マスク未着用途中降機乗客の記録

ピーチ航空PeachMM126便(釧路ー関空)においてマスク着用拒否トラブルで途中降機になった乗客です。#マスパセ (@mask_passenger)

カテゴリ: ピーチ航空事件

経緯については前回までの記事に加えて、47Newsにも出ていますのでご参照ください。
https://www.47news.jp/5262357.html


1、機内でのCAへの質問の内容は何だったのか?

インタビュー記事の「先ほどの乗客が謝罪したのか、マスクの着用についてピーチの運航約款ではどのように定められているのかを質問した」という箇所を補足します。

質問の内容は、(1)不規則発言の乗客への対応の確認、(2)ピーチでのマスク着用取り決めについてです。

CAとのやり取りがあったのは、詰め所で計3回です。

①離陸後に通りかかった後方左列担当のCAと座席で会話→後方に移動。そのCAと、同じく後方担当の先輩CAが対応。(計5分)

①の会話内容については、前回のブログで説明した通り、
座席で後方左列担当のCAに状況説明→後方CA詰め所に移動→同じく後方担当の別の先輩CAもいるが「チーフパーサーが対応すべき事柄だと思います」として引き返す。

①の時点では実質的な質疑応答は行われず、一般CAに問題の所在を伝え、チーフパーサーの対応を求め、座席に戻りました。

②後方詰め所でチーフパーサーと会話。(3~5分程)

2度目の後方詰め所でのCAとの話し合いでは、チーフパーサーが登場しますので、ここで実質的な議論が行われます。

会話の前半は「先ほどの乗客が謝罪したのか」が話題で、内容前半は前回のブログの2の通りです。チーフCAは、不規則発言乗客の対応を拒否しようとしました。

私「発言があったという行為に対して、謝罪して頂く必要があると言っているんです。」

問題は「コロナの時期に偏見に基づく発言が機内であったこと」「ピーチ社の社会的責任として機内でのマスク不規則発言は看過せず対処する必要があること」を指摘しました。

私「もしその方に注意していなかったのであれば、今その座席に行って「先ほどの発言はまずかったですよ。謝ったほうが宜しいのでは」と言われてはどうですか?」
CA「では、直接その方に言われてはどうですか?」
私「もし私が今その方の所に行けば、もう一度言い合いになってしまいますよ。ですので、これは当然CAさんが対応すべきことです。仮に謝罪があってもなくても、きちんと声掛けをすることが重要ではないですか?」
CA「それは、お客様同士のことですので。」
私「いえ、きちんと対応して下さいね」

という流れになります。
ポイントとしては、
・マスクの有無に関わらず、他の乗客の不規則発言(+「あっち行け」と言って体を押す行為)については、機内の秩序を維持する意味でも対処する必要があった。チーフCAがこれを頑なに拒んだ。
・「乗客の謝罪を要求した」のではなく、「CAの声掛けを要請した」が事実です。仮にその乗客が謝罪を拒んでも、CAが相手方にも声掛けと注意をすれば、当然そこで問題は収まったでしょう。
・乗客が別席に移動する際に、CAに「きちんと注意して下さいね」と言い、彼女は「分かりました」と言いました。チーフパーサーとしては、その乗客注意が行われていなかった以上、まずは非を詫びて対応する必要がありました。
・仮に実際は乗客注意が行われていなかったとしても、例えばチーフCAが「あちらのお客様に注意のお声かけをしたのですが謝罪には応じて頂けませんでした。お客様(マスパセ)にも不快な思いをさせてしまいすみませんでした」とでも応じて、ピーチ側が他の乗客の側の発言も問題視する意向を示せていれば、事はそこで収まったでしょう。

私の問題意識の矛先は「不規則発言をした乗客」ではなく「マスク未着用者を悪者にして不規則発言を看過し対応を怠ったCA」にあるわけです。

なお、離陸後は他の乗客の方々との接触はありません。(ピーチ社が「乗客や乗務員への威嚇」をマスコミ向けの理由説明で挙げていますが、離陸後に乗客と私の接触はありません。)あくまでも今回のことは、私とピーチCA(特にチーフパーサー)との間で生じた一件です。


2、マスク着用規約をめぐるやり取りはどのように行われたのか?

