入社しやすい
大卒の割合が少ない工場勤務は「大卒=優秀」というイメージで幹部候補として期待されます。
幹部候補として入社=出世しやすい
会社で出世して大きな権力を持ちバリバリ仕事したい人にとって、大卒というだけで評価が高まる工場勤務は魅力的です。
大卒ばかりの会社だと大卒というだけでは幹部候補となりえません。しかし、高卒がメインである工場においては大卒の肩書は大きなメリットとなりえます。
※ 工場勤務でもトヨタやソニーなどといった有名大企業は、大卒という肩書だけでは出世に有利とならないのでカン違いしないでください。
工場勤務は人気がなく採用されやすい
工場勤務がある製造業といえば3K(きつい・汚い・危険)イメージがあり、人気がある仕事ではありません。大学まで卒業して工場勤務(とくに現場作業員)を積極的に選ぶ人は多くないです。
しかし、工場を持っている製造業には優良企業がたくさんあります。優良企業でありながら人気がないということは、
ライバルが少なく優良企業に入社しやすい
ということ。
大学生に人気がある華やかな職種、例えばマーケティングやITの優良企業は人気があるがゆえに入社難易度も高いです。
やりたい仕事が明確でないけどホワイトな企業で働きたい人は、大卒でも就職の選択肢に工場勤務を考えるのはおすすめ。
他社で通用するスキルが身につく
製造業、工場の仕事といえばだれでも簡単にできる仕事や単純作業のくり返しイメージが強いです。
たしかに簡単な作業も多いのですが、転職で有利となる専門スキルを身につけることも十分可能。
例えば理系の大学卒業生が配属されることが多い設計開発部門の場合。
- 図面に関する知識
- CAD操作
- 設計開発するモノに関する専門知識
などが必要であり、しっかりキャリアを積み上げれば転職市場での価値は確実に高まります。
同じように品質管理や品質保証、生産管理といった仕事もキャリアを積めば転職するときの強力な武器となります。
大卒でそれなりの企業に入社したものの、社内で通用するスキルしか身につけられない人がたくさんいるのも現実。
他社でも通用する専門スキルや経験がないと転職で苦労するよ
工場の仕事といっても簡単な仕事から難しい仕事までピンキリ。
しっかりとスキルアップを意識すれば、工場勤務でも大卒の肩書に恥じないキャリアを積み上げることができます。
プライベートの時間を確保しやすい
工場勤務は長時間労働となりにくいため、プライベートの時間を確保しやすいです。
- 工場の稼働スタート=勤務スタート → 工場の稼働ストップ=勤務ストップ
- 交代勤務=交代時間で勤務ストップ
となるから。
ITエンジニアや企画営業職などは働こうと思えばいつまでも働けるため、長時間労働になりがち。
しかし、工場勤務(とくに工場内作業者)は労働時間のメリハリがあるので、ダラダラと働くことはなくプライベートの時間をしっかり確保できます。
プライベートの時間が多ければ趣味や自己啓発、副業などをしやすいため、大卒であってもすすんで工場勤務を選ぶ人はいます。
若いときに実力がなくてもそれなりの年収をもらえる
工場勤務は飛びぬけた実力がなくても若くして高い収入を得ることが可能です。
- 残業手当
- 交代勤務手当
- 夜勤手当
といった各種手当が期待できるから。
大卒は高卒よりも基本給が高く各種手当もアップするのがうれしいね
とくに夜勤をすれば他の業種で働いている大卒と比べ、20代なら給料が高いことが多いです。
各種手当は残業をしたり夜勤をしたりするだけでもらえるので、実力は関係なし
仕事の能力に自信はないけれど若いときからタップリ稼ぎたい人は、大卒でも工場勤務(とくに夜勤あり)はおすすめです。
コミュニケーションが苦手でもOK
目の前の作業を黙々とこなしていればいい工場の現場作業員は、コミュニエーションが苦手な人にとって救世主のような存在。
大学まで卒業して工場現場の作業員なんてイヤだ・・・
って思うかもしれません。
でも、他人とコミュニケーションをとらずにできる仕事なんて限られています。
そもそもコミュニケーション能力と学歴は関係ありません。
私が働く工場には大卒で不動産の営業職として就職したものの、対人関係からくるストレスによって退職した人がいます。
今は生産現場の作業員としてモノづくりをしていますが、
前職と比べたら天国のようにストレスが少ない
といってます。
他人とのコミュニケーションをできる限り避けたい人は、「大卒で工場勤務は恥ずかしい」というヘタなプライドなど捨てて仕事を選ぶのもありです。
大卒で工場勤務は恥ずかしくない
工場は中卒、高卒が働くところだから大卒が働くなんて恥ずかしい・・・
なんて思ってしまうあなたへ。
昭和の時代ならいざ知らず令和の時代に大卒の工場勤務は恥ずかしくないこと、場合によっては自慢もできるってことを述べていきます。
工場で働く大卒はめずらしくない
工場で働いているのは中卒、高卒というイメージがありますが、それは昔の話。
今の時代は大学まで卒業する人が増えているのもあり、工場で働く大卒は多いです。
また、大卒が工場でやる仕事というと生産現場以外の管理業務をイメージしがちですが、工場内作業者として働く大卒もいます。
私が過去に働いていた大手精密機器メーカーでは、大卒の派遣従業員が業務用プリンターの組み立てライン工として何人も働いていました。
名前を聞いたことのないFランク大学の卒業生が多かったですが、大卒であることには変わりありません。
正社員として大企業で働ければ自慢できる
工場勤務でも誰もが知っている有名大企業の工場で働いているならば、勤務先を聞かれてもどうどうと話すことができます。
派遣といった非正規じゃなく正社員であることが条件だけど・・・
トヨタやソニー、パナソニックなど一流メーカーの工場で正社員として働いていると聞くと、
すごいな・・・羨ましい・・・
と素直に思ってしまいます。
大卒でも工場で長く働ける人の特徴
私は10年以上の工場勤務でいろいろな大卒を見てきましたが、私のように長く働き続ける人もいれば短期間で辞めてしまう人も見てきました。
私が今まで見てきたことにもとづき、大卒がメインの職場でない工場で長く働くことができる人の特徴を述べていきます。
世間のイメージを気にしない
工場勤務に対する世間のイメージはよろしくありません。
バカでもできる仕事、単純作業の繰り返し、ダサい、などネガティブイメージがあり恋愛や結婚で不利に働くことすらあります。
大卒なのに工場で働くってどうなの?
