シェリー・ポッターと神に愛された少年   作:悠魔

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3.いざホグワーツへ

「このコンパートメント、空いてる?」

「空いてます……あっ、さっきの……」

「ロナルド・ウィーズリーさ!ロンって呼んでくれよな」

「よ、よろしくお願いします、ロン。シェリー・ポッターです」

「……あー、それ、何だい?急に改まっちゃって」

「えっ。おばさんが、人に挨拶する時はこうだって……変、だった?」

「別に同学年同士だろ?気楽にいこうよ。あぁ、車内販売のワゴンだ。何か買うかい?」

 

ロンはどうやら気さくな人みたい。

兄弟がいるからか、私にも普通に話しかけて来てくれて、とても優しい子だ。

 

「アグリッパあったら教えてくれよ。お菓子のおまけのカード集めてるんだ。今は英雄降臨~16世紀の魔法使い~のシーズンだから、いけると思うんだけど」

「えーっと……あー、ごめんなさい。アルバス・ダンブルドア……ホグワーツの校長先生なんだよね?」

「そうさ。君、魔法界の事知らないの?」

「両親が魔法使いなのは聞いたんだけど。生まれてからすぐに、マグルのおじさんとおばさんの家に預けられたから……」

「おったまげー…じゃ、クィディッチも知らないんだ」

「クィジ……?」

「魔法界で一番人気のスポーツさ。箒に乗ってボールを投げたり、ビーターがそれを阻止したり。何てったってスニッチを獲るシーカーが最高でね……」

「ねえ、ネビルのヒキガエル知らない?」

見覚えのある、どこか高圧的な巻き髪の女の子がやって来た。カエル……蛙チョコレートの事じゃ、ないよね?

 

「ううん、知らない」

「そう……私は一度戻ろうかしら。さっきのベガって子のコンパートメントに、もしかしたら帰ってるかもしれないし……」

「ベガ?」

「ああ、いえ、こちらの話よ……あら?貴女もしかして、マダム・マルキンの洋裁店で……」

「!あ、あの時の……」

「?知り合いかい?」

知り合いを見つけて少し安堵したように、ハーマイオニーは私の隣に座った。

 

「前から思っていたけれど。あなた鏡は持ってるの?私もあまり人の事は言えないけれど、女の子なんだから櫛で梳かすくらいしないとダメよ?」

それ、マダム・マルキンにも言われた…。

そういえば、マダムに髪をお手入れしてもらって帰ると何故かペチュニアおばさんが優しかったんだけど、どうしてだろう。

当然、私が髪のお手入れ道具なんて持ってる筈もないからたった数日でボサボサに戻ったけれど。

 

「そこを動かないで。スコージファイ!」

「わっ、わ!?何が起きたの?」

「顔が汚れていたから綺麗にしたのよ。これで少しはまともに……あら?その傷………」

稲妻の形の傷を見て驚いた声を上げる。

そんなに、有名なのかな。私なんて皆んな無視してくれた方が、いじめの標的にしてこないから目立ちたくないんだけれど……。

 

「う、うん。えーっと、私、シェリー・ポッターです」

「!貴女がシェリーなのね!魔法界の英雄って言われてる!本で読んだわ!」

「う、うん……でも、えーっと、そんな…」

「私はハーマイオニー・グレンジャーよ!よろしくね、シェリー!」

「あ、うん、えーっと、ハーマイオニー?」

「それじゃあ私、もう行くわ。ネビルの蛙も探さないといけないし。二人とも、そろそろホグワーツに着くから着替えた方がいいわ」

そう言うと彼女は去って行った。

嵐みたいな女の子だったなぁ……。

 

「あー、彼女、僕の事を道端に転がってる蛙チョコの包みかなんかだと思ってるのかな。まるで目を合わせようとしなかったよ」

「私ばかり話しちゃったね……」

「まぁ、気持ちも分からんではないけど。とにかく着替えようか、僕が外に出るから君は中で……!?!?」

 

着替えと聞いたから、早めに支度する習慣がついた私は、だぼだぼのパーカーを下着代わりの白いTシャツごと脱いだ。

窓から入る陽射しが少し強かったからかな。少し汗ばんじゃって、露わになった上半身はほんのり赤かった。この様子じゃ、ジーンズはもっと蒸れてるかな?そう思いながらベルトに手をかけて……

 

突然の衝撃音。

びっくりして前を向くと、ロンが自分で壁に頭をぶつけていた。

……そういう、魔法界流の……えっと、ジョーク?なのかな?

