「擁護はできないが、統一協会への恨みは理解できる」元信者が弁護士会見で明かしたこと

山上容疑者の「心の闇」

なぜターゲットが安倍氏にすり替わったか

世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会・統一教会)への恨みが、安倍晋三元首相殺害の動機となったと供述している山上徹也容疑者(41歳)──。

事件直後から捜査関係者談という形で、次のような山上供述が伝えられた。

「教団トップの殺害を計画したものの難しく、(標的を)安倍元首相にした。ただ、(安倍氏の)政治信条に恨みがあるわけではない」

意味不明だ。なぜ教団トップが安倍氏にすり替わるのか。テロは論外にせよ、政治家としての信条への異議申し立てなら腹を据えての対応もできよう。だが、これでは“とばっちり”である。

11日に記者会見を開いた一教会の田中富広会長も戸惑っていた。

「教会に対する恨みや、そこから安倍元首相の殺害にいたるには、とても大きな距離があって、私たちもその理解に少し困惑しております」

事件後の銃撃現場 (c) 現代ビジネス事件後の銃撃現場 (c) 現代ビジネス

しかし、事件から5日が経過し、統一教会に対する山上容疑者の恨みが、どれだか深いかが明らかになってきた。

本サイトが《【独自】実家や会社の土地も続々…山上徹也の母親が統一教会に寄付していた「5000万円資産」の中身》(7月12日配信)で伝えたように、山上容疑者の母親は多額の寄付を繰り返したあげく2002年に破産。生活は困窮して一家離散、山上容疑者は自衛官となり、病を患った兄は自殺、妹は自活した。

同時に、統一教会と安倍氏との関係の深さも明らかとなった。

統一教会との関係は、祖父・岸信介元首相の代からで、1960年代半ばのまだ信者数が数千人であった時代、統一教会の本部は渋谷区南平台の岸邸の隣にあり、教会幹部が岸家に足繁く通う仲だったという。また、教会が68年、政治団体「国際勝共連合」を立ち上げた時には、岸氏は「反共産主義」という同じ立ち位置で設立を支援した。

 

そうした関係は女婿の安倍晋太郎元外相に引き継がれ、晋太郎氏は74年、統一教会の教祖である文鮮明氏が帝国ホテルで開いた晩餐会に出席するなどした。その祖父・父との関係を安倍氏は引き継ぎ、官房長官時代の2006年5月、統一教会の友好団体である天宙平和連合(UPF)が開いた日韓の男女2500組による合同結婚式(後述)には、祝電を送っている。

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