1991年 7月 ロンドン もれ鍋店
バタンっ、と2回目となるもれ鍋の扉を開く少女。
それを再び奇異の目でみる初老の店主や客だったが、そんな彼らを無視しながら中へと入っていく。
「・・・嬢ちゃん、ダイアゴン横丁ならそこの裏手に回りな。」
店主がにこやかな顔で迎えて私が求めてるであろう行き先を教えてくれる。
「・・・ありがとうございます。ですがなぜ私がダイアゴン横丁に行くと?」
私がふと疑問に思ったことを聞けば、彼は自信満々に答えてくれた。
「なに、この時期になるとホグワーツの生徒達がよくここを通るもんでよ、あんたもこの前マクゴナガル教授と通って行っていたから学校関係者かと思ってね。
ホグワーツの先生かは知らないが、関係者ならダイアゴン横丁以外ねぇわな!はっはっはっ!」
と高笑いする店主にぎこちない笑顔で返した私は納得してその場を立ち去り、裏手へと向かう。
「・・・バレてなくてよかった。」
私は今21歳相当の肉体年齢なのだ。
少々とはいえ、前回もれ鍋に来た時より身長が伸び、顔つきが大人びていたからバレるかとも思ったが、なるほどバレてないわけだ。
やっぱり叔父上譲りの銀髪と爽やかな雰囲気、容姿端麗さは魅力的なのだろう。
「はぁ〜・・・叔父上も昔はハンサムだったのに・・・。」
今じゃボサボサの老人だけど、と店の裏の勝手口を通ってレンガ壁までたどり着いた私はかつての叔父を思い出しながら壁を叩く。
トンっ、トントンと、規則正しく叩けば
ゴゴゴゴゴ・・・
と、その道をあけてくれる。
「・・・ぉぉ・・・。」
と、思わず声をあげてしまうほどの繁盛するこのダイアゴン横丁とやらに私は目を打たれた。
中へ踏み込んでいけば、感知不可拡大呪文をかけられ、なおかつ上空には幻影呪文がかけられ、その繰り返しを受けたマグルにとっては存在しないも同然の通りが広がっていた。
私の目に映るのは数々の珍奇な魔法をかけられた物珍しい商品や、魔法界独自の食べ物やお菓子・・・。
「・・・フランス魔法省お抱えの魔法都市パリよりも賑わっている。」
英国独自の自由な空気が商売を繁盛させているのだろう。
フランスは闇の魔術に関する魔法製品にヨーロッパ随一で厳しい故に、検閲がかけられてしまい商人がまばらだ。
反対に最も検閲の緩いのがドイツ魔法省だ。彼らは今私の組織のお抱え魔法省な上に、魔法使い達の気質は狡猾さが目立つ。
つまり、手段を選ばない。かつて我が叔父 グリンデルバルドに敵対したドイツ出身の魔法使い達はこぞって闇の魔法を連発してきたものだから、かなりの戦闘被害を被ったと記憶の中で愚痴を漏らした叔父が垣間見得た。
おっと、閑話休題。話が逸れた。
まず私が行くべきなのは・・・
「グリンゴッツ世界魔法銀行・・・。」
お上りさんのようにあたりをキョロキョロと見回しながら歩いていれば、高い、そして白くて細長い建物が見えてきた。
文字通り、世界中に支店を構え、全ての魔法使い達の間で共通の貨幣を作り上げ、世界経済を融合させた小鬼達の勤め先・・・。
パリにも支店はあったが、本店は初めてだ。
支店よりも何回りも大きな銀行に来たのはもちろん資金をおろす為だ。
私は恥ずかしながらこの歳になっても杖を持っていなかった。
ダンブルドアも前回の会合の時、そのことを気にしており、
『ならばダイアゴン横丁へ行くとよいじゃろう。あそこにはオリバンダーの店があるのじゃ。
きっと、君の生涯相棒となる杖が、君を待っていることじゃろうて。』
と、いうこともあって私はアルバスから貰った金庫の鍵を手にこの堅苦しそうな建物の中に立ち入った。
中にいる小鬼達は顰めっ面を極めており、もはや怒っていそうなほどの雰囲気だが、私の容姿を見ると何やら奇妙なものでも見るような目つきで見つめてくる。