前項で説明した通り、CAとのやり取り②(後方でのチーフCAとの対話)の前半は「先ほどの乗客が謝罪したのか」です。

私「いえ、きちんと対応して下さいね」
と申し上げ、乗客注意の要請の話はそこで終わっています。
(②後半~③では乗客注意の話題は出ておりません。「乗客の謝罪をCAに執拗に求めた」という一部の印象は誤りです。その後の話題は、ピーチのマスク規約についての質疑です。)

CAとのやり取り②の後半は、「マスクの着用についてピーチの運航約款ではどのように定められているのか」です。

乗客注意の話を終えた後、次の話題に移ります。最初に書面での記録をCAに求めました。

私「先ほどの乗客についてはきちんと対応して下さいね。では、2点目に移ります。先ほど離陸前にマスク着用をめぐって、あのようなことが生じてしまいました…。なぜあのような問題が生じてしまったのか、どういう根拠で「降りて頂きます」「飛び立てません」という発言が飛び出したのか、書面で記録を出して下さい。」
CA「そのようなこと(書面対応)はしておりません。」
私「こういうイレギュラーが起こってしまった以上、きちんと説明する必要があると思いますよ。関空についてから本社を通してでもいいですので、先ほどのことが起こった経緯を記録してピーチのマスク規約を示して説明して下さいね。」
CA「そのようなことは致しません」
私「そもそもあなたが当事者でしょう。では、あの場で、どのような根拠で「降りて頂きます」とか「このままでは飛び立てません」とか言ったのですか?それはきちんと規約を確認して回答して下さいね。」

マスク搭乗拒否未遂を起こし乗客間のトラブルを誘発してしまった以上、ピーチとしても状況を把握し当該乗客には説明する必要があります。最初は、その場での口頭説明ではなく書面での回答を要請しました。

そこでCAが「分かりました。今回生じたことについては本社から回答をさせます。お手数をお掛けして申し訳ありません。」と応じていれば、その後、私は席に戻り関空に到着し、CAが事例を本社に上げた上で本社との後日話し合いになったはずです。

また、そもそも当事者(動画のマスク要請をした張本人のチーフCA)がどのような根拠で不適切なお願いをしてしまったのかは説明する責任があります。「マスク未着用→降りて頂きます」を言っている以上、やはり乗客には説明し非を謝罪する必要があります。そこで、例えば「こちらも先ほどはお客様に行き過ぎた失礼な発言をしてしまいました。マスクの規約については後で調査し再発防止に努めます」と、CAが(不勉強で規約を把握していなかったとしても)発言を詫び、場を取成すことはできたでしょう。

しかし、そこでチーフCAの新千歳空港発言が飛び出します。

CA「お客様はこちらの再三のお願いにも応じて頂けませんでした。乗務員の指示に従って頂けない方だと判断しました。このままでは新千歳空港で降りて頂くことになりますが、宜しいですか?」

離陸前の「降りて頂きます」発言をめぐって議論をしている際に、再度「降りて頂きます」発言がありました。
「そもそも離陸時のマスク着用要請時に降ろすこともできたのに、こっちとしては温情で乗せてやっているのだから、これ以上グダグダいうなら本当に降ろしますよ」との認識であったため、議論は続きます。

ただし、新千歳空港発言の後、私は席に戻り、CAとのやり取り②は終わります。

私「いえ、それは承服しかねます。(この時は「降りないことはしません」と言い間違えていません。)そもそも今の発言もかなりの問題発言だと思いますよ。それはどういう根拠に基づいて言っているのですか?そのようなことはできませんので。私も席に戻りますから、まずはマスクの規約を確認して下さい。それで宜しいですか。」
CA「分かりました。」

とのことで、CAとのやり取り②は終わり、その後しばらくしてから、CAとのやり取り③(機内前方)になります。
新千歳空港で降りることは希望しませんので、一度引き下がった上で、実りある議論をする為にもまずはマスク規約をきちんと調べてもらうよう要請しました。


3、CAの業務を妨害する状況にあったのか?

