今回は、スコッチウイスキーの産地の一つとして有名なスペイサイドについて紹介します。

スペイサイドとは

scotスペイサイドとは、スコットランドの北部から中部にかけて広がるハイランド地方の中央部を流れるスペイ川およびその支流の流域を指します。

一般的にスコッチウイスキーの産地区分として、ローランド、ハイランド、島嶼部(アイランズ)に大きく分けられますが、スペイサイドはハイランドモルトからは別区分されます(それ以外にハイランド地方西部にあるキャンベルタウン、島嶼部の中でもアイラ島も別区分)。

スペイサイド以外のハイランド地域にも蒸溜所は存在していますが、このスペイサイドには多くの蒸溜所が集中しています。

なぜスペイサイドなのか

なぜこのスペイ川流域がウイスキーの一大産地になったかというと、このスペイ川流域が大麦の畑が多く、流域にはピート(泥炭)が豊富に採れてモルティングなどの燃料に困らなかったこと、そしてスペイ川の水が良質だったことが挙げられます。

そして1707年にスコットランドがイングランドに併合されて連合王国となった際、イングランド政府がウイスキーに重税を課すようになりました。
この税金から逃れるため、ウイスキーの製造者は大麦麦芽やピートを手に入れやすいスペイ川流域に逃げ、そこで密造酒の蒸溜所を建設するようになりました。

1823年に重税が緩和されると、1824年にグレンリベット蒸溜所を筆頭に、スペイサイドにあった密造酒の蒸溜所が政府公認を得るようになり、今に至っています。

つまり、良質な環境だったことに加え、重税という歴史的背景があったことで、スペイサイドは一大産地となったのです。

主な蒸溜所

ザ・グレンリベット

先ほど書いたように、スペイサイドで最初に政府公認の蒸溜所となったのがグレンリベットでした。
その後周辺の蒸溜所もグレンリベットを名乗るようになりましたが、オリジナルを標榜するために、自らを「ザ・グレンリベット」と称し、他の蒸溜所がグレンリベットと名乗らないよう訴訟を起こしました。
最終的には他の蒸溜所には付属する形でグレンリベットを称することは許されましたが、ザ・グレンリベットの評判は落ちることはありませんでした。

2015年から、世界で最も売れているシングルモルトウイスキーになっています。

現在はノンエイジが2000円台で購入できるなど、安価に飲めるシングルモルトとしても有名です。

グレンフィディック

1886年にウィリアム・グラントの手によって創業した蒸溜所で、グレンリベット同様に、安価でシングルモルトが手に入る銘柄になります。

1970年代に、それまではブレンデッドのベースとして製造することが多かった時代に、大々的にシングルモルトウイスキーとして販売する方針に転換し、それ以降のシングルモルトの人気に火をつけることとなりました。

グレンリベットに抜かれるまで、世界で最も売れているシングルモルトウイスキーでした。


ザ・マッカラン

シングルモルトのロールスロイスと謳われるほどの格式のある銘柄であり、シェリー樽原酒からの強いブドウ感が特徴的です。

蒸溜所側がシェリー酒のメーカーに樽を持ち込み、指定された方法でシェリー酒の熟成に用いらせるなど、厳しい基準を設けているのも特徴的です。

近年では樽不足などによる高騰が進んでいて、レギュラー以外のノンエイジボトルが出てきています。


その他

それ以外にも多くの蒸溜所がありますが、当ブログではカテゴリーとして「スペイサイド」を設けているので、それらをご覧下さい。