その視線を掻い潜り、受付のところまで来た私は、目の前の仕事に集中している小鬼に話しかける。
「・・・コホン、預金を下ろしに来ました。」
それを聞いた小鬼はゆっくりとこちらへ顔をあげてからこう言う。
「・・・鍵を拝借いたします。」
私は小鬼に銀色の鍵を渡し、「しばしお待ちを・・・。」と言われて手持ち無沙汰となる。
そうして数十秒後、やっとこさ戻ってきた小鬼はスタスタとやってきて、書類と羽根ペンを手渡してきた。
「フォートシュリット様、277番の金庫でございます。それではそちらの羊皮紙に金額と署名を。」
相変わらず愛想のない顔で言われながらも、私は必要な記入事項を浮遊呪文を利用した自動筆記で羽根ペンを走らせて書き込んでいく。
そして書き終わった羊皮紙を小鬼の方に投げるように飛ばすと、小鬼はさもありなんとばかりに片手間で羊皮紙を掴んで確認する。
「・・・それでは、こちらがお求めの金額になります。どうぞお受け取りください。」
チッ
私の些細な悪戯を回避されて御立腹な舌打ちを心の中でしながら私は出された小袋に詰まったガリオン金貨を頂いてさっさとこの銀行を退出した。
ちなみに額はあんまり多くなかった。アルバスはどこかケチなところがあり、必要な分しか入れてくれなかったようだ、残念。
『無駄遣いせんようにの。』
あの狸爺・・・どうせ懐は暖かいだろうに、なんとケチくさい・・・。
そんな事を思っている間に、目的のオリバンダーの店まで来れた。
目の前の古く年季の入った店の看板には『オリバンダー杖専門店 紀元前382年創業』と書かれてあった。
私は店の扉付近に近づくと、そこで思わぬ人物に出会った。
「・・・半巨人の・・・髭もじゃ?」
私がそう言うと、目の前の私より身長のデカい髭を生やした男は顔を顰めながらこちらに返事をしてくる。
「なんだいお前さんは・・・よく俺が半巨人だとわかったな。」
と、訝しげに見つめてくるが、こちらは彼を知っている。アルバスとの話の中で出てきた大男 ハグリッドである。
「私はフォートシュリットよ、ハグリッド。ダンブルドアからあなたの事を聞いたのよ。」
「フォートシュリット・・・ああ、確か新しい闇の魔術に対する防衛術の助教授さんだったか。これは失礼、こっちもダンブルドアから話は聞いちょる。」
と、私の素性を知ったハグリッドは朗らかな笑顔で迎えてくれた。
「それはよかったわ・・・それで、店内に入りたいのだけれど、あなたが・・・大きくて通れないのよ。」
と、私は目の前の店の前に堂々と仁王立ちするハグリッドを指摘すると、彼は「おおう、すまんかったすまんかった。ほれ。」と、慌ててその場を退いてくれた。
全くどこか抜けているのか何というか・・・。
私は少しため息を漏らしながら店に入っていく。
さっさとしないと「助教授にもなろう人が、なんで杖の一本も持っていないんだ?」なんてハグリッドが機転を利かした質問をしてくるやもしれなかったからだ。
店の中にスタスタと立ち入れば、そこには沢山の細長い箱が積み置かれた埃っぽい店内があった。
さらには、店の中央には・・・
「・・・ハリー・ポッター・・・。」
そう思わず呟いてしまうが、それも仕方のない事なのだろう。
目の前には自分の杖に出会えたのか、嬉しそうなハリーと杖職人オリバンダーが支払いをしていた。
私の呟きを聞いたハリーは「誰ですか?」と不思議そうな顔で私の方を見返してくる・・・。
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『予言?』
『そうじゃ、予言じゃ。』
目の前の顔を歪めたアルバスが真剣そうに話してくれる。
闇の帝王を打ち破る力を持ったものが近づいている・・・。
七つ目の月が死ぬとき、帝王に三度抗った者たちに生まれる。
闇の帝王は、その者を自分に比肩する者として印すであろう。
