安倍元総理の銃撃事件で逮捕された男の母親のように、旧統一教会への献金などで家庭が崩壊したという人からの情報が相次いで寄せられました。
その中で富山県内に住む元信者の家族は、信者が多額の献金をする裏で政治家の存在が教団の活動にお墨付きを与えていたのではと話しています。元信者が語る、第3弾です。


元信者の兄:
「ここに高麗大理石のつぼって(書いてある)、なんの変哲もないただのつぼが60万円」

当時、信者だった男性の妹が、60万円で購入したつぼの契約書。

元信者の兄:
「テレビとか週刊誌とか新聞で霊感商法の被害が出てます。見るたびに家族は泣いていました」

富山市に住むこの男性の妹が、40年前、当時の統一教会に入信。つぼを買ったり、貯金を献金したりするなど、教会の活動にのめり込み、その後、行方不明になりました。

元信者の兄:
「今まで父、母、(妹と)4人で暮らしていたものが、突然1人がいなくなる。家庭崩壊ですよね」

男性は10年間をかけて妹を脱会させましたが、その後も統一教会を調べ続けてきました。資料の中には、統一教会と政治家とのつながりが書かれた本も…。

12日行われた霊感商法の問題に取り組む弁護士の会見では。

全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広 弁護士:
「安倍元総理が殺害されたことは許されない。」
「私どもとしては、安倍元総理にも、あるいはほかの政治家に対しても、何回も統一教会の社会悪を考えたら反社会的団体である統一教会にエールを送るような、そういう行為をやめていただきたいと、繰り返しお願いしてまいりました」

安倍元総理は去年9月、旧統一教会の関連団体であるUPFのイベントで、ビデオメッセージを
送っていました。

ビデオメッセージ:

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「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ、朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆様に敬意を表します」
UPFは、統一教会の創設者である文鮮明氏が2005年に創設。現在はその妻・韓鶴子氏が
代表を務めています。

富山県内でも去年9月、自民党の県議が実行委員長を務めるUPFの講演会が開催されました。自民党の関係者は「UPFから申し出があり、知事選や高岡市長選で選挙の応援を受けた。彼らは戸別訪問が得意で統一教会と関係があることもわかっていた」と 話しています。


安倍元総理のメッセージについて元信者の兄は─。

元信者の兄:
「ビデオメッセージまで送ってる。インパクト強いでしょ。元総理がこういうことをしてる。これを家族に見せたらどうなりますか。それを見た親はどうなりますか。『ああ総理大臣が推薦しているんだ』と。これはもう国から承認された団体なんだと思うでしょ」

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また、別の元信者の女性は政治家の存在が信者の心理に影響を与えていたと話します。

元信者の女性:
「信者に影響を与えるようなことをなぜするのかなという。信者の人たちはみんなモニター越しに(政治家を)見ますよね。やっぱりそれで安心ていうか『自分のやってることが間違いじゃない』っていうことを確信すると言いますかね。『日本はこういうふうに動いてるんだ』っていうのを、(確信)すると、さらに献金しなくちゃって思いになると思いますね」

一方、11日の会見で、旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合は、UPFはあくまで別の組織だと説明しました。

世界平和統一家庭連合 田中富広 会長:
「安倍元総理は文鮮明総裁が主導され、多くの世界の指導者とともに推薦されている世界平和運動に賛意を表明してくださっていた。ただ、宗教法人世界平和統一家庭連合の会員として安倍元総理が登録されたこともありませんし、また顧問にもなったことはございません」

しかし、霊感商法の問題に取り組む弁護士はUPFに所属している信者も多く旧統一教会のフロント組織としています。

妹が信者となった富山市の男性。妹が霊感商法の販売員となり、加害者になったことが一番つらかったと言います。

元信者の兄:
「私の家は家庭崩壊しましたけど、今度は妹はほかの家族を不幸にしていく。今は被害者だけど加害者になっていく。それが一番苦しかったです。政治家といっても、誰一人統一教会に入信しないし、自分の子どもも入信させない。(政治家は)単なる広告塔なんです。賛同するような、誤解を招くような行動は慎んだほうが私はいいと思う。(このままだと)第2、第3の山上容疑者が出てくる可能性は否定できないと思う」

旧統一教会への献金などによって 次々と家庭が崩壊する悲劇。結果として、教団の活動を応援した形となった政治家にも責任はあるのでは、と男性は話します。