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作家のはしくれでございます。「戦うパン屋と機械じかけの看板娘」（HJ文庫）全１０巻。「剣と魔法の税金対策」（ガガガ文庫）５巻発売中！「機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE（ストーリー）」ガンダムエースにて連載中！ お仕事募集中です。
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まあほぼ同時に、三浦のじいさまも死ぬんだが、こちらは７７歳で、当時としては十分すぎる長寿なので、平六はちゃんと弔ってあげてほしい。
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しかし、こう考えると皮肉なもので、「長期安定バランス政権」を思索した梶原殿が、その構想の崩壊と同時に、一番最初に舞台を去るというのが、なんとも・・・・
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秤の乱れを制し、亡き頼朝に代わって自身が「権力の集中者」となった後に、義時が相対する者こそ、後鳥羽院。
今回の序盤で初顔出しが行われたのは、これから始まる壮絶な「血で血を争う」戦いの果ての「ゴール」が示されたのかもしれない。
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そしてここからはじまる壮絶な「秤の乱れ」に、頼朝らの「源氏血統」たち亡き後、「秤の中心」を果たすことになってしまう者こそ、望まずして「１３番目の男」として加わった、北条義時なのだろうと。
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「秤が倒れる」とはどういうことか、それは「源頼朝家系による支配統治体制の崩壊」である。
秤が倒れれば、次は倒した「重い方」が新たな秤となる。
頼家という不安定な秤が倒れた時、次は「評定衆」という新たな秤が生まれるのだ。
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先に上げた「大化の改新」において、なぜ中大兄皇子と中臣鎌足は蘇我氏を粛清したのか。
それは、放置すれば秤そのものが倒れてしまうから。
その前に、「蘇我」という肥大化した「秤の片側」を蹴り落としたのだ。
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だが「大天狗」と称された後白河法皇と、若き頼家ではあまりに年季が違いすぎた。
そして朝廷と鎌倉では、まだあまりに権力地盤・・・否、権威の地盤が違いすぎた。
結局、頼家という「秤」の土台は脆いままなのだ。
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ここらへん、「決して頼家は無能な二代目ではなく、それなりの政治センスがあった」とも解釈できる。
近習衆には北条・比企の家の者たちもいる。
保元の乱よろしく、同じ一族の者同士を対立させ、自己がその中心に立とうとしているのかもしれない。
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ラスト、頼家が「六人の近習」を見せたのも、実はさほど暴走ではなく、本来土台となる５人の代わりに、自己の足元を固める者たちを求めたと考えれば、「まだ次善の策」の範疇だった。
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なのだが、義時はバランス感覚に優れすぎたのか、梶原殿のプランを理解できず、「土台となる五人」まで秤に載せた上で、６ー６の１２人に増やしてしまった。
普段クールな梶原殿の「違うのだ！」という叫びは、温め続けてきたプランの崩壊を意味するのだろう。
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そのプロデュースを自分が行えば、結局は「梶原家の専横」になるため、
「独立して江間家を起こした」
「先代頼朝の側近にして、政子の実弟」
「源平合戦で功績のある５～６０代の年長者と、１～２０代の頼家近習の若手の中間の三十代」
「なにより当人に権力欲がない実務家」
な小四郎に託した。
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宗時兄者とは異なるが、
「どこか一家の支配ではなく、すべての家の者が政権に関与しやすく、暴走のない長期の安定政権」を可能とするこの構想こそ、まさに「坂東武者の国」が百年存続可能なプランであったと考えられる。
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要は、
「北条・比企」の両勢力を拮抗させ両側に配置、
「頼家あっての」五人を土台として政権を安定、
その上で、
「頼家自身は最高権力者であるが絶対権力者にはさせず独裁と暴走を防ぐ」
全方向に安定した統治スタイルを、梶原殿は組み上げたのだろうと、
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こう考えると、梶原殿が範頼粛清に自身の駒を用いて行うほど積極的だったのも、同時に現在唯一の「近しい源家」の阿野全成が、権力闘争に介入することを「もう考えるな」と言ったのも、自分は僧籍にあるから、「ギリギリ見ないふりをしてもらっている」と察したからかもしれない。
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「秤の中央にあるものは、きらびやかだが重くあってはならない。双方の強い力を”ちょん”と押す程度でいい」
秤の両側が中央を求めるように、中央もまた天秤の両側を求めることで、安定が生まれるのだ。
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