CAとのやり取り①は、離陸後に後方左列担当のCAさんが近くを通った際に呼び止めて、お話をしました。後方CA詰め所には、後方担当の別のCAさんが手持無沙汰で待機していましたので、喫緊の業務があったわけではありません。

CAとのやり取り②の際は、機内カタログ販売の時間で(飲食物の取り扱いがないため)誰も購入者がおらず、業務閑散の時間帯です。

また、当日は乗客125人で通常期よりも少ない乗客数ですので、対応できないほどの業務過多が生じていた状況にもありません。

また、CA詰め所でのお話は、いずれもCAさんが「お話があるならこちらで」と促されて移動しています。仮に何らかの業務の妨げになるなら、例えば「今はちょっと忙しいのでまた後で」と時間帯を変更することもできたでしょう。

そして、「先ほどの乗客が謝罪したのか、マスクの着用についてピーチの運航約款ではどのように定められているのかを質問」に対応することはCAの重要な乗客対応業務の一つですので、これが優先する他の業務の妨げになったという弁明は通りません。

安全阻害行為の「業務妨害」は、物理的に業務を妨げた(CAを掴んで離さない等)場合が該当し、単に時間的な意味での業務への負担は「妨害」に相当しません。例えば、質問で「コーヒーまだですか?」を5分間で100回言ったのであれば意図的な妨害になるでしょう。しかし、上記の正当かつ重要性の高い内容の質問を3~5分程度に渡って行うことが「業務を妨害した」に当たらないことは明らかです。


いくつか質問を頂きましたので、回答します。

経緯については前記事に加えて、47Newsにも出ていますのでご参照ください。
https://www.47news.jp/5262357.html

1、隣の乗客から暴言があったのはマスクに関してか?

インタビュー記事の「私と同じ列に座っていた乗客の男性から「気持ち悪い。こんなんと一緒に乗られへん。あっち行け」と言う暴言がありました」という箇所を補足します。

この発言は、マスク未着用に関して向けられた言葉です。「このご時世でマスクをしていないことが気持ち悪い」という発言は、他の乗客も聞いていたとして私と一致しています(Twitterより)。

私がこれに反応した理由は、新型コロナの時期に様々な事情でマスク着用に協力できない人に対して無意識であっても偏見に基づく発言は許してはいけないと考えたからです。これを是認することは、私に対してだけでなく、他のマスク未着用の方々に対する誹謗・侮辱を許してしまうことになります。マスク未着用者は、色々な視線を投げかけられ心理的負担を日々感じています。マスク着用の協力を社会が多くの場面で規定している以上は、協力できない人に対しても権利を保障していく必要があります。根拠なき誹謗ともいえる言葉の刃については、当人にきちんと反省・謝罪して頂く必要があると考え、CAさんに注意を要請しました。

2、CAに注意と謝罪を促したのはなぜか?

直接のやり取りをすると再度紛争になる恐れがありますので、機内の秩序を維持する立場のCAさんに仲介を求めました。その乗客の方が別席に移動する際に、私はCAさんに「きちんと注意して下さいね」と申し上げ、CAさんは「分かりました」と言っていました。

その後になって、チーフパーサーに確認したところ、
私「先ほど注意して頂けるとおっしゃっていましたが、どうでしたか?」
CA「いえ、それはお客様同士のことですので。」
私「特に注意をなされていないのですか?!」
CA「それに関しては何もしていません。」
私「きちんと注意し、謝罪の促しをして下さい。」
CA「それは、お互い様ですし。」
私「お互い様ではなく、乗客から不規則発言があったことに対しては対処して頂く必要があると思います。新型コロナの時期に、こんな発言が機内で出るのはマズいと思いますよ。ピーチとしても、これを放置するのは、偏見に基づく発言を許していることになると思いますよ」
CA「お客様の方もマスクをされていなかったのですし」
私「いや、そういう問題じゃないでしょ。発言があったという行為に対して、謝罪して頂く必要があると言っているんです。」

ここで、例えばCAがその乗客の所に行き「お客様の発言は謝られた方が宜しいのでは?」と謝罪を促せば、問題は単純に解決したはずです。事を中立的に扱い機内秩序を維持する役割のCAは乗客対応を徒に拒否し、むしろマスク未着用の私が悪者であるかのような扱いをしました。その背景にはマスク着用お願いに応じなかったことがありますが、他の乗客から出た不規則発言は公平に対処する必要があったと思います。ピーチがコロナの時期に、社会的にセンシティブな問題で誹謗を許容してしまったことは遺憾です。

