※本稿は、前田智大『灘→東大→MITに合格した私の「学びが好きになる」勉強法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
中学高校時代の勉強時間は毎日1時間
私の学業成績は、最初は学校の「中の下」くらいから始まって、後ほど伸びていくという、特徴的な曲線を描いています。小学校時代の塾しかり、灘で過ごした中高時代しかり。
その理由は「基礎」、すなわち物事の根底部分の理解に注力するからです(前回の記事参照)。原理原則に沿った学び方は、地道な作業にかける「期間」は長いですが、1日単位での勉強「時間」は、さほど長くはありません。
中学高校時代、生物学オリンピックや大学入試の時期をのぞけば、家での勉強時間は毎日1時間程度でした。その日の授業の復習を30分、好きな生物の勉強を30分。これだけで終了です。ただ、電車の通学時間が往復3時間半あったので、本を読む時間は多かったですが。
「それだけで、どうして成績が伸びるの?」と疑問に思われるかもしれません。
ほかの生徒たちと私の違いが一つあるとしたら、私は灘校生には珍しく、「授業を集中して聞く」生徒でした。授業を適当に聞き流している生徒が多い中、私は全力で、理解しようと努めました。つまり、学校の授業が勉強時間だったのです。
とはいえそんな私でも、授業を聞かないときがありました。たとえば数学で、板書された式の意味がわからないときは、残りの授業を聞かずに、そこを理解することに集中しました。
「そんなことをしたら、その先で出た大事な話を聞き逃すのでは?」と思いますよね。
たしかに、短期的に見ると小さな損は発生するでしょう。しかし、今ひっかかっているところをクリアしなければ「その先」も理解できません。今の疑問も先の疑問も解けないという長期的な損より、今の疑問をその場で解決する得を選んだのです。