しかしそのものは、闇の帝王の知らぬ力を持つであろう。
一方が他方の手にかかって死なねばならぬ。
・・・一方が生きる限り、他方は生きられぬ。
闇の帝王を打ち破る力を持ったものが・・・。
その内容は、実に闇の帝王を討ち破るものが現れるというものだった。
予言の中にあった三度抗ったというのは、ポッター家とロングボトム家であった。予言を知った闇の帝王はその未来を変えるべく、両家を血眼になって探したらしい。
そしてすでにポッター家はその子を残して殺され、ロングボトム家も両親はデスイーターの襲撃により磔の呪文によって拷問をされた後、廃人となり聖マンゴで引き取られているという。
もちろん、闇の帝王はこの時、ハリーにかけられた何らかの呪文によって肉体が粉々に破壊され、闇の陣営は敗北したが。
だがアルバスは知っていた。トムは肉体を失くしても、魂はこの世に留まり続けていることを。そして再び復活の機会を狙っている事を。
それらを話してくれた後、彼は私に続けてこういってきた。
『・・・じゃが、予言はもう一つあるのじゃ。』
これらのホグワーツにいる占い学のトレローニー先生が出した占いには、まだ先があった。
普段のトレローニー先生は占い学に関しては右に出る者がいないが、その占い自体はめっぽう外れるという。
だが、そんな先生でも時に常軌を逸した雰囲気でこのような予言をすることがあると、アルバスは語ってくれた。
おそらくはそれが本来のトレローニー先生の持つ・・・そして、我が叔父も持っていた『未来を読む力』なのだろう。
叔父と違ってその力を操れていない時点で、その器はないに等しいが、それでも今現状この人の予言が何よりも重要だったのだ。
そして、もう一つの予言に関してはアルバスは半分までしか聞けていない、ということだった。
『確かそうじゃのう・・・。』
気をつけよ、闇の帝王よ・・・気をつけよ、抗おうとせん者達よ・・・。
闇の帝王を討ち滅ぼし、帝王に抗う者達との最後の決闘を挑む者が現れるであろう。
その者は・・・
『・・・じゃったかのう。その者は、で切られてしもうての、いつものトレローニー先生に戻られてわしも随分と内心焦ったものじゃ。』
ほっほっほ、と笑うが、その老人の眼は明らかに笑ってなどいない。
私の目を、目の中を見つめ、まるで私の全てを見透かそうとする・・・
開心術か・・・ッ!!
ギッ、と鋭い目つきでアルバスの開心術に対して、恐らくこの世で最も堅く閉ざされた暗い壁を心の中に立てる。
私の本気の閉心術は叔父を超える。例えかつての組織の仲間、今は亡き開心術のプロであるクィニーですら私の心は決して開かれない 永遠に・・・。
『・・・残念じゃ。お主がわしに全てを見せてくれぬとは・・・二つ目の予言に当たる者がもしかしたらお主やも、と思ったのじゃが・・・。』
『・・・乙女の心を無闇矢鱈に読もうとするな、アルバス。』
彼は、私の闇の帝王を滅ぼすための手助けに関しては感謝しているようだが・・・今ので完全に信用は崩れ去った。
信用はしてないが頼りにはされる・・・何とも複雑だ。
『・・・本当はお主を心の底から信用したかったのじゃが、仕方あるまいて。』
『・・・本当に善意でやっているかどうかを確かめたかったのなら、そう言えばよかったじゃない。』
互いに緊張した空気を緩和しながら、今後のことへと話を戻していく。
『・・・さて、フォートシュリット嬢よ。ひとまずわしらは最初の予言に対処せねばならない。二つ目の予言に関しては・・・時がくれば、また話そう・・・。
それで話を戻すのじゃが、改めて問おう。トムを封じ込めるのはわしらに託された
『・・・同意見ね。なら、最初はどうするの?その帝王を滅ぼしてくれる予言の子供達なんて、正直言って期待薄だと思うのだけれど・・・まさかあの肉体を失って彷徨う魂の残り滓のような闇の帝王を見つけ出せ、なんて言われればいくらなんでもお断りよ。』
