「噛んで~!」友近も仰天『吉原炎上』の“名シーン”はこうして生まれた

仁支川峰子、友近、五社巴が語り尽くす
週刊現代 プロフィール

感動の「炎上シーン」

友近 お金のかけ方がまるで違いますよね。とにかく豪華の一言に尽きます。

五社 そうね。美術の西岡善信さんは、大映出身の国宝級の美術監督ですし。小物から何から、手を抜いていませんよね。

友近 郭の中のステンドグラスとか、小物もひとつひとつが素敵なんですよね。「こんな世界があったんだ」と思わせてくれる説得力が違う。だからこそ、あの生々しさが生まれるんですよね。

私は、あのセットの中に入ってみたくてたまらない。炎上シーンに繋がる火事が起きるシーンでは、爆風を受けて、菊川の顔がブルブル震えるんですよね。かたせさんの皮膚の柔らかさが伝わってくる。ああいう表現にも、五社イズムを感じます。

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五社 出火の原因となる、ランプが倒れる場面。元は久乃の馴染み客だった根津甚八さん演じる信輔が、菊川がいる店の若い女郎と愛し合っている最中、倒れるランプをチラッと見る。つまり、二人は心中するんです。

仁支川 最後の炎上シーンは、後で見て感動しちゃった。小花のように、あの中で死んでいっちゃった人も沢山いるんだけど、自分たちが頑張って生きた故郷みたいなところが燃えちゃうわけだから。私たちの人生すべてが燃え尽きちゃうような気がしました。

 

友近 あの真っ赤に燃えるラストは、切ないですよね。川に飛び込んで、生き残る菊川の不屈さも私は大好きです。

仁支川 この映画に出演できた経験は私にとって宝物です。40歳の時に台風による豪雨のせいで、家と一緒にVHSも流されちゃって、それ以来観てはいませんが、『吉原炎上』は私の心の中にしっかり焼き付いています。

「週刊現代」2022年7月16日号より

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