デザイナー

学生新聞編集

村上 和

編集編成局
学生新聞編集部 兼
情報編成総センター

2017年入社

2017年入社、学生新聞編集部に配属

デザインを通じてあらゆる世界観を子どもたちへ

 耳の聞こえない私にとって、目に見える情報は必要不可欠な存在であり、社会との接点でもあります。難解で複雑な情報をイラストや図表、グラフィックで視覚化させて「なるほど!」という発見や出会いを今度は自ら提供したいと思い、デザイナー職を志望しました。

 現在は学生向けの新聞や月刊誌づくりに携わっており、編集記者たちが取り組む特集やニュースの内容に沿ったイラスト、図表制作の依頼が届いたところから、私の仕事が始まります。今、世の中で何が起こって生活にどう影響するのか、読者の大半である子どもたちの興味をひき、分かりやすく伝わるデザインを思索する日々です。編集記者の抱えるイメージや言語をはっきりと視える姿形にかたどって、要点や表現方法、配色など問題ないか確認と相談を重ねます。作品ができあがり、編集記者からうれしそうな笑顔を向けられた時は、この上ない達成感を覚えます。

 私は子どものころから絵を描いたり、文章を読むことが好きで、絵本や小説、地域新聞、雑誌、漫画、図鑑……。主に紙を媒体とする出版物に触れ、読み、考える幼少時代を過ごしてきました。その中でも特に新聞は手に取りやすく、常に生きた言葉たちであふれており、選択肢や視野が広がる身近な学び舎だと思っています。子どもたちはこの国の未来であり、そんな貴重な次世代へ毎日新聞からデザインを通してあらゆる世界観や言葉をつなげる、この仕事にやりがいを感じています。読み手の「知りたい」が続く限り、私の「つなぐ」仕事があるのだと、今日も紙面の向こう側を思いながら制作に臨んでいます。

〈自身の障害について〉

 私は生まれつき両耳とも聴力が著しく低い上、発音もままならないので、職場の方々とは筆談しながら意思疎通を図っています。幸いなことに私たちの共通語は日本語であり、しかも周りは日本語を操るプロなので逆に助けられています。本来、コミュニケーションは自由なものであり、ツールはひとつだけではありません。お互いちょうど良い目線に合わせながら楽しく、時には真摯に対話できるよう心がけています。

 そして、耳の聞こえない私が毎日新聞社の中でどうプラスとなるか、マイノリティの立場から新たな多様性を発信することに挑戦したいです。

One day

10:00
出社、デスク周りの整理、メールチェック

イラストや図表の制作(修正依頼が入ることも)
13:30
昼食休憩

引き続き制作、
編集記者からデザインの依頼、
打ち合わせ等
18:30
退社

Q&A

学生時代に打ち込んだことは?
グラフィックやエディトリアル、広告・印刷媒体を中心としたビジュアルデザインの制作課題。北欧研修旅行を皮切りによく海外へ行くようになり、世界の広さ、人間の多様性を体感しました。手話で接客したバイト経験も今の私の原動力になっています。
仕事をする上で大事にしていること・ものは?
真心、飽くなき好奇心、常に疑問を持つ、何事も恐れない。
入社して意外だったことは?
空気が柔らかく、人情味にあふれた人ばかり。感謝の言葉が尽きません。
現在の仕事内容や取り組む姿勢を一言で表現すると?
紙面の向こう側を考える。