「何をやってんのさ、君は!」

「えっ?」

「僕が外で着替えてるから、その間に着替えるんだ!それじゃあ!」

「???」

 

何かおかしい事があるだろうか?同じ年代の男の子のダドリーは、私が隣で着替えていても全然気にしなかったのに。

……あ、でも着替えの途中で蹴ってきたりしたから気にしてると言えば気にしてるか。

着替えが終わると、コンパートメントの中に金髪をオールバックにした男の子が入ってきた。どこかダドリーと同じものを感じて、少し身構える。

 

「マグル生まれが騒いでいたが……君がシェリー・ポッターかい?」

「う、うん」

「僕はドラコ・マルフォイだ」

「っく……」

「僕の名前が面白いか?その服はお下がりだろう、ウィーズリーのコソコソイタチが。」

それなら私だって持ってる服はほとんどお下がりなんだけど……。

でも、これは。ロンとこのドラコって子は、入学する前から仲が悪いって事なのかな。嫌な予感が頭をよぎる。

 

「ミス・ポッター、君はまだ知らないだろうけど、魔法族にも家柄の良いのと、そうでないのとがいる。そこのところは、僕が教えてあげよう……」

握手を求めてきた。

隣でロンが不快そうなものを見る目でこの子を睨んでいる。

 

どうする?握手に応じてしまえばロンと友達でいられなくなる予感がする。彼はこんな私にも友好的に接してくれた人物だ。蔑ろにしたくない。

だけど、この子の手を払う勇気は私にはない。その瞬間に後ろ二人の大きな子が殴りかかってきたらどうしよう。殴られるのが私一人なら良いけれど、ロンを巻き込みたくない。

 

ロンとドラコの顔を右往左往していると、そこに救世主が現れた。

 

「ーーおい、邪魔だゴリラども。どけコラ」

「ぐげっ」

「な、なんだ君は?急に失礼だな!おい!君、君……は……」

 

サラサラとした、肩まで伸びたシルバーブロンドの髪。彫りの深い顔は女の子受けしそうで、澄んだブルーの瞳は鋭いナイフみたい。

有り体に言えば、ものすごく、ハンサム。

神秘的な雰囲気の漂う、どこか儚い少年。

 

「何ジロジロ見てんだ。人の顔が珍しいかよ」

そうでもないみたい。

見た目は美少年だけど、ギラついた雰囲気は不良そのものだ。ダドリーやバーノンおじさんやドラコみたいに、怖い人といっぱい会ったけれど。この子みたいに、圧倒されるような子には、初めて会う……

 

「……そのシルバーの髪。もしかして、純血魔法族の間で噂されている、あの」

「あ?テメー、俺の事知ってんのか」

「知っているもなにも!君は、高貴な血を引きながらマグルに育てられてしまった哀れな純血魔法使いだ!」

「はぁ」

「純血の中では有名だよ、君は!愚かな両親にマグルなんぞの所に入れられたんだろう?嘆かわしい事だ……君も、僕が友達として魔法界のあれこれを教えてあげよう」

 

再び、手を伸ばす。銀髪の少年はその手に応じた……ようにみえて、手首をがっしりと掴んで捻った。

 

「あでででででで!?」

「友達にしてください、の間違いだろ?あ?名前なんだ、テメー」

「ゴフォッ、やめろ!放せ!今ならあやマルフォイしたら許して……」

「あやマルフォイすんのはてめーだろうが」

「ぎゃあああああ!?」

つ、強い。強くて怖い。ダドリーの脅しが可愛いものに見えるくらい。色白だけど、身体はとてもがっしりしてる……

ドラコの青白い顔が真っ赤になったところで少年はようやくその手を解放した。

 

「お、おぼえてろーっ!」

「何とまあ小物くせえ連中だな」

後ろの二人は何しに来たんだろ……。

 

