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安倍前首相、自民党幹部、新聞OBらと詐欺企業「ジャパンライフ」の“蜜月”関係

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

安倍前首相、自民党幹部、新聞OBらと詐欺企業「ジャパンライフ」の“蜜月”関係の画像
安倍晋三元首相

 安倍晋三元首相が7月8日、亡くなった。街頭演説中に銃撃されるという衝撃的な事件だった。

 犯人はすぐさま逮捕され、事件の背景が少しずつ明らかになってきている。現時点で報じられている範囲では、犯人の母親は「統一教会」(現・世界平和統一家庭連合)の熱心な信者で、これにより家庭崩壊を起こしたことから犯人は同教団への怒りを抱き、安倍氏と同教団のつながりを疑い、凶行に及んだとされている。

 こうしたことから統一教会に関心が寄せられているが、同教団といえば、いわゆる「霊感商法」と呼ばれる悪徳商法が問題視され、たびたびトラブルとなった。全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、現在も被害は続いており、教団による霊感商法の被害相談は2020年は214件、あわせて9億円以上の被害相談が寄せられているという。

 安倍氏、あるいは自民党と統一教会の“つながり”が脚光を浴びる一方で、「ジャパンライフ」と政財界の関係性にもふたたび注目が集まっている。ジャパンライフはそのマルチ商法被害が社会問題となったことで知られる企業で、度重なる行政指導を受けた後、2017年に倒産したが、2018年には自民党幹事長(当時)の二階俊博氏や安倍総理(当時)までが同社の宣伝チラシに登場していたと報じられ、安倍政権との距離の近さが問題となった。

 今月10日に行われた参議院選挙で自民党は大勝したが、改めてこの機にジャパンライフと政界やマスコミの関係について振り返りたい。ジャーナリストの鷲尾香一氏が2020年9月に寄稿した記事を改めて掲載する。

※本記事は日刊サイゾー 2020年9月23日掲載の記事を一部編集したものです

安倍晋太郎の時代から続いていたジャパンライフとの関係

 マルチ商法を展開していた「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長と同社の元幹部ら計14人が9月18日、詐欺容疑で警視庁など6都県警の合同捜査本部に逮捕された。同社は政界やマスコミとのつながりが強い。そこで、ジャパンライフとの関係が取り沙汰され、名前があがっている人物をまとめてみた。(役職名はすべて当時)

 磁気ネックレスの預託商法などマルチ商法を展開していたジャパンライフの詐欺商法による被害者は約7000人、被害総額は約2000億円を超える。詐欺商法としては1980年代前半に発生した豊田商事による金の地金を用いた「現物まがい商法」の被害額を上回る詐欺事件だ。

 ジャパンライフの設立は1975年3月で、40年を超える歴史を持つ。
①家庭用永久磁石磁気治療器の製造・卸・販売
化粧品の卸・販売
健康寝具の製造・卸・販売
④栄養補助食品、清涼飲料水の卸・販売
などの事業を展開していたが、実態は家庭用磁気商品を中心にした販売預託(オーナー)商法を行っていた。

 販売預託(オーナー)商法は、顧客が「レンタルオーナー」となって購入した磁気商品を有料で貸すことで、元本保証と年利6%の配当を謳い文句にしたもので、実際に磁気商品を購入したオーナーには配当などは支払われないという詐欺商法。

 1983年に創業者である山口隆祥社長が法人税法違反で告発され、後任の社長には警察官僚で京都府警察本部長や中部管区警察局長を歴任した相川孝氏を迎え、山口社長は会長に就任した。

 前述の豊田商事による詐欺事件が社会問題となった1985年12月10日には、衆議院商工委員会でジャパンライフ問題の集中審議が行われた。この時点で、すでにジャパンライフ商法には疑惑に目が向けられており、当時から政界とのつながりが浮上していた。

 1984年12月にはすでに休刊している雑誌「政界往来」主幹を務めていた故・恩田貢氏が主催した会合に山口会長が出席しており、安倍晋三・前首相の実父である安倍晋太郎・外務大臣が同席している。

 さらに1986年2月10日の衆院予算委員会では、ジャパンライフが設立した政治団体「健康産業政治連盟」の事業報告書により、安倍晋太郎外務大臣、山口敏夫・前労働大臣が山口会長とともに1984年9月22日に米ニューヨークを訪れたことが追及された。また、中曽根康弘元首相の政治団体にも計1000万円を献金していたことが判明している。

 「桜を見る会」へ山口会長が招待され、その招待状が同社の宣伝に使われたことで、安倍晋三首相との不適切な関係が疑惑として浮上し問題視されたが、安倍家と山口会長との関係は、安倍首相から始まったものではなく、父である晋太郎外務大臣から始まっているのだ。

 2007年には、山口会長の実の娘である山口ひろみが社長に就任した。これにより、ジャパンライフ商法も変化し、政界などとのパイプも弱まるのかと思われたが、山口会長の院政により実態に変化は見られなかった。

 2014年9月には消費者庁から文書で行政指導が行われる。そして、2015年9月10日には消費者庁の立入検査を受ける。しかし、その後も政界などとのつながりは続いた。

 2010年から2013年にかけては、柿沢未途衆議員が支部長を務めた「みんなの党東京都第15区支部」に1940万円を献金したことが明らかになっている。

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