3、CAとの「対話」の時間と対応者について

離陸後にCAとのやり取りがあったのは、3回です。詳細を補足します。

①離陸後に通りかかった後方左列担当のCAと座席で会話→後方に移動。そのCAと、同じく後方担当の先輩CAが対応。(計5分)

前記事と47Newsで書かれている通り、座席で「事情説明・質問」を行いました。途中で、CAさんから「後ろで」との提案があったので後ろに移動しました。後方担当の別のCAさんも詰め所に待機していましたが、
私「やはり、これはきちんと責任者のチーフパーサーのWさんが対応すべきことだと思いますよ」
と申し上げ、すぐに引き下がりました。

②後方詰め所でチーフパーサーと会話。(3~5分程)

①でチーフパーサーの対応を依頼し、その後、座席に戻り待機しました。チーフパーサーがいらっしゃったとのことで、後方詰め所でお話ししました。

③前方詰め所でチーフパーサーと会話。(3~5分程)

②の最後の会話で、
私「それでは、確認しておいて下さいね。」
と言って座席に戻りました。その後通りかかったCAさんに、
私「Wさん(チーフ)に先ほど確認して頂くよう申し上げましたが、その後いかがですか?」
CA「チーフは前方にいらっしゃるので、お話があるなら直接どうぞ」
とのことで、前方の詰め所でチーフパーサーの方とお話をしました。

前回のブログを書いてからいくつか質問を頂きましたので、回答します。

経緯については前記事に加えて、47Newsにも出ていますのでご参照ください。
https://www.47news.jp/5262357.html

1、最初の乗務員とのやり取りが5分程に及んだのはなぜか?

インタビュー記事の「明確な回答がなかったので5分ほど座席で抗議を続ける」の箇所を補足します。
この時にやり取りをしたのは、後方左列を担当している乗務員でした。(離陸前に最初に「マスクは?」と声をかけた乗務員です。その後、別の乗務員やグランドスタッフが入れ替わり立ち代わり来ています。)
私「先ほどの件ですが。」
CA「先ほどの件と言いますと…」
私「マスクの件です。マスクのお願いと、乗客とのトラブルと。見ておられたのではないですか?」
CA「一部始終は見ておりません。」
私「では説明します…」
という流れです。このCAは、最初に「マスクお願い」をした方ですが、その後別のスタッフに交代し、差別発言のあった乗客とのトラブルの時は見ていなかったとのことでしたので、問題の所在を説明しました。
5分程ずっと「抗議」をしたのではなく、初めから状況説明をした上で質問をする必要があったので、やや長い時間になりました。


2、その後にCA詰め所で質問した際に、話がやや長くなっているのはなぜか?

座席で話した方とは別のCAさんとお話しています。そのため、一から問題の所在を説明することになりました。
私「先ほどのCAさんから報告は受けていますか?」
CA「いえ、問題の詳細については…」
私「では、説明…」
つまり、「たらい回し」になっており、その都度、説明しているので結果として時間はやや長くなっています。
ただ、その時のCA業務はカタログ販売(飲食物の扱いは中止のためほとんど購買はない)で、喫緊の重要な業務の妨げになったという状況ではありません。

(なお、CA詰め所でのお話は、CAさんの方から「お話があるなら…」と促されて移動しています。)

3、客室乗務員の「途中で降りて頂く」発言の真意は?

インタビュー記事の「総責任者の客室乗務員の女性からは回答がないばかりか「途中で降りていただく」という発言がありました。」の箇所を補足します。

客室乗務員の「降りて頂く」発言は、離陸前のマスク着用要請の際にもありました。CA詰め所でこの発言の真意を問いただした際に、機上での「途中で降りて頂く」発言がありました。
CA「お客様はこちらの再三のお願いにも応じて頂けませんでした。乗務員の指示に従って頂けない方だと判断しました。このままでは新千歳空港で降りて頂くことになりますが、宜しいですか?」
マスク要請時の権限逸脱発言の非を認めることなく、チーフCAが同様の発言を再度行いました。私は、その発言は何の根拠に基づくのか、乗務員指示は何が該当するのか、を聞きましたが、明確な答えはありません。そのような発言は妥当ではないため、私の方からはこの発言についても抗議しました。