予言は帝王ほどの実力者であれば、ねじ伏せて未来を変えてしまう事もできる。確定された未来とは言い難いが、一つの指針にはなるものとして世界で認識されている。
だから、私はその予言の子供達を使おうとは思わないし、自分達でやり切るとしてもそれは現状不可能だ。
ふん、とその意図を含めて返してやれば、彼はこう言う。
『わしとてそこまで愚かではない・・・ただ、心配なのは追う事ではない、追われる事じゃ。』
その言葉には真剣みが増しており、私を惹きつけるには十分だった。
『・・・で、弱った虫の息の帝王がまさかこのホグワーツに侵入してくるとでも?』
『・・・ないとはいい切れんのじゃ。予言の子、わしの見当ではハリーだと思っておるのじゃが、彼はまだ幼い・・・そこを狙って来るとも限らん。
あの手この手を使ってトムはハリーを殺しにくるじゃろうて・・・それも直接ではなく、間接的に、じゃ。
・・・わしは予言を信じておる。例え未来を捻じ曲げようと闇の帝王が努力しようとも、定められたトムの運命を避けられんように道を正してやるのがわしらに出来ることじゃ・・・そうすれば闇の帝王は自ずと滅ぶ。
そのためには、ハリーが闇の帝王を討ち破れるようになるには、もう少し時間が必要なのじゃ。その時間を、お主に稼いでもらいたいのじゃ。』
そう言い切ると、彼は後ろの校長室の執務机の横に立っている不死鳥フォークスを腕に乗せながらこちらをじっと見つめてくる。
私も、そんな彼をじっと見つめながら頭の中であれこれと思案し始める。
ハリーが予言の子であるかどうかは疑問が残るところだが、やはり闇の帝王を一度肉体だけとはいえ滅ぼしている事から可能性は十二分に高い。
闇の帝王の死の呪文を跳ね返すほど強力な呪文をハリーとやらがかけたのか、或いはかけ
仮にアルバスと私二人でトムを打ち倒しても、奴の魂までは
結局、今のような仮の平和を手に入れるだけであり、あいつが本当の意味で死ななければ何度でも甦ってくるだろう。
そのためには帝王の不死を作り出しているあの忌まわしき悪しき分霊箱を探り当てれば良いのだが、生憎私には奴が何を自分の魂の拠り所としたのかなぞ今の所何の見当もつかない。
・・・やはり
『・・・具体的には?』
『ハリーを、どうか守ってやってほしい。
彼は幼いゆえに過ちも犯すじゃろう・・・時に命を落とすこともあるやもしれん。
じゃから、お主への頼みはハリーの守護じゃ。場合によってはお主の持つあらゆるモノを犠牲にしてでも果たしてもらわねばならん・・・どうじゃ、引き受けてくれるか?』
それを聞いた私は、ウンウンと頷きながら目を開き、彼に答えを告げる。
『・・・承知したわ、アルバス。』
それを聞いたアルバスは再度安心したような顔になると、不死鳥を開放的な鳥籠に戻して私に向き直る。
『・・・では、わしはお主にそのためのポストを用意するかの。・・・じゃが、いくつか約束してほしいことがあるのじゃ。』
・・・まぁ、妥当よね・・・、と頭の中で呟く私は、頼りにはされてるが警戒もされている立場を再認識する。はてさて、何を要求してくるのだろうか・・・?
『まず、お主を闇の魔術に対する防衛術の助教授として迎え入れようと思うのじゃ。もちろん、お主の本名は伏せてのぅ?わしの古い友人ということにしておこうと思う。
・・・その上でじゃが、第一にホグワーツでは体罰は禁止じゃ。罰則は別の形で課してもらおうかの。
次に、生徒に闇の魔術をかける事も一切禁止じゃ。お主がそこまで愚かではないとはわかっておるのじゃがの、保険じゃよ。
それとじゃが、あまり今年の闇の魔術に対する防衛術の先生には深く関わるでないぞ?』
・・・長ッ!!
