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・第73回・ 2007.01.26
タッチスクリーン。今では有名な言葉になっていますね。
そうです。DSの下画面のことです。
「タッチ」=「さわる」と思ったんです。
触らせたい。触って欲しい。そこから触りたいものを考えたんです。
そこで考えたのが、
「スイッチ」
世界中に色々なスイッチがあります。
どこの国に行っても、部屋の電気を点けられない、ってまず無いですよね。
そして、見るだけで押したくなる。
カチカチとしたくなる。
そこで、近所のお店で、いろいろな形のスイッチを10個ほど買ってきて、
プランナーとグラフィックデザイナーで見ながら研究。
何故、押したくなるか、何故、切り替えられると思うか。
世界中の人が気にせず扱えるその秘密を探りました。
導き出した答えは、、、
空間と出っ張り。
スイッチの周りにある空間が押せるような気がする。
スイッチが出っ張っている(もしくは引っ込んでいる)から押せるような気がする。
その答えをヒントに、下画面で押せるものは基本的にスイッチのようにしました。
要するに、出っ張っていて、その周りに空間があるデザインにしたのです。
そして、制作時の呼び名もそのまま「スイッチ」。
出っ張りは下画面ということを考えて上から下に見下ろしている視点にしました。
これで、下に向かって出っ張りました。
そしてそれらをDP制作に於ける基本ルールにしたのです。
これで、DSの下画面がタッチスクリーンということさえも知らなくても、
スイッチのようで何となく触りたくなる、押し込みたくなる。
こうして下画面のデザインが決まっていったのです。
では。
・第72回・ 2007.01.24
今日もDPネタです。
バトルで下画面に表示される「たたかう」というボタン。
意外と大きいですよね、あれ。
それには訳があるんです。
それは、その次に出てくる技4つとの関係性。
「たたかう」を押したあと、指を動かさなくても
そのままの位置でもう一度ボタンを押せば技を選べる。
要するに指を移動させなくても連続タッチが出来る。
そういう設計にしたかったんです。
それで、更に分かりやすいように「たたかう」の後ろに技4つの影もつけてあるんです。
ちなみに、、、
その技の影の部分を押しても「たたかう」を選んだとみなしています。
見た目と実際の判定が違うのです。
ゲーム制作では良くやるテクニックですけどね。
出来るだけ指を動かさなくても良いように。
どの下画面でもそのことを細かく注意して設計しています。
また、色を変えているのも、
上画面を見ながらでも、なんとなく視野にある赤いボタン。
それが「たたかう」だと認識できるようにです。
こうすることで、下画面に目線を合わせなくても、
きっちりと見なくても操作できます。
技もタイプ別に色分けしてあって分かりやすくしています。
こういう色を変える事って単純なように見えますが、
たったそれだけで、記号性があるので分かりやすく明確になる。
文字を読めない小さな子供でも遊べるようになる。
そういう意味でも色はとても重要です。
では。
・第71回・ 2007.01.23
今日はちょっと硬いですよ。
タッチスクリーンを指で操作できるようにした理由です。
任天堂さんで初めて試作段階のDSを見せて頂いたとき、
すでに宮本さんはタッチペンで操作していました。
それは、PDAなどと同様な感じで、細かく動くものをペンで操作する、といったものでした。
世の中には銀行のCDや駅の券売機でこういったタッチ式(タッチパネルと呼ばれてますね)のものがありますが、
それら画面が大きく万人に対しての物は指で直接操作します。直感的に操作できます。
ペンなんてないんですよね。
だから、当たり前ではありますが再確認したんです。
・画面が小さくて操作が難しいもの。
・細かいモノを操作するとき。
それらのときにペンを使用すれば良いと。
逆に言えば、そうでないものはペンにする必要がない。
直接的に直感的にタッチすれば良いと。
そうでなければ、「タッチ」と呼ぶ意味がない、と。
そういう思想で可能な限りペンを使用しなくても遊べる指中心の設計にしていきました。
欠点は小さなものを選ぶことはできない、ですね。
この点のみとくに最新の注意を払いました。
そうやって開発が進んでいく中で、
増田はどうしてもバトルはタッチにしたかった。
理由はいくつかあります。
バトル自体は複雑でも万人が操作できる分かりやすさ。
そして、素早く直感的に操作できる。
操作感が新しい。