と言ってくる人もいます。
こうした世間のイメージを気にしない人でなければ、大卒で工場勤務を長く続けることはできません。
大卒のプライドを捨てられる
工場では学歴が低く教養レベルが低い人も多いですが、ヘタに自分は大卒だというプライドを持ち、中卒や高卒の人を見下していると人間関係で苦労します。
工場勤務はコミュニケーションが少ない職場といっても作業中に限ったこと
休憩時間や職場のイベントなどでは、従業員同士ある程度コミュニケーションを取る必要があります。
ギャンブル、ゲーム、女遊びの話で盛り上がっている人たちを、
低学歴で頭おかしいんじゃないの
とバカにしていると、職場に馴染めず楽しい会社員生活を送れません。
学歴で仕事をするわけではないので、大卒のプライドはキレイサッパリ捨てましょう。
モノづくりが嫌いじゃない
製造業である工場勤務の原点はモノづくりなので、モノづくりに興味がなければ長く働くことは厳しいです。
工場の仕事は、
- どのようなモノをつくるか考える
- どうやってモノをつくるか考える
- どうすればモノがうまくつくれるか考える
ことです。
工場勤務は現場作業以外にも設計開発、品質保証、生産管理などいろいろな仕事がありますが、すべてモノづくりに関わっています。
大卒で工場勤務を選ぶときの注意ポイント
中卒や高卒が工場勤務を選ぶうえでは気にならないことでも、大卒だと気になってしまうことがあります。
工場に就職してみたけれど、こんなはずじゃなかった・・・辞めたい・・・
って後悔したくないですよね?
工場に就職するまえに知っておきたいことや、選ぶときにこだわった方がいいことを述べていきます。
工場勤務の大卒は高年収をのぞめない
大卒で有名企業に入社しても工場勤務だと高年収(1000万円以上)はほぼムリです。
年収1000万円以上もらえるのは大企業で順調に出世したわずかな人だけ・・・
不動産営業やITエンジニアなどは実力次第で年収1000万円以上稼いでいる人も多いです。
しかし、工場勤務がある製造業界ではとび抜けた実力があっても、役職が伴わないと高年収がもらえません。
自分の実力をガンガン発揮してバリバリ働いてガッツリ稼ぎたい人は。製造業界で働くことをやめましょう。
正社員にこだわる
工場の求人は正社員よりも派遣従業員の方が多いですが、正社員にこだわりましょう。
派遣は忙しいときの都合がいいお手伝いさんとしか企業に思われていないのが現実です。
大手の有名企業で働けるからといった理由で安易に派遣として就職すると、後悔する確率が高いです。
- ライン工など同じ作業をくり返すだけの仕事
- まともな教育がされないからスキルアップが望めない
- ヒマになったらアッサリ派遣切りにあう
など、きついことが多いです。
もちろん、工場で働く正社員には正社員のきつさがありますが、どんな仕事もきつい面はあるのであきらめるしかありません。
「短期間だけ稼げればいい」「やむを得ない事情がある」とき以外は中小企業や町工場でもいいので、正社員として就職することを強くすすめます。
会社の規模にこだわらない
工場勤務をしたいと考えたとき、大企業だけでなく中小企業を狙ってみるのもすすめます。
たしかに他の業界と同じように製造業界も大企業の方が安定しているのは事実。
しかし、規模が小さく無名でも優れた技術力を武器に高い価値を生み出している企業、町工場は存在します。
規模が小さな町工場は福利厚生や給料面で大企業より劣りますが、
- 他では得られない独自の高い技術を身につけることができる
- 部署をたらい回しにされる可能性が少なくスペシャリストになれる
- 転勤の可能性が低い
といったメリットがあります。
トヨタやソニーといった大企業ではモノづくりの現場で働きたくても、希望しない人事部や資材調達部などいろいろな部署を経験させられる可能性が高いです。
純粋にモノづくりをしたい人は大企業よりも中小企業の方がおすすめ
零細企業はやめたほうがいい
「規模にこだわるな」とは言っても、家族経営で従業員が10名にも満たない企業はさけるのが無難です。
- あからさまに経営者一族が優遇されている
- 労働基準法がまともに機能していない
- 給料がビックリするほど安く休日も少ない
など、ブラック企業の可能性がきわめて高いです。