お前の名前くらいに長い箇条書きされたかのような注意書きがアルバスから放たれた。
それに対して面食らっていた私は、『どうじゃ、守れそうかのう?』とまた目を覗いてこようとする鬱陶しい狸爺から顔を逸らして、口を開く。
『・・・その程度のこと、言われずとも心得ているわ。もちろん言われたことは守るわよ?』
『おぉ、そうかそうか、それはよかったのじゃ。闇の魔術に対する防衛術の新しい先生に関してはまた後で詳しく話そうと思う。・・・ただ、もう一つ守ってほしいことがあってのう?』
その声には不思議とこちらを引っ張り出そうとするような音色があった。
そして彼はティーカップを口につけ、紅茶を飲みながらこう言う。
『・・・わしの目の届くところで、お主のくだらぬ叔父の真似事はやめることじゃの。』
その言葉に、私はフッ、と含み笑いをしてしまった。
(やはりバレていたか・・・。)
英国に組織から少々部下を送り込み、ロンドン支部として新たに英国の協力者達と組織の拡大を狙ったが、流石に気づかれていたようだ。
『・・・おっかしいなぁ、あの子達には不可知化の呪文と魔力感知妨害呪文を何重にもかけてあげたのに。』
『ふぉっふぉっふぉっ、わしでなければ見落としておったわい。』
・・・この爺・・・。
私はギリリ、と歯軋りを鳴らす。
確かに、勢力拡大のために英国ロンドン支部を置こうとしたのは早計だったか。
だが・・・
『けどアルバス。その子達は闇の帝王に対する私の重要な戦力・・・わかっているわよね?』
それも私の持つ重要な手駒・・・闇の帝王への対抗、という目的ならば多少の事は呑んでくれるはず。
そんな打算と共に私が体内の膨大な魔力を一部漏らしてやれば、彼は少し目を見開いて驚きの表情をもってしてこう言う。後ろのフォークスなんか主人の危険を感じたのかグワグワ鳴き喚いているが。
『・・・もちろんじゃ。その事もあってわしはまだ手出しをしておらん。・・・じゃが、先程も言ったと思うがくれぐれもこの国の中で目立った行動は避けると良いじゃろうて。』
暗に脅し文句をつけてくる彼は、わざとらしく机の上にあった新聞を片手であげて見せつけてくる。
そこには・・・
【 黒い魔法使いの再来か? 】
《継承者を名乗る何者かがヨーロッパで活動を続けている模様。その勢いは半世紀前、かつてヨーロッパ全土を覆った闇の魔法使いに匹敵するやも・・・フランス魔法省によれば、》
と、一面記事となったフランス魔法省お抱えの自由記者団の新聞があった。
また、スラッと片手を交差させて、裏の2枚目の新聞には英国の日刊預言者新聞も今や英国魔法界では知らぬ者がいないほど有名なハリーポッターに関する記事の下の方にその事を伝える記事が出ていた。
『・・・ご忠告どうも。それじゃ、私はここら辺で一旦帰るわね。色々な準備もあることだし。』
『・・・そうじゃな。長居させて悪かったのう?ではまた9月に・・・
フォートシュリット・グリンデルバルド嬢?』
ニタニタと朗らかな笑顔を貼り付ける爺に対して、仕返しと言わんばかりに叔父上の見た記憶の中から彼らの名前を引っ張り出して、皮肉を込めてこう言う。
『えぇ、アルバス・ダンブルドア・・・
そう言って校長室を後にしようとする私の背後には苦い顔で見つめる老人の顔があった。
(・・・お主は言ったはずじゃ。自分はゲラートとは違うと・・・じゃがゲラートを、我が最も信頼厚き、そして愚かでもあった友を完全に継承してしまったのもまた、事実やもしれぬ・・・。)
だからこそ彼の姓を名乗っておるのじゃろう・・・グリンデルバルドという名を・・・という言葉は、もはや校長室から足早に姿眩ましをしていなくなったフォートシュリットの耳には入っていなかった・・・。
闇の魔術に対する防衛術の助教授というのは、荒木ラキ様の英国魔法界陥落RTA 原作:ハリーポッターを参考にしました。よければそちらも読んでみてください。