つまり、CAの側が不適切なマスク着用要請の釈明と規約確認をすることなく、先の自らの発言を正当化するような発言を再度行い、火に油を注ぐ対応をしたことが話がこじれていく原因となりました。

例えば、CAが「先ほどはこちらも行き過ぎた対応があり、お客様にご不快な思いをさせてしまいすみませんでした」と釈明し、「規約については責任をもってきちんと回答します」と場をとりなしていれば、問題は全く拡大しなかったでしょう。当該チーフCAは、強行なマスクお願いを正当化する発言を行い、それに対する疑義・質問も認めないという姿勢に出たため、こちらとしても「それはおかしいのではないですか」と質問を繰り返さざるを得ませんでした。

簡単に言うと「そもそも離陸時のマスク着用要請時に降ろすこともできたのに、こっちとしては温情で乗せてやってるのだから、これ以上グダグダいうなら本当に降ろしますよ」という趣旨の認識であったため、私の方としても権限についての質問を続けることになりました。本来であれば、2,3分で終わる話が迷走していきました。


4、CAのマスク着用お願いと、乗客の不規則発言はどちらが先か?

時系列は、CAからのマスク着用お願い→乗客の不規則発言→CAの再お願い…
です。CAが(権限を逸脱して)無理にマスク着用要請を行ったことが、マスク警察を助長する雰囲気を作りました。

仮にCAがマスク着用「お願い」を一度に留めて引き下がっていれば、他の乗客が絡んでくることはなかったでしょう。CAの稚拙な対応が、「マスク強制」的な雰囲気にし、周りの乗客が「あいつにマスクをさせよう」とする行動の誘因になりました。

事実関係についての言及が見にくいとの声もありますので、ひとまず事実関係の記述事項を抜粋し掲載します。(文体が読みにくくて、すみません。)

1、マスク着用をめぐるお願いについて

搭乗後に機内にて客室乗務員よりマスク着用の「お願い」を受けましたが、こちらは「お願いは承るが答えはノーです」と返答しました。ピーチ社の公開情報において機内でのマスク着用は「お願い」事項に留まることを事前に確認し、その理解に基づいた対応を取りました。

客室乗務員が何度も食い下がる形で「お願い」が繰り返し行われたことは妥当な対応でありません。語義として「お願い」は、何らかの行為を任意で依頼することであり、趣旨を逸脱した対応が当該乗務員からあったことは残念です。同じ「お願い」が複数回行われても、対して同じ回答の反復となります。
強制力を持った規約が存在しない中、あくまで任意のお願いに強制的なニュアンスを感じさせることは、客室乗務員が社の対応方針を逸脱しています。

そもそもマスクが航空保安上の必要性があると言えるかは、国内外の航空会社で対応が分かれ、ピーチ社もその現状を踏まえ「お願い」事項に留めているものと思われます。現場の職員が趣旨を逸脱した対応を行っていることは問題です。

他社の規定では「健康上その他の理由により」等の条項が設けられますが、ピーチ社の公開情報では、あくまでもマナーとしてのお願いであるため例外規定の挙示はなされていません。(降機後に別スタッフにも口頭で確認しましたが、ピーチ社の対応は例外規定なき一律強制ではないはずです。)

お願いである以上、その働きかけに対して判断をする主体は当人です。事の趣旨からして理由の提示は不要なはずです。ただ今回は私は「もし理由の提示等が必要であれば書面にて一筆書きます」と付言しました。客室乗務員が乗客の申し出にも聞く耳を持たずに不明な対応に終始したことが、その後の口論の前提になりました。(つまり「理由の提示」はこちらから申し出ましたが、それを受け付けなかったのはピーチ乗務員側です。)最大限の真摯な対応を心掛けましたが、客室乗務員は乗客の意をきちんと汲み取った対応をせずに一方的な言動が続きました。

個人のプライバシーに関わる健康上の理由の詳細な開示は、当事者にとって大変な負担を強いることになります。自らの疾患等の健康状態を対面でカミングアウトすることは気持ち良いことでありません。
(この点、コロナ禍で様々な理由で着用困難な方々への負担を強いていることには自覚的であるべきです。)「お願い」であれば「そうですか」の一言で済ませるのが、大人の対応ですが、当日の乗務員のマスクをめぐる対応は不快感を抱かせるものでした。