家族経営でも経営者の身内以外が多くいる企業ならいいですが、ほとんどが経営者の身内というところは絶対にやめましょう。
3K職場がイヤなら業界を選ぶ
工場といえば3K(きつい・きたない・きけん)イメージですが、イメージ通りの工場はたくさんあります。
大学まで卒業したのにきつい肉体労働や劣悪な環境で働きたくない・・・
という人は業界(つくっているモノ)をよく選びましょう。
例えばキレイな職場で働きたい人の場合。
おすすめは、半導体製造メーカーやプリンター製造メーカーです。
油や粉塵とは無縁な環境で働くことができるから
逆に辞めたほうがいい業界は金属加工の工場です。
重量物をあつかい、油や粉じんにまみれ、ケガを伴う事故が起こりやすい、とまさに3K
ちなみに私が働いているのは鋳造会社(溶かした金属を型に流してモノづくりをする)なのですが、「これぞ3K」と感じることがたくさんあります(笑)
同じ製造業界でもつくっているモノによって工場の環境はぜんぜん違います。
工場で働く大卒向けの仕事
工場で働く大卒は現場を経験する目的で作業員を経験することもありますが、管理業務やデスクワークメインの仕事をやることが多いです。
大卒向けの肉体より頭脳をメインで使うことになる仕事を紹介していきます。
生産管理
生産管理は工場の生産が計画通りうまくいっているかを管理する仕事。
- 生産計画と実際の生産状況を照らし合わせて、生産が遅れていれば残業を指示する
- 生産ライン全体を見て、資材の管理や在庫調整をおこなう
などして生産のコントロールをします。
生産現場では機械トラブルや作業者の欠員など予期せぬことが多くて、コントロールするのは大変です。
- コミュニケーションが得意で物事を広い視野で見られる人
- 人間関係のストレスに強い人
- 調整能力が高い人
品質保証
生産しているモノの品質がお客様の求めているレベルを満たしているかをチェックして保証する仕事。
製品の寸法・成分・強度・性能などをチェックし、基準に満たないときは指摘して改善を求めます。
品質保証は細かくてうるさい、と他部署の人から嫌われることが多いよ
- 論理的で細かいことでもナアナアで終わらせずに追及できる人
- 自分の置かれた立場でハッキリ物事を言える人
品質管理
品質保証部が保証している品質通りのモノづくりがおこなわれるよう、生産ラインを管理する仕事。
生産工程において不良品が出ないようQC7つ道具などを使って改善しコントロールします。
- 細かく仕事内容をチェックできる人
- 数字に強く分析ができる人
- コツコツと改善していく地道な作業が得意な人
開発設計
製品の開発やCADを用いた図面を制作する仕事。
設計は製品の設計図をつくり、開発は設計図をもとに実物の試作をつくります。
つくるモノに対する高度で専門的な知識が必要だよ
- 専門的な知識やスキルを持っている人
- 想像力が豊かな人
- 人に物事を伝えるのが得意な人
営業
製造業である工場の営業は飛び込みや新規獲得ではなく、既存顧客とのやり取りがメインの仕事。
お客様と工場の間に入って納期のやり取り、取引先や下請けの管理、クレーム対応などをします。
- 対人関係のストレスに強い人
- 仕事に対して浅く広く学べる人
まとめ:大卒でも工場で働く価値はある
工場勤務は地味でネガティブなイメージがあり、大卒に人気がないのは事実。
しかし、どんな仕事でも同じですがさまざまな視点から見て考えることが大切です。
何事も経験してみないとわからないよ
最後に、大卒でも工場で働く価値がある理由と工場勤務をするポイントを簡潔にまとめておきます。
- 人気がないためライバルが少なく優良企業に就職しやすい
- 転職市場でブキとなるスキルを身につけることが可能
- 長時間労働になりにくくプライベート時間を確保しやすいため、副業、自己啓発、趣味を充実させやすい
- 今は大卒で工場勤務をしていても恥ずかしくない時代
- 世間のイメージを気にせず大卒のプライドを捨てることが長く働くコツ
- 実力に自信がありバリバリ働いて年収1000万円以上稼ぎたい人は製造業界、工場勤務を選ばないほうがいい
- 就職するときは正社員にこだわり大企業にはこだわらない(零細企業は避ける)
大卒だからという理由で工場を就職先からはずしてしまうのは、もったいない。
雇用形態と企業選びさえしっかりすれば、大卒であろうと工場勤務は十分魅力的です。