自分がトレーナーとなって指示しているようなイメージができる。
バトルは先に述べたようにペンを使用しなくても指で出来る少ないコマンド群。
他人がちょっかいが出せる。
例えば、子供がプレイしているとき、おじいちゃんがちょっと手を出す。
まあ、子供に怒られるかも知れませんが、コミュニケーションがそこで起こる。
そうして、開発は指で操作するバトルで進んでいきました。
しかし開発後期、下画面が指で汚れるのを嫌う、という意見が続出。
社内、社外ともに同じ意見が多出ました。ペンが良いと。
最後には今までの十字ボタンで操作した方が良いのではないか。
そんな意見まで飛び交いました。
しかし、絶対に指で操作した方が良いと考えてました。
まったく何も知らない人でも選べる。
知らない人に対して周りの人が教えてあげられる。
その実際に遊ばれるであろう空間、場所を説明しました。
どうやって遊ぶか創造して欲しい、と。
また、これもまた極端ですけど、、、
子供はそんなに気にしない、とか、
画面の綺麗さを気にするのは日本人だけだ、とか、
私達は過去のポケモンの操作に慣れているからだ、とか。
海外に行ったときに何かのゲームでペンを使っていない外国人を見つけては写真を撮ったり。
そうやって、少しずつ説得していきました。
いやー、それはそれはたいへんでした。
でも、最終的にはみなさん納得してくれました。
慣れた、っていうのもあるでしょうね。
ポケモンDPは指で操作する。
直感的にポケモンに指示しているように遊んで欲しい。
それが増田が望んだ理想の遊び方です。
ぜひ、おためしあれ!
では。
・第70回・ 2007.01.22
土曜日の午前中、次世代ワールドホビーフェアに行ってきました!
東京からの電車内、すでに子供達はゲーム三昧。
いろいろなゲームをプレイしていてみんな笑顔で楽しそうでした。
そんな中、お母さんとしりとりしている男の子がいました。
しりとり自体、なんか懐かしくてついつい聞き耳を立てていたら、
お母さんの反応がとても早い!
男の子が言うと、スパッと答えるんです。お母さん。
男の子が「くり!」といったら、
お母さんは速攻、「りく!」と返していて、男の子は大喜び。
私も釣られて笑いそうでしたが、そこをぐっとこらえて、、変な顔に。
いやー、面白い。しりとり恐るべし。とか思いながら、
幕張メッセに到着、会場へ。
。。。。。。。。おおー。。。。。
人、人、人でたいへんなにぎわい。
どのコーナーも人気があって活気があって、良い感じ。
どこも楽しそうなイベントもやってる。
とにかく盛り上がってる。
まずは、ポケモンのコーナーを探すも、すごい人で普通には探せそうにない。
そこで、上空に浮かぶポケモンのバルーンを確認。
これって便利だなぁ、とか思いつつ、ポケモンのコーナーに近づく。
今年のバルーンは、
巨大なマナフィ、そしてユクシー、エムリット、アグノムのUMAコンビ。
不思議な組み合わせで意外な感じ。
ポケモンはPBRや映画のコーナー、カードゲームなどどれも人気でした!
色々なところをうろうろして1時間ぐらい観て帰りました。
今年も、世界趣味見本市は面白かった!
では。
・第69回・ 2007.01.18
ダイヤモンド、パールで遊んでいると感じると思うのですが、
何度も何度もいろいろな家や建物に入りますよね。
そのとき、出入りするときに画面演出があります。
今日はそれについて書いてみようと思います。
まず、家の中に入るときですが、
家という小さな場所に移動するということを、
少しでも強く感じて欲しいと思いました。
そして家から出るときも、
家の中という小さな空間からフィールドという広い空間に移動したということを、
少しでも強く感じて欲しくて画面演出をしました。
入るときと出るときで少し意味が異なるため、
それらの演出は入るとき用と出るとき用の2つ用意しました。
一番気にしたのは、その速度。
いろいろな家に出入りする回数は相当なもの。
そこで、出来るだけ速度を速くすることを心がけました。
家に入るときは、
(1)画面拡大
(2)ドアが開く
(3)主人公が家に入る
(4)ドアを閉める
(5)画面全体を少しずつ暗くする
という手順を。
家から出てくるときは、
(1)上下に分かれながら画面全体を明るく+画面拡大から元に戻す+ドアが開く (3つを同時に)
(2)主人公が家から出てくる
(3)ドアを閉める
としています。
家に入るときは期待感があるので若干時間が掛かってもあまり気にならないと判断しましたが、
やはり、家から出るときは何か次の目標を持ってたりして、すぐに行動したい!
