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平田のランドマーク解体 旧サンアイやボウリング場 半世紀の歴史に幕

解体工事が始まる前の建物。大きな屋根が特徴だった

 松本市平田東の国道19号沿いで、半世紀以上商業施設や遊技場として親しまれた建物の解体工事がこのほど始まった。切り妻で大きな反りのある屋根が特徴で市南部のランドマーク的な存在だった。6月末にも本体外部の取り壊しが始まり、今秋にも更地となる。

 建築・土木用コンクリート製品の製造・販売などを手がける昭和産業(本社・岐阜市、山田尚人社長)が、松本工場に隣接して所有する。鉄筋コンクリート・鉄骨造り2階建てで昭和45(1970)年に完成、11月に同社の松本ミスズボウルがオープンした。約2年後、1階に日用品などを幅広く扱うディスカウントショップ・サンアイが開店。約1万平方メートルの敷地があって駐車場も広く、買い物や娯楽を楽しむ市内外の人でにぎわった。同店は10年ほどで閉店したが、量販店や遊技場などに形を変えながら活用された。建物の老朽化で令和2年10月にボウリング場など全ての店舗が閉店した。
 建物は神社仏閣に多く見ることができる反り屋根で、上から下へ大きな曲線を描いているのが特徴だ。山田社長は当時の商業施設としては「画期的な設計だった」。中高年層には「サンアイ」の印象も強く残っている。数年前に県外出身の山田社長が出先からタクシーに乗った際、「運転手さんに社名を言っても分からなかったけれど『サンアイ』と言うと分かった」と振り返る。
 跡地利用について山田社長は未定としながらも「地域の皆さんに親しまれたことに感謝している。新しいまちづくりのために考えていきたい」と話している。