役に立つ頭部
よく知られているのは、水中を泳ぐ際の助けになっていたのではないか、という仮説である。
1980年、ウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)のA・R・I・クリックシャンクとB・W・スキューは、ディプロカウルスの成体の頭部を復元した模型を製作し、飛行機の製作などでも用いられる風洞実験をおこなった。
その結果、この独特の形状の頭部は、口先を少し上に向けるだけで揚力を生み、少し下を向くだけで速やかな下降を助けるという。水中で暮らすディプロカウルスにとって、実に"役に立つ形の頭部"といえるのだ。
体を覆う皮膜についての議論
もっとも、このブーメラン型の頭骨にそのまま肉と皮をつけて復元するべきかどうかについては、議論がある。
たとえば、2012年にケンブリッジ大学(イギリス)のジェニファー・A・クラックが著した『GAINING GROUND』の第2版では、頭部の後方から体全体を覆うような"皮膜"が発達していた図が収録されている。
どことなくエイを彷彿とさせるその姿は、ディプロカウルス自身の証拠にもとづくものではなく、近縁種の化石にもとづいたものであるという。古くは、1950年代の論文でもこうした皮膜の可能性は指摘されている。
今後の研究と発見次第では、ディプロカウルスの復元が変わることになるかもしれない。
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さて、この記事中でディプロカウルスの天敵であったでろう、エリオプスとはどんな生物で、どのような経緯で復元されたのか。次回、〈唯一無二の超大陸「パンゲニア」に繁栄した"最強両生類"たちの復元〉でお伝えしよう。
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