安倍元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された男の母親が旧統一教会に献金した金額は1億円に上るということです。なぜ家庭が崩壊するまで献金に走るのでしょうか。そこには精神をコントロールする巧妙な手段があることが元信者の証言でわかりました。献金を示す隠語は「K」、そして謎の「M作戦」とは。元信者が語る第4弾です。

信者だった当時、旧統一教会から手に入れた品々。

元信者の女性:
「献金をすると、こういう物がもらえるという…」

210万円の献金と引き換えにもらった印鑑に…

元信者の女性:
「まことの夫婦になれたしるしというか…」

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教団の金の指輪。県内に住む女性は、旧統一教会におよそ10年間入信していました。女性が見せたのは教団の内部資料です。

そこに書かれていたのはアルファベットの「K」。



記者:Kっていうのは何ですか?
元信者の女性:
「献金、お金のことだと思います。はっきり献金とかお金っていうのは露骨に出せなかったのかな」

「K」は献金を示す隠語で「61億K」と記されていました。

元信者の女性:
「ヨイドを守るために61億献金が必要」「献金がない、と嘆く人は問題。もうここでお金がないと嘆く人は問題だと。乞食をしてでもやらなければならない。今は超非常緊急事態である」


内部資料には61億円もの献金が必要だと書かれていました。

さらに、別の隠語も。その名も、「M作戦」。

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記者:Mっていうのは?
元信者の女性:
「マナのM。高麗人参のことをマナって呼んでいたので。売るための作戦ですね」

「M」は教団が売る1瓶7万円の高麗人参の濃縮液を指します。「M作戦」と題して、それを全国で毎月2万個、富山地区だけで192個を売るノルマなのです。


元信者の女性:
「1瓶が7万くらいするものをセットで売る。体の都合の悪い人を呼んで健康相談というのをやるんです。高麗人参をすすめて、これを飲めば治ると。これをしなければ自分は悲惨な目に遭うとか、恐怖観念といいますかね…」

高麗人参を売るときに歌っていた歌もあります。

アテレコ:
「どんなに苦しい時だって、お父様のことを思い出せば涙と力があふれてくるの。一本が十本に、百本が千本に増えるように。神の国を築くために」


当時、女性は統一教会の活動にのめりこみ周りが見えなくなっていたといいます。

元信者の女性:
「(教祖)文鮮明氏が釣った魚のウロコなんです。メシア(救世主)が釣った魚のウロコ。お守りにして持っていたと思います」

なぜそこまで熱狂していたのか。女性が入信したのは1990年代、「家庭を円満にするための勉強会がある」と友人に誘われたのがきっかけでした。

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元信者の女性:
「創造原理からというのがまず初めの勉強で…」

世界の成り立ちや人間の心理などを説明するビデオを見せられたあと、繰り返し講義を受けていくうちに、次第に心が支配されていったといいます。


元信者の女性:
「人間は罪をもって生まれてきているので、メシア(救世主)がいないと助からない。どうしたらじゃあ助かるのかといったところで、初めてこれを助けてくれるのはメシアである文鮮明氏だと言われるんです。その文鮮明氏というのは統一教会だということを言われるんですね」

そのころには、何も疑問を感じなくなっていたといいます。

元信者の女性:
「すごく感銘をうけてしまった。確かに人間にはいい心と悪い心があるとか、なんとなく漠然と感じていたものがはっきり見えてくるというか」


元信者の女性:
「(信者は)まじめな方がすごく多い。まじめで熱心な方が多かったですね」女性は10年間で、1000万円近くを献金しました。財産を失い、夫とも離婚、家庭が崩壊することに。

元信者の女性:
「統一原理というものが体に染み付いてしまったといいますかね。そういうものが入ってしまったことかなと。一度そういうことを勉強するとなかなか抜け出せないと思うし、いったんやめたところでずっとそれが心に残っているので」

安倍元総理銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の母親が、旧統一教会に1億円も献金していたとみられることがわかりました。

自己破産し崩壊した山上容疑者の家庭。

元信者の女性:
「自分がマインドコントロールされているという自覚はなかった。私は違う、ちゃんと自分の意思でやっていると思っていたので」


元信者の女性は「山上容疑者の母親の心境と同じだったかもしれない」と話します。