「よう、さっきぶりだな?赤毛の」

「?……あ!もしかしてトランクを止めてくれた人?」

「あの時の」

「君……君は、純血なの?」

「つっても魔法界の事を知ったのはつい最近だ。あのデコ助が言った通り、マグル育ちなもんでな……おう、ホグワーツにご到着だ……」

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

一度見たら忘れない、とても大きな髭もじゃの人がいるのを見て、彼のところへ近寄った。ロンは少し驚いているようだった。

「イッチ年生はこっち!イッチ年生はこっち!オーッ、シェリー!列車はどうだった?え?楽しかったろう!」

「……あの。ハグリッド」

「うん?」

「9と4分の3番線への入り方。私、分からなかったんだけど……」

「………あー」

「もし他の魔法族の子に会わなかったら、今頃は……」

「すまん、いや、正直すまんかった。うん」

 

ハグリッド率いるボートの船団が城の前まで自動で動くと、次はぴしゃりと背筋が伸びた老婆が待ち構えていた。ミネルバ・マクゴナガル。

私に魔法界のあれこれを教えてくれた、一人の人間として魅力的な人だ。

 

「ようこそ、ホグワーツへ。さて、今からこの扉をくぐり、上級生と合流します。その前にまず、皆さんがどの寮に入るか組み分けをします。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、そしてスリザリン。学校にいる間は寮があなた方の家です。良い行いをすれば寮の得点となり、規則を破ったりすれば、減点されます。学年末には最高得点の寮に優勝カップが渡されます」

どうやら贔屓はしないようで、私をみても眉をぴくりと動かしただけだった。

 

「間も無く組分けの儀式が始まります。ここでお待ちなさい」

彼女が行くと、銀髪の男の子がぽっちゃり体型の子に絡んだ。……さっきの、不良みたいな男の子だ。

「おい、そこのデブ」

「うわっ!?な、何だい?僕、君に絡まれるような事したかなあ」

「おら」

「うわっ!?」

彼が投げたのはーー蛙。

 

ーーあれ、もしかして。この子、蛙を探して列車の中をうろついていたの?

そう仮定すると、見かけによらず良い人なのかも。そういえばトランクも止めてくれたし、さっきはドラコに絡まれていたのを助けてくれたようにも思える。

「ペットの世話くらいちゃんとしやがれ」

「!トレバーだ!あ、ありがとう!えーっと、君の名前は……」

「………、俺は……」

「準備はできました。来なさい」

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

「グリフィンドールに入るなら

勇気ある者が住まう寮

勇猛果敢な騎士道で

ほかとは違うグリフィンドール」

 

「ハッフルパフに入るなら

君は正しく忠実で

忍耐強く真実で

苦労を苦労と思わない」

 

「古き賢きレインブンクロー

君に意欲があるならば

機知と学びの友人を

必ずここで得るだろう」

 

「スリザリンではもしかして

君はまことの友を得る?

どんな手段を使っても

目的遂げる狡猾さ」

 

古ぼけたとんがり帽子が歌い終わると、まばらに拍手が起こった。

要するに、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの四つの寮があるらしい。

これらに組分けするのは誰かというと、なんとこの年代ものの帽子のようだ。マグゴナガル先生がアルファベット順に名前を呼んでいき、生徒が帽子を被り、自分の寮の席へと座る。

 

ハーマイオニーはグリフィンドールに入った。ロンがウゲェー、とした顔をしてる。彼女には悪いけれど、私も彼女はレイブンクロー向きだと思っていたから意外……。

それにしてもロンとハーマイオニーの相性はあまり良くない。どっちとも仲良くしたいから喧嘩はやめてほしいんだけどなぁ……

 

「レストレンジ・ベガ!」

 

「俺の番か……」

例の、銀髪の男の子が反応した。

ベガって言うんだ、あの子。

 

「えっ?君、君……が……?」

 

?ネビルが狼狽えているけれど、何だろう…

たっぷり五分間使って、組分け帽子は「グリフィンドーーーーール!」と叫んだ。

不良めいた少年はどっかりと空いている席には座る。

そのすぐ後にネビルは呼ばれ、彼もグリフィンドールに組分けされた。

 

……なんだか、若干、ベガの事を警戒しているような気がするけれど。気のせい?

 

「マルフォイ・ドラコ!」

あっ、さっきの。

「スリザリイイイイイイイインッ!!」

決めるの早い!