その気持ちを大事にしながらも演出を効果的に行うため、
3つの演出を同時に行い演出自体を早めに終わらせています。
こういった演出もまた細かいことですが、
TVや映画と違ってプログラムで動かしているため本当に自由にいろいろと出来ます。
その分、大変ではありますが、大切にして新しい演出を心がけたいですね。
まあ、こだわっているところでもあります。
では。
・第68回・ 2007.01.17
前回の話にも出ましたが、
3Dというのは非常にニュアンスが難しく、
それでいて非常に複雑です。
ただし、一度形作ると応用が利きますけどけどね。
ダイヤモンド、パールのフィールドで
気持ちよさを高めるため、
階段など高さがある場所で、あることをしています。
さあ、何でしょう?
そのときだけ、ある機能が働いています。
それは、、、
主人公に対して画面が少し遅れるようにしているんです。
実際には画面の中で主人公が少しだけ先走っているように見えます。
これによって、かっちりした画面ではなく柔らかい感じを表現して
気持ちよさを高めています。
階段などで上下すると分かると思います。
本当にちょっとしたことではありますが、
こういった細かい積み重ねで、あの画面ができているのです。
では。
・第67回・ 2007.01.16
1月9日(火)六本木のグランドハイアット東京にて、
「インビテーション・アワード」の授賞式が行われました。
そこで!ゲーム賞をいただきました!
ゲーム業界が映像業界の一員として一緒に表彰されるのはとても嬉しいことです。
そこでの表彰台でも話したのですが、、、
ダイヤモンド、パールの画面は計算的なリアルな3Dを目指していません。
感覚的な感情的な3Dを目指しました。
立体になることで気持ちよかったり、
高さがあることで進んでいる感じが出たり、、と。
そうです。
出したかったのは冒険感なんです。
そのために、あえて複雑な2Dと3Dが混ざり合ったような表現にしているんです。
フィールドは3Dですが、
主人公などの人は2Dのように。
家の中も実際には3Dで作られていますが、
狭い部屋のイメージを出したくて、
2Dのように平面にしています。
そうはいってもジムなどでは3Dを目立たせたり。
結構、たいへんなんですよね。
感覚的なリアルって。
でも、こだわって追求していくことが必要だと感じてます。
その方がより楽しいし、よりリアルですから。
※ということで、、、今月発売の雑誌インビテーションに増田載ってまーす。
是非、買って読んでください!
では。
・第66回・ 2007.01.12
いやー、1年って早いものですね。
今日は増田の誕生日なんです。なんと39歳!
びっくりですね。自分でも。
もう少し大人にならなくちゃとか、落ち着けとか、勉強しろとか、
未だに思ってるんですよね。これが。
自分が一番分からないものも自分ですから、
自分自身に自らストッパーを掛けずに、
これからも、エンジン全開で頑張っていきます!
ところで、、、
こうしてゲームを作っていると年齢と作品数が釣り合ってない気がします。
意外と作品数が少ない!
まあ、その分、一作一作への思い入れも大きいのですが、、、制作期間が長いんですかね。
ま、それをも乗り越えて、何か新しいこと面白いこともやってみたい!
さあ、まだまだ暴れますよ!
※明日13日(土)発売の、月刊「キング」という雑誌で増田とGFスタッフ載ってまーす。
ぜひ、買って読んでみてくださいね。
では!
・第65回・ 2007.01.11
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
2007年もいろいろとチャレンジしまくります!
そして、
ゲームフリークがゲーム開発の発信基地となって、
多くの方が「ゲーム業界で働きたい!」と思うようなことに
チカラを入れていきたい。そう思ってます。
さて、このコラムですが、、
そろそろダイヤモンド、パールのことを
ネタにいろいろと書いていこうかな、と考えてます。
今年も、見に来て下さいね!
よろしくお願いいたします。
では!