今後の政治に望むことは?
―――「仮に国民から大批判を受けたとしても、それが何十年後かに国のためになるのであれば決断をしていかなければいけない」というのは、今の岸田政権、あるいは自民党に対して思うことなのでしょうか?
「岸田政権は今回の参議院選挙で大勝したんでね、ぜひそういう課題を設定して取り組んでもらいたいという思いで、7月10日に岸田総理に『国民の心を二分するような、何か課題設定はありますか?』と聞いたら、岸田総理は『心を二分するんじゃないんです。やるべきことをやって、結果として心が二分する場合もある』と答えました。それはどっちでもよくてね。僕は岸田総理が考えているような心を二分するような課題というのはどういうことを念頭に置いて想定していて、それを今後やろうとしてるのかということを、また機会があれば聞いてみたいなと思う。ただ政治家が50年後のことを考えて国民からの反発を受けたとしてもやるって言っても、もしかするとその政治家の考え方が間違っているかもわかんないわけで。そんなのわかんないじゃないですか50年後のことなんて。でも、それは最後は有権者が最終的に責任を負うことになるわけだから、やっぱり最後に有権者が『これは違うな。政治家のその50年後のビジョンはやっぱり違うよ』となれば、選挙で落とせばいいし。でも本当にそうだなと思えば選挙で支持をしながら、僕は政治家っていうのは多くの反発の声があったとしても、それを進んでいくのが政治家だとは思いますけどね。安倍さんがよく話に出されていたのは岸元総理、おじいさんの話で。これはもうみなさん知っている話だと思うけど、日米安保の条約改定のときに日本中がもう大反対だったんですよ。もう国中が。じゃあ日米安保条約の改定をしていなかったら今どうなっていたか。もちろんそれがなくてもいけるっていう考え方もあるけれども、僕はあのときに岸元総理が日米安保条約の改定をやってくれたっていうのは、本当にそこから50~60年経ったこの日本、ありがたいなぁと思う。でも当時はもう日本中大反対だった。安倍さんはそれをよく言ってね、『やっぱり政治家は最後は国の安全保障や国というものを考えたときに、50年後の評価、そこを考えてやるのが政治家だ。もちろん間違う場合もある。間違ったときには申し訳ないけれども、これは国民主権の場合には国民の責任になるから。だからこそ選挙での選択っていうのが重要なんだ』と。ここはそうですねってことで。よくこの話を繰り返しやっていました」
―――今の話を聞いていると、安倍元総理はご自身が総理を務められたわけですけれども、その何十年後かの日本の姿というのをおそらく見たかったと思うんですよね。
「もちろん安倍さんがやったことが本当に50年後に正しいのかどうかはわかりません。反対する意見の方が正しいかもわからない。だからそこはやっぱり論戦ですよね。これは民主国家で、これが論戦できないところが、結局は武力を使ってロシアによるウクライナ侵攻みたいなことになってしまうわけだから。僕はそれに代わるような本当に激しい論戦というのをやって、最後に国民が審判を下すっていう、それをこれからの国会に期待します。それが政治家の役割だと思いますよ」
(2022年7月11日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)