安倍元首相銃撃、言論の暴力にも警備体制の不備にも触れない朝日

警察に猛省迫る読売

札幌地裁判決では朝日は「裁かれた道警 許されぬ憲法の軽視」との社説を掲げて北海道警を断罪(3月29日付)、1面コラム「天声人語」は道警の警備を「ロシア流、ミャンマー流の弾圧を水で薄めただけ」と罵(ののし)った(同27日付)。まさか警察は朝日の警備批判に恐れをなして手を緩めたか。そう邪推したくなる。

読売の前木理一郎編集局長は9日付1面で「一体、警備体制はどうなっていたのか。世界で最も治安が良いとされる日本で、参院選のさなか、2度首相を務めた人物が白昼堂々、銃で撃たれる」と嘆じ、「日本の『安全神話』を揺るがす国家的失態だ」と警察に猛省を迫っている。

さらに9日付社説は「要人警護の体制不備は重大だ」の見出しを立て、札幌地裁判決を俎上(そじょう)に載せ、「要人警護のあり方に検討の余地はあるにしても、容疑者がやすやすと至近距離まで近づいて発砲するまで、何の措置も取らなかったことなど、対応に不備があったのは明らかだ」とし、警備体制の検証を求めた。

何があっても反安倍

だが、朝日は安倍氏の身に何があっても反安倍で「言論暴力」にも「警備不備」にも触れない。9日付社説「民主主義の破壊許さぬ」の結論は「民主主義を何としても立て直す」だった。これは安倍氏の首相退陣表明時(20年8月)に朝日社説が言った「深く傷つけられた日本の民主主義を立て直す」(同29日付)のコピペだ。

安倍氏は6回の国政選挙で国民の信を得ているのに今なお認めないわけだ。これでは今回の参院選結果も「深く傷つけられた」と言い出しかねない。くわばらくわばら。

(増 記代司)