経緯については前回までの記事に加えて、47Newsにも出ていますのでご参照ください。
https://www.47news.jp/5262357.html
1、機内でのCAへの質問の内容は何だったのか?
インタビュー記事の「先ほどの乗客が謝罪したのか、マスクの着用についてピーチの運航約款ではどのように定められているのかを質問した」という箇所を補足します。
質問の内容は、(1)不規則発言の乗客への対応の確認、(2)ピーチでのマスク着用取り決めについてです。
CAとのやり取りがあったのは、詰め所で計3回です。
①離陸後に通りかかった後方左列担当のCAと座席で会話→後方に移動。そのCAと、同じく後方担当の先輩CAが対応。(計5分)
①の会話内容については、前回のブログで説明した通り、
座席で後方左列担当のCAに状況説明→後方CA詰め所に移動→同じく後方担当の別の先輩CAもいるが「チーフパーサーが対応すべき事柄だと思います」として引き返す。
①の時点では実質的な質疑応答は行われず、一般CAに問題の所在を伝え、チーフパーサーの対応を求め、座席に戻りました。
②後方詰め所でチーフパーサーと会話。(3~5分程)
2度目の後方詰め所でのCAとの話し合いでは、チーフパーサーが登場しますので、ここで実質的な議論が行われます。
会話の前半は「先ほどの乗客が謝罪したのか」が話題で、内容前半は前回のブログの2の通りです。チーフCAは、不規則発言乗客の対応を拒否しようとしました。
私「発言があったという行為に対して、謝罪して頂く必要があると言っているんです。」
問題は「コロナの時期に偏見に基づく発言が機内であったこと」「ピーチ社の社会的責任として機内でのマスク不規則発言は看過せず対処する必要があること」を指摘しました。
私「もしその方に注意していなかったのであれば、今その座席に行って「先ほどの発言はまずかったですよ。謝ったほうが宜しいのでは」と言われてはどうですか?」
CA「では、直接その方に言われてはどうですか?」
私「もし私が今その方の所に行けば、もう一度言い合いになってしまいますよ。ですので、これは当然CAさんが対応すべきことです。仮に謝罪があってもなくても、きちんと声掛けをすることが重要ではないですか?」
CA「それは、お客様同士のことですので。」
私「いえ、きちんと対応して下さいね」
という流れになります。
ポイントとしては、
・マスクの有無に関わらず、他の乗客の不規則発言(+「あっち行け」と言って体を押す行為)については、機内の秩序を維持する意味でも対処する必要があった。チーフCAがこれを頑なに拒んだ。
・「乗客の謝罪を要求した」のではなく、「CAの声掛けを要請した」が事実です。仮にその乗客が謝罪を拒んでも、CAが相手方にも声掛けと注意をすれば、当然そこで問題は収まったでしょう。
・乗客が別席に移動する際に、CAに「きちんと注意して下さいね」と言い、彼女は「分かりました」と言いました。チーフパーサーとしては、その乗客注意が行われていなかった以上、まずは非を詫びて対応する必要がありました。
・仮に実際は乗客注意が行われていなかったとしても、例えばチーフCAが「あちらのお客様に注意のお声かけをしたのですが謝罪には応じて頂けませんでした。お客様(マスパセ)にも不快な思いをさせてしまいすみませんでした」とでも応じて、ピーチ側が他の乗客の側の発言も問題視する意向を示せていれば、事はそこで収まったでしょう。
私の問題意識の矛先は「不規則発言をした乗客」ではなく「マスク未着用者を悪者にして不規則発言を看過し対応を怠ったCA」にあるわけです。
なお、離陸後は他の乗客の方々との接触はありません。(ピーチ社が「乗客や乗務員への威嚇」をマスコミ向けの理由説明で挙げていますが、離陸後に乗客と私の接触はありません。)あくまでも今回のことは、私とピーチCA(特にチーフパーサー)との間で生じた一件です。
2、マスク着用規約をめぐるやり取りはどのように行われたのか?