2、機内での乗客間のトラブルについて

報道では「他の乗客」への威嚇がなされたと一方的な決めつけがされますが、真相は異なります。乗務員のマスク要請の最中に、それに乗じる形で、近隣する座席の乗客の方から私に対し不適切な発言がありました。その乗客の方々への注意と謝罪の促しを客室乗務員に依頼しました。「機内の秩序を維持する」のが乗務員の任務であるなら、当然、不適切な発言をした乗客の方を注意するのも仕事なはずです。

私の尊厳を傷つける乱暴な発言があったことは見過ごせず、第三者(CA)を通して注意を促して頂けるよう依頼しました。「威嚇」と表現されることは全く該当せず、乗客の発言事項に対して抗議を申し上げた趣旨です。また、機内の秩序を維持すべき客室乗務員が事を中立に処理していないことも遺憾であり、この点が事を増幅させました。

この際の客室乗務員の対応については、離陸後、機内のチーフ乗務員にその是非をご質問致しました。

3、乗務員の権限を逸脱した対応

1のマスク着用をめぐる対応最中で、「このままの状態では降りて頂きます」「お客様がマスクをなされませんと飛行機が飛び立つことができません」との不用意な権限逸脱の発言が客室乗務員(チーフパーサー)からありました。
マスク着用拒否がいかなる根拠において搭乗拒否事由に相当するかは全く不明ですが、強制性に一歩踏み込んだ介入が行われました。
当然、搭乗辞退も拒否し、マスクを着用しないまま飛行機は離陸しましたが、規約を逸脱した対応は説明を求めるべき事柄です。この点、機上での対話で確認しました。
こちらとしては最大限に紳士的な受け答えを当然していますが、着用拒否という行為の一点のみで、私の全ての言動を乗務員が恣意的に曲解し、色眼鏡での対応が続きました。事に回答を与えないばかりか、客室乗務員の側から感情的な発言がありました。(機上での対話が縺れていく原因は、離陸前の乗務員の不適切な発言に端を発するだけでなく、機内での乗務員の対応にも起因します。)

4、書面について

私が理由の提示を書面でのやり取りとして求めたことについて。機内で他人の耳目がある中で「○○理由(疾患名やその他の理由が入ります)で…」と申し上げることは、個人の内面に関わることで勇気がいります。例えば、ジェットスターのように事前に人が少ない搭乗前のカウンターで、こっそり書面メモでお伝えするならスマートですが、既に機内で個人の事情を開陳することは感じ方の良いものではありません。
「書面で」というのは無理筋を通すための発言でなく、最低限のプライバシーと折り合いをつける方法です。このやり取りも当該乗務員の方は趣旨をご理解頂けておりませんが、多様な事情な人々への配慮を欠くことに非があります。

5、席を移動することを一時的に保留した理由について

(1)搭乗が済み既に着席が終わった後だった(席の調整をするなら、事前の相談を案内し、搭乗前にすべき)
(2)当日の席の配置で、隣は一つ空き、十分な距離を確保。(現状の科学的知見で最大の距離を開けることまで推奨されません。)この配置なら、「気になさる方」が動いたらいいと考えられます。
(仮にもし別の席の配置で、両隣が詰まっていたならば、最初から私が動く選択肢も容認していました。)
(3)最終的に、私が移動する案か、気になさる方が移動する案か、で後者を選んだのはCA。そして、気になさる方のほうが移動なさるという形で、席の移動が実現しています。

そのため、私は、(1)に基づき「席は既に割り当てられている」と申し、(2)に基づき「気になさる方のほうが動かれては宜しいのでは」と申し、(3)に基づきCAが後者での席の移動を行います。

6、「大きな声で騒いだ」という主張の不当性

ピーチ社およびそれに基づく報道は私が「大きな声で騒いだ」としますが誤解です。まず「大きな声を出した」と「(もともと)声が大きい」は異なります。

声のボリュームの適切性は、個人の生理現象に拠るものですが、私は耳の聞こえが余り良くなく日常より声が人より大きいことがあります。当日、機内で特に乗務員がマスクをしている為、籠もるような声が聞き取りづらく、何度か聞き返す場面がありました。何を言っているか聞こえないと複数回申し上げました。(話が理解できないとの批判でなく、単に音量的に「聞こえない」というだけです)

