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大川隆法総裁の『幸福実現党宣言』
──ところで、少年誌での仕事と教団での仕事で違いってありますか?
さとう うーん、幸福の科学での仕事って毎回何かが起きるんですよね。電化製品が壊れたり、スタッフが反乱起こしたり。特に映画関係の仕事をしていると確実におきるんですよ。当会での仕事ってやっぱり天国の領域を増やすことだから、布教を妨げようとする悪魔に狙われるんですかね(笑)。
──ほー。悪魔というのは概念的なものですか?
さとう いや、実在のものです。部屋の隅からじーっと見てたり、四六時中くっついてたり、人間に乗り移って悪さしたり。スタッフの中のやばい心境の人がいるとすっと入りこんでくるんです。それで不和を起こさせようとして普段は言わない悪いことを言わせたりする。こういうのが見えるのは個人差なんですが、波長が合えば普通の人でも見えますよ。
──幸福の科学を信仰すると、そういったものが見える場合が?
さとう いや、当会はむしろ、そういう現象に振り回されないようにしようという教えなんです。霊道が開けると、良いものだけでなく悪いものも見えてしまう。風呂場でおっさんが見えたら入れないでしょ?(笑)実際、それが見えるせいでおかしくなってしまった人もいます。
──それは恐ろしいですね……。あと、話題になった映画『仏陀再誕』【10】のマンガ版を担当されています。本作は総裁のご長男、大川宏洋氏【註6】の脚本を原作に?
さとう そうですね。ご長男は文学系の方だから、これまで当会が製作した映画作品の中では、ストーリーがとてもしっかりとしていました。ただ、マンガ版では再誕した仏陀が使う武器を原作通りケリューケイオンで描きましたが、映画では降魔の剣になってましたね。仏陀が使うからってことだと思いますけど。
──ただ、漫画版は完結しないままですが……。
さとう 元々が予告用に途中までという話だったんですよ。でも描いている最中に最後まで描いてほしいと言われたんです。あの後のストーリーで、実在の悪魔がモデルの「覚念」という悪魔が出てくるんですが、ここまで描いちゃうと悪魔に抵抗できないかもしれないと思って逃げました(笑)。
──最近は、『聖☆おにいさん』のような宗教を題材にしたマンガが増えていますよね。
さとう あれは面白いですよねぇ。作者さんは宗教を相当勉強してるはず。仏陀が金銭面に厳しく、イエスがノリで散財しちゃうのも宗教的に合ってる(笑)。
──大川総裁は仏陀の生まれ変わりであることを宣言されており、イエスを幸福の科学の指導霊のひとりとされています。不快に感じたりはしないですか?
さとう ないない(笑)。総裁先生が読んでも、多分笑えますよ。小学生時代、マンガの蔵書が500冊というくらい、マンガ好きだったそうですからね。まぁどんな題材であれ、本人の信条がしっかりしていればいい作品になるってことだと思います。
──マンガと言えば、09年の衆議院議員選挙で幸福実現党から立候補【註7】されましたね。麻生元総理のお膝元福岡8区からの出馬で、マンガ総理とマンガ家の対決として話題になりましたが、政治にはもともと興味が?
さとう 国防に対する関心はありましたね。「日本が軍隊を持たなければ世界は平和!」なんて、超ナンセンス。侵略されても平気なのかって話ですよ。それから教育の問題。自分が中学時代にいじめられた経験もあって、教師の堕落も気になります。公務員で競争がないから、先生たちもことなかれ主義になっているんでしょう。日教組がこれをバックアップしてるんだから、どうしようもない。
あとは、立党したばかりで話題に乏しかったこともありますよね。景山民夫さんが生きてれば別だったんでしょうけど、ほかに出られる有名人がいなかった。だからマンガ総理に対してマンガ家でって(笑)。
──なるほど。先生は幸福実現党文化局長も務めてらっしゃったそうですが、先ごろ都議会で可決され話題になった過激な性表現を含む漫画やアニメの販売を規制する「東京都青少年健全育成条例」についてはどうお考えですか?
さとう やることがない議員さんたちが、とにかく法令を作りたいって気持ちで叩きやすいものを選んだだけでしょうね。ただみんな心配し過ぎ。表現の自由っていうけど、自由すぎるのもどうかと思いますよ。日本はもともと充分すぎるくらい自由なんだから。まあ私は(金田一少年のヒロイン)美雪のパンチラを描かなくてもやっていけるし、その程度で叩かれたりしたらきっと陰謀でしょうね。だからそれほど気にはしてないです。
── 最後に、来年は『金田一少年』が20周年を迎えます。今後の予定を聞かせてください。
さとう 4月から『金田一』の連載が再開します! あと、個人的には、未完で終わった『鉄人奪還作戦』【11】の続きを、プライベートでもいいから描きたいですね。
(構成/大熊 信)
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[註6]大川宏洋氏
大学生ながら映画『仏陀再誕』では脚本を担当。パンフレットでエヴァンゲリオンからの影響を発言するなど、アニメ好きの一面も。
[註7]立候補
09年に行われた衆議院議員選挙で、さとう先生は一切顔を出さない斬新な選挙戦術を取って「幸福実現党」より出馬(結果は落選)。麻生元首相の祖父が吉田茂だったとことと『金田一少年の事件簿』の名セリフを懸けて、「じっちゃんの名にかけて対決」と言われた
秘儀「エル・カンターレ ファイト」も紹介!?
マンガで読み取る「幸福の科学」とは?さとうふみや氏が幸福の科学出版で描いた『降魔法輪』『仏陀再誕』から、教団の思想を分析した。
【幸福の科学の思想1】
「憑依」
霊が人に乗り移ること。精神的、体力的に弱っている時ほど、悪霊に取り憑かれやすくなるそう。憑依する悪霊の姿は、人形のものから黒い塊まで、さまざま。
『降魔法輪』より【幸福の科学の思想2】
「エル・カンターレファイト」
幸福の科学への信仰心が前提の秘儀。手で十字を2度描き、星を線で結ぶ。悪霊払いのほか、奇跡を起こす力の効果もあるとか。実はそれほど隠していない。
『降魔法輪』より【幸福の科学の思想3】
「霊道が開ける」
悪霊の気配を感じる以外に、霊と会話ができる、降霊させられる、超常現象が身の回りで起こる、などの霊体験が起きるようになる。開けて怖い思いをする可能性があるため、教団では積極的には進めていない。
『仏陀再誕』より【幸福の科学の思想4】
「ケリューケイオン」
別名カドゥケウス。ギリシャ神話の神ヘルメスが持つ杖。ヘルメスはエル・カンターレの魂の一部であることから、マンガ、アニメに限らず、教団のビジュアルイメージで使われることがある。
『仏陀再誕』より
【10】『仏陀再誕』
大川隆法案、大川宏洋作、さとうふみや画/幸福の科学出版(09年)
教団が無料配布する「Young Buddha」(♯67~♯71)に収録された作品で、原作は映画も公開された。エル・カンターレの降誕までを描き、コミックマーケットでも配布を行ったそう。
【11】『鉄人奪還作戦』(1~3巻)
横山光輝作、さとうふみや画/講談社(07~09年)/各690円
横山光輝の『鉄人28号』を原作に、さとうふみやが時代設定を21世紀に移し、アレンジを加えた作品。「マガジンSPECIAL」にて不定期で掲載されたが、いまだ完結していない。