「スリザリンは闇の魔法使いを多く輩出してるんだ!あそこに入るくらいだったら、グリンゴッツに金庫破りしに行く方がまだマシだね」

とはロンの弁だ。

スリザリンは、嫌われる人達が行くところ、なのかな……。

 

「ポッター・シェリー!」

 

名前を呼ばれると同時、周りから驚愕と好奇の視線が突き刺さった。ヒソヒソと囁く声もセットだ。

長い間皆んなに意地悪されてきたからか、私は注目される事に慣れてない。きっと陰口を叩かれてるんだ。そう思い、そそくさと席に座り、帽子を被った。

 

「こんにちは、お嬢さん」

「…………よ、よろしくお願いします、帽子さん」

頭の中に声が……。凄いなぁ。

「うーむ、これは。はてさて、どこの寮に決めたものか……」

どの寮……先程の歌や、ロンから聞かされた話から、ある寮がひどく嫌われている事は知っている。

 

「私は……私は、スリザリンに、入るべき……です」

「ふむ?」

「どこまでも、自己中心的で。周りのことなんて見えてない……そんな私がいるべき場所は、きっとスリザリンです」

「君はスリザリンに入りたいのかね?」

「……そうです。そこが、たぶん私が一番落ち着くところだから……」

そうだ、そこで今までのように、蛇のように身を潜めて生きる。そんな人生が似合っているのだ、私には。

 

「うーむ、成る程?だが、君は随分と知識に飢えているようだね?学業に対する要領が良いし、勉強することを苦痛と思わない。むしろ学ぶ事に対して喜びを抱く」

「……え、えっと」

「だが、自分に向ける事こそないが、深い優しさを持つ子だね?辛い目に遭っている人を愛おしく想う事ができる。自分を犠牲にしても救おうとする」

「……そ、そんな事……」

 

「しかし……たしかに、君に最も適正があるのは、どうやらスリザリンのようだ。狡猾で、手段を選ばない。君はスリザリンでまことの友を得るやもしれぬ」

「……」

 

「何より、資質がある。君の内に秘めた大望を叶えるのに、スリザリンはうってつけだろう。君が求めるならば、スリザリンは全てを与えてくれるだろう。偉大な魔女へとなれるだろう」

「……」

 

「だが、ここには私と君の二人きり。君が心を偽る必要はない。私には全てお見通しなのさ。このしがない帽子に、君の本音を言ってごらん?」

 

「……人に親切にするのは、嫌われたくないから。色んなことをお勉強するのは、他に取り柄がないから。私はダメな子だから……だから、私は……今まで、こんな風に生きてきて……」

「だが、今からは違う。そうだろう?君が欲しかったものを、今度は手に入れる番だ」

蛇のように、ではなく。穴熊でも、大鷲でもない。獅子のように、胸を張れる自分になりたい。

 

「私が、欲しかったのは……」

 

「優しさでも、知恵でも、名声でもなくて……」

 

「……ぼ、帽子、さん……あの……」

 

それは私のなけなしの勇気だった。

「わ、私。グ、グリフィンドールじゃ、駄目ですか……?」

 

 

 

 

 

「グリフィンドーーール!!グリフィンドォーーーーーーーーール!!!」

「っ!」

 

獅子寮から歓声が上がった。

ウィーズリーの兄弟は喜びのあまりダンスを踊りだすし、ハグリッドはクラッカーが鳴っているかのような爆音で拍手している。

歓迎、されている。

目から流れそうになるのは、きっと人生で初めて流す、喜びの涙だ。顔をぐしゃぐしゃと拭い、グリフィンドールへと向かった。

 

「ようこそ赤毛のお嬢様!」

「我ら一同、歓迎するぜ!」

「ありがとう、えっと、フレッドと、ジョージ?」

「「残念!グレッドとフォージさ!」」

「えっ?あ、ご、ごめんなさい!」

「シェリー、それ二人の冗談だから。気にしなくていいから」

「あっ……な、なんだ。冗談なんだ」

 

先に座っていたハーマイオニーの隣に座ると待ち構えていたかのようにベガに話しかけられた。

 

「縁があるな?シェリー・ポッターさんよ」

「えっと。う、うん、そうだね、ベガ」

思わず口ごもる。どうもこの子は苦手だ。いつも私をいじめてきたダドリーやその取り巻きと似た匂いを感じる。もっとも、彼よりずっとハンサムだけれど。

 