そのやり取りが更なる誤解を生んだならば、乗務員側の配慮が少し欠けているのではないかと思います…。(議論の本筋ではなく、声のボリュームという生理現象をあげつらう態度は、客室乗務員が持つべき多様な背景の人々への認識をやや欠いているかもしれません。)

また声の大きさは日常生活上も自覚しているので、指摘に応じて最大限の配慮をしています。「声が少し大きいですよ」と言われると、その時は声のボリュームを落とすよう注意して心掛けました。また音声でなく書面(お手紙)での質問のやり取りではどうかと私から客室乗務員に提案しています。こちらの配慮を汲み取らず、一方的な偏見に基づく判断がなされていることは不当です。

議論上の語彙は全て適切な言葉を使用し、暴言や不規則発言の類は一切ありません。声の大きさという量的側面だけを問題にするならば、「安全阻害」の根拠として十分でしょうか。事後、ピーチ社担当者に具体的にどういう側面もしくは具体的な発言を問うのか指摘を求めましたが、具体的説明はなされませんでした。

乗務員対応およびピーチ社の内規運用に関する客観的事実の正当な質問を、適切な語彙によって行っているにも関わらず、それに対して回答を示さないばかりか、何の具体的根拠も示せないまま、旅程中に機外への退出を求められたことは不当です。

7、乗務員の指示に従わず業務を妨害した、という指摘は当たらず

機内でやり取りがあったのは後方CA詰め所で2回、前方CA詰め所で1回、お話し合いの機会を持ちました。頻度は高いものではありません。それは、乗客対応の経過確認、マスク規約の確認、乗務員発言の真意の確認、の客観的事項における対話です。何らかの行為の「強要」ではなく「事項の確認」でした。

疑問のある客観的事実につき質問をすることは乗客の権利で、適切な回答を与えることは乗務員の「業務」です。その「方法」についても、他の乗客の静穏な環境に配慮し適切な方法で行っています。例えば、座席ではなく機内の前や後ろのスペースに移動したり、書面でのやり取りに一部切り替えたり、可能な限りの工夫を加えています。

一部報道で「コックピット近くで詰め寄っている」のような印象操作がなされました。これは、狭いLCC機内ではCA詰め所とコックピットの距離が近いこと(例えば、前方のコックピット近くのトイレに行くことを「コックピットに近寄る」とは言わないでしょう)が原因です。「詰め寄っている」のでなく単にマスク越しの声が聞き取りづらく近くなるのであり、このような不適切な表現が使われることは残念です。

CAの他の業務との兼ね合いに配慮し、その指示は尊重しています。(一度席に戻り、チーフ責任乗務員が対応可の際に対話する。等)。正当な疑義のもと事項の確認を行う対話が、いかなる意味で業務妨害に当たるか、説明を求めても何の根拠も示されていません。曖昧な認識に基づき、重大な処分が下されることは極めて大きな問題です。

「大きな声」や「機内秩序」といった抽象的な根拠は、マスク着用拒否をめぐるやり取りの意趣返しであるとさえ思われます。ピーチ社の一方的な判断と当事者である私との間では認識が完全に食い違っています。むしろピーチ社が恣意的に事実を捻じ曲げています。当然ながらこの点ピーチ社は説明責任がありますが、機内においても後日の質問提起においても未だ何の説明も責任ある立場の方からなされていません。

8、警告時に紙をペンで叩いて威嚇したとの報道

一部報道で「やれるもんならやってみろ」との趣旨の発言をしたと書かれましたが、これも完全な誤りです。警告書には具体的な該当行為が空欄で、それを質問しても全くお答えになれず、私としてはそのような警告は有効なのかと問いました。話の趣旨を曲解し、勝手なまとめ方で乱暴な言葉使いをしたかのようにされるのは心外です。なお、書式の該当箇所をペンで指して内容を質問したのであり、その質問に対しても答えもままならず(そもそも何の行為に対し警告しているのかも示さずに)私の質問を遮るように声をかぶせ、感情的な対応に終始し、事を悪化させたのは客室乗務員の側です。


