沖縄県久米島町真謝の沖合約50メートルの海岸で14日午後3時ごろ、30~50匹のアオウミガメの死骸や瀕死(ひんし)の個体が見つかった。鋭利な刃物で首の付け根などを刺されたとみられるカメもいた。地元の漁業関係者は「漁を守るために駆除(殺傷)せざるを得ない状況がある」と説明して、漁業者が今回の事案に関わっていることを認めた。県警は関係者から話を聞くなどして、経緯を調べている。
久米島ウミガメ館によると、現場の海域はウミガメのえさが豊富にある藻場の一つ。ウミガメは大潮に合わせて、えさを求めて泳いで来たとみられる。藻場付近の海域300~500メートルの範囲に死骸が点在していたという。職員は刺し傷のような傷口から出血したカメを10匹ほど確認した。「自然にはできない深い傷だ」と指摘して「ショックだ」と声を落とした。
一方、久米島町の漁業関係者はアオウミガメが「踏んで歩けるほど増え過ぎている」と語る。海草を食べて天然もずくの生育環境を破壊し、養殖もずくが食べられる被害も発生しているという。ウミガメが漁の網にからまることも度々起こり「漁師はみんな困っている」と頭を抱える。
死骸は15日には、引き潮で沖合に流されるなどして、現場には残っていない。
アオウミガメは国際自然保護連合(IUCN)、環境省ともに絶滅危惧種に指定しているものの、種の保存法や県の希少野生動植物保護条例では保護の対象外となっている。今回の事案は死んだウミガメの個体数が多いことから、県は事態を重く見て、状況を注視するとともに情報収集に努めている。
(照屋大哲、安里周悟)
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