ロンも無事グリフィンドールに決まり、今世紀最大の魔法使い(と、ハーマイオニーが言っていた)ダンブルドアが席を立った。

優しそうで穏やかな瞳をしてる。だけど威厳たっぷりで、静かな圧が彼にはあった。

 

「おめでとう、新入生諸君!そしてようこそ!ジジィの長話を聞く前に、諸君には大事なことがあろうじゃろうて!ではいきますぞ、そーれ、わっしょい、こらしょい、どっこらしょい!Catch this!」

「えっ」

 

ず、随分とお茶目なお爺さんだね……。

ご飯を好きなように食べていいという状況に慣れないながらも、なんとか胃にいっぱい詰め込んだ。

すると、ダンブルドアが今度はきりっとした立ち振る舞いで喋り出した。

 

四階の廊下には決して近づいてはならないこと。禁じられた森への立ち入り禁止。廊下でむやみに魔法を使わぬようにとの管理人からのお願い。クィディッチ選手の選抜があるのでやりたい子はマダム・フーチに連絡を取る事。

と諸注意を述べた後に、校歌斉唱を行った。

「好きなリズムで!」

好きな……えっ?それでいいの?

 

双子は最後まで、人一倍大きな声で歌っていた。すごいなぁ、この二人。

 

寮に入ると、今までの疲れがドッと出て、これがベッドなんだ……と、ふかふかの感触を楽しんでいたら、いつのまにか寝てしまっていた。

 

つかれたぁ……。




と言うわけで登場でございます、今作品におけるもう一人の主人公、ベガ・レストレンジです。
綴りはVega・Lestrangeです。
イメージとしては、セフィロスとかアバッキオみたいな感じと捉えて頂ければ大丈夫です。

〜おまけ〜

「ポッター・シェリー!」

「ほっほ、見れば見るほどリリーそっくりじゃの。彼女が過ごした七年間が、まるで昨日の事のようじゃ……」
「ええ!とても賢く、美しい魔女でした!呪文学で彼女が手を上げた時は、私はいつもグリフィンドールに点をあげましたとも!」
「だけど、反対にジェームズには本当に手を焼かされましたわねえ」
「……………………………」
「あー、スネイプ先生?そんなに怖い顔をなさらないで……スネイプ先生?そんなに爪を噛んでは血が出てしまいますよ?」
「セブルス?どうじゃ?組分けの儀式を欠席するかね?」
「…………我輩は、ス リ ザ リ ンに!入る生徒の顔と名前を覚えなければならないので」
「そうかの?それにしては、その視線は一人に向いているように見えるが?それに、やや情熱的ではないかね」
「……気のせいでは?校長」

「私はスリザリンに入るべきです……」
「ははは、このしがない帽子に全てを話してごらん?」

「えらく時間がかかっていますな。マグゴナガル先生もそうだったらしいですな?」
「ええ、グリフィンドールかレイブンクローかで悩まれたそうで。かれこれ15分もかかったとか……」
「………スリザリンに来い、スリザリンに来い、スリザリンに来い……………」
「セブルス」

「グリフィンドーーーーール!!グリフィンドーーーーール!!」

「おお、やはり!」
「必然と言えば必然!ですが、運命を感じますね!何せ彼女は魔法界の事情は何も知らないのだから!自分の親がどこの寮かさえ……あー、セブルス?」
「………………………………………」
「だから欠席しておけと言うに。苦渋を舐めたような顔をしおって。そんな時は、ほれ。ペロペロ酸キャンデーでも舐めるかね?」
「結構」

組分け中〜

「レストレンジ・ベガ!」
「ベガ……そうか、彼が」
「レストレンジ家……ひいてはブラック家の中でも異端の存在、ですね」

「グリフィンドーーーーール!!」

「…………これは」
「まるでシリウスのようです。ブラック家の中で唯一の獅子寮の男の子……彼も、おそらく。レストレンジ家で唯一の……」
「えぇ。私の目の黒い内は、二度とあんな惨劇は起こさせませんがね」
「ほっほ。頼もしいのお」
「ご苦労な事ですな、マクゴナガル教授。ところでグリフィンドールとスリザリンの寮監を変わる気はお有りかな」
「ええ、今年も組分けが無事終了して……セブルス?何を?」
「儂が何故シェリーを迎えに行くのを君に任せなかったのか、よく考える事じゃの、セブルス」

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