9、退去命令の不存在と手続き上の瑕疵

一部報道では機長命令により退出させられたとの誤った事実関係が書かれます。しかし、手続き上の瑕疵も指摘できます。まず、書面での退出の命令書が交付されていません。新潟空港では、機内進入の係員から口頭で降機を求められましたが、拒否しています。後日にピーチ社に機長の退去命令書面は存在するのか質問を出していますが、ピーチ社はそれすら答えられていない状況でした。

民事上の契約の一方的な破棄にも書面での通知が必要なはずですが、適切な手続きが行われていない以上、契約自体は有効と解します。法的な状況としては、降機による契約の終了には同意していない、「事情の説明の為に一時的に機外に出た」という状況になります。その意思は退出時に示しています。
そのため運送契約は有効、債務不履行の発生、新潟空港―関空の別途手段での移動の追加費用をピーチ社に補償するよう求めています。

事実を説明する為に一時的に降り立った新潟空港では、担当者は事実関係の聴取を行わないばかりか、契約終了とチケット払い戻しへの署名を求められましたが拒否しました。前述の通り、正当な理由なき退機は認めていませんので、今後の対応につきピーチ本社と話し合いを求めています。

なお、新潟空港ピーチ地上係員は、何が問題か、マスク着用拒否が問題か、その後の議論が問題か、についてすら答えられない状況でした。係員2名は最後逃げるかのように乗客を新潟空港に取り残し去っていきました。新潟空港係員の一方的な対応は、運送契約上の保護義務にも違反します。重大案件に責任ある立場の社員が対応に当たっていないことも社としての問題です。新潟空港で本来行われるべき事情の説明が全く十分に行わなかったことは問題です。

10、退去理由の説明について

(1)マスク着用のお願いに繰り返し応じなかったことを「乗務員の指示に従って頂けない方だと判断した」として退去理由の一つに挙げる認識を一次現場対応者は示しました。

(2)「このご時世にマスクをせずに話をすることは、他の乗客に不安や不快感を与えるおそれがある」として航空法73条に抵触する認識も新潟で現場対応者が示しています。

マスク未着用は、具体的な危険でなく、他の乗客の抽象的な不安・不快のお気持ちであり同条項に該当しないがこちらの見解です。

ピーチ本社は「声が大きい」等の「何らかの安全阻害行為があった」の一点に主張を絞る意向のようです。そうであれば「マスク未着用は、航空安全上の乗務員指示に該当しない」「マスク未着用は、航空法に定める他の乗客の不快感・不安のおそれにはならない」と明言し現場対応者の非を先ずは訂正すべきです。

機内での乗務員指示は強い権限になり、この指示に従わない場合は降機も認められます。「マスク着用」のお願いを乗務員指示や命令に含めて、「これに従わない場合は~」とするなら極めて強い強制力になります。ピーチ本社が「マスク着用は義務でない」立場を示すなら、着用お願いは航空法上の「乗務員指示に該当しない」と訂正し、一部空港に掲示される「マスク着用して頂きます。搭乗をお断りする場合があります」の看板を撤去すべきです。社内各所で対応がバラバラだとすると正しく統一するのは本社の責任です。そうでないと、様々な事情でマスク未着用の方々への萎縮効果をもたらします。本来はマスク着用が大きな負担になるが肉体的に無理して着用することを誘発しかねません。

ピーチ社が「何らかの安全阻害行為があった」とするとしても、その行為の程度が緊急着陸までする必要性があったのかどうかは説明する必要があります。そもそも機内の乗客と客室乗務員の議論で「安全阻害行為を判断した」という説明で、航空機を緊急着陸させるなら、年間に何回同じようなことが生じるか計り知れません。「緊急着陸させる必要性があったか」はピーチ社自身が責任をもって回答すべき事柄です。

社会の人々の事情の多様性に鑑みれば、今後もマスク着用問題が機内で生じることは当然予想されます。一方的な不当な判断に依拠した退去要請が二度と生じることなく、最大限の配慮ある対応を整備することが、公共交通を担う航空会社としての責務です。事の当事者となったピーチ以外の航空各社にもその旨強く要望します。


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