前項で説明した通り、CAとのやり取り②(後方でのチーフCAとの対話)の前半は「先ほどの乗客が謝罪したのか」です。
私「いえ、きちんと対応して下さいね」
と申し上げ、乗客注意の要請の話はそこで終わっています。
(②後半~③では乗客注意の話題は出ておりません。「乗客の謝罪をCAに執拗に求めた」という一部の印象は誤りです。その後の話題は、ピーチのマスク規約についての質疑です。)
CAとのやり取り②の後半は、「マスクの着用についてピーチの運航約款ではどのように定められているのか」です。
乗客注意の話を終えた後、次の話題に移ります。最初に書面での記録をCAに求めました。
私「先ほどの乗客についてはきちんと対応して下さいね。では、2点目に移ります。先ほど離陸前にマスク着用をめぐって、あのようなことが生じてしまいました…。なぜあのような問題が生じてしまったのか、どういう根拠で「降りて頂きます」「飛び立てません」という発言が飛び出したのか、書面で記録を出して下さい。」
CA「そのようなこと(書面対応)はしておりません。」
私「こういうイレギュラーが起こってしまった以上、きちんと説明する必要があると思いますよ。関空についてから本社を通してでもいいですので、先ほどのことが起こった経緯を記録してピーチのマスク規約を示して説明して下さいね。」
CA「そのようなことは致しません」
私「そもそもあなたが当事者でしょう。では、あの場で、どのような根拠で「降りて頂きます」とか「このままでは飛び立てません」とか言ったのですか?それはきちんと規約を確認して回答して下さいね。」
マスク搭乗拒否未遂を起こし乗客間のトラブルを誘発してしまった以上、ピーチとしても状況を把握し当該乗客には説明する必要があります。最初は、その場での口頭説明ではなく書面での回答を要請しました。
そこでCAが「分かりました。今回生じたことについては本社から回答をさせます。お手数をお掛けして申し訳ありません。」と応じていれば、その後、私は席に戻り関空に到着し、CAが事例を本社に上げた上で本社との後日話し合いになったはずです。
また、そもそも当事者(動画のマスク要請をした張本人のチーフCA)がどのような根拠で不適切なお願いをしてしまったのかは説明する責任があります。「マスク未着用→降りて頂きます」を言っている以上、やはり乗客には説明し非を謝罪する必要があります。そこで、例えば「こちらも先ほどはお客様に行き過ぎた失礼な発言をしてしまいました。マスクの規約については後で調査し再発防止に努めます」と、CAが(不勉強で規約を把握していなかったとしても)発言を詫び、場を取成すことはできたでしょう。
しかし、そこでチーフCAの新千歳空港発言が飛び出します。
CA「お客様はこちらの再三のお願いにも応じて頂けませんでした。乗務員の指示に従って頂けない方だと判断しました。このままでは新千歳空港で降りて頂くことになりますが、宜しいですか?」
離陸前の「降りて頂きます」発言をめぐって議論をしている際に、再度「降りて頂きます」発言がありました。
「そもそも離陸時のマスク着用要請時に降ろすこともできたのに、こっちとしては温情で乗せてやっているのだから、これ以上グダグダいうなら本当に降ろしますよ」との認識であったため、議論は続きます。
ただし、新千歳空港発言の後、私は席に戻り、CAとのやり取り②は終わります。
私「いえ、それは承服しかねます。(この時は「降りないことはしません」と言い間違えていません。)そもそも今の発言もかなりの問題発言だと思いますよ。それはどういう根拠に基づいて言っているのですか?そのようなことはできませんので。私も席に戻りますから、まずはマスクの規約を確認して下さい。それで宜しいですか。」
CA「分かりました。」
とのことで、CAとのやり取り②は終わり、その後しばらくしてから、CAとのやり取り③(機内前方)になります。
新千歳空港で降りることは希望しませんので、一度引き下がった上で、実りある議論をする為にもまずはマスク規約をきちんと調べてもらうよう要請しました。
3、CAの業務を妨害する状況にあったのか?
CAとのやり取り①は、離陸後に後方左列担当のCAさんが近くを通った際に呼び止めて、お話をしました。後方CA詰め所には、後方担当の別のCAさんが手持無沙汰で待機していましたので、喫緊の業務があったわけではありません。
CAとのやり取り②の際は、機内カタログ販売の時間で(飲食物の取り扱いがないため)誰も購入者がおらず、業務閑散の時間帯です。
また、当日は乗客125人で通常期よりも少ない乗客数ですので、対応できないほどの業務過多が生じていた状況にもありません。
また、CA詰め所でのお話は、いずれもCAさんが「お話があるならこちらで」と促されて移動しています。仮に何らかの業務の妨げになるなら、例えば「今はちょっと忙しいのでまた後で」と時間帯を変更することもできたでしょう。
そして、「先ほどの乗客が謝罪したのか、マスクの着用についてピーチの運航約款ではどのように定められているのかを質問」に対応することはCAの重要な乗客対応業務の一つですので、これが優先する他の業務の妨げになったという弁明は通りません。
安全阻害行為の「業務妨害」は、物理的に業務を妨げた(CAを掴んで離さない等)場合が該当し、単に時間的な意味での業務への負担は「妨害」に相当しません。例えば、質問で「コーヒーまだですか?」を5分間で100回言ったのであれば意図的な妨害になるでしょう。しかし、上記の正当かつ重要性の高い内容の質問を3~5分程度に渡って行うことが「業務を妨害した」に当たらないことは明らかです。