安倍晋三元首相が参院選の応援演説中に銃撃され殺害された事件にはさすがに驚いた。
対象が誰であれ殺人は決して許されることではない。まずはご冥福をお祈りします。
ところで、マスコミでは「民主主義への挑戦」だの、「言論は暴力に屈しない」だのといったご立派な言葉が飛び交っているが、そもそもこれは暴力で民主的言論を封じようとしたたぐいの政治的テロ事件なのか?
逮捕後の早い段階から、犯人は安倍元首相を狙った計画的犯行であることを認める一方で、「安倍氏の政治信条に対する恨みはなかった」と供述していることが報じられている。(毎日新聞 7/8 15:57)
では何が動機だったのか。その後の報道によると、犯人の母親が某宗教団体にのめり込み破産したといった恨みから、この宗教団体と関係が深いと思っていた安倍氏を襲撃したということのようだ。
「特定の宗教団体に恨みがある」という、山上容疑者の供述があった。
(略)
これまで山上容疑者は、警察の調べに対し、特定の宗教団体と安倍元首相が近いと思っていたと、話していることがわかっていた。
さらに捜査関係者によると、「母親が宗教団体の信者で、団体にのめり込み、多額の寄付をして破産したので、絶対成敗しないといけないと思っていた。もともとは、団体の幹部を狙うつもりだったが、接触が難しかった。以前から安倍元首相と宗教団体の関係についても調べていた」などと話しているという。
(略)殺人未遂容疑で現行犯逮捕された元海上自衛官の山上徹也容疑者(41)が特定の宗教団体名を挙げ、「母親が団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い込んで恨んでいた」と供述していることが捜査関係者への取材で明らかになった。
犯人はその宗教団体の名前を具体的に挙げているのに、何を忖度しているのか、マスコミは「特定の宗教団体」としか報じていない。NHKに至っては宗教団体であることすら隠して単なる「団体」としている始末だ。
その後の調べに対し、「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思い狙った」という趣旨の供述をしているということです。
また、捜査関係者によりますと、この団体について「母親が団体にのめり込み、多額の寄付をするなどして家庭生活がめちゃくちゃになった」という趣旨の話をしているということです。
とはいえ、安倍氏が広告塔のようになって日本国内で広めてきた宗教団体といえば、まず間違いなく韓国発祥のキリスト教系カルト「統一協会」(今は「世界平和統一家庭連合」と改称)だろう。
簡単にまとめれば、統一協会によって家庭をめちゃくちゃにされた犯人がこれを恨み、自分の知名度や影響力を使って統一協会を支援している安倍氏を襲撃した、ということだろう。宗教がらみの怨恨犯罪である。
こういう事件を「言論を暴力で封じるテロ」などと呼ぶのは、やはりミスリードだろう。
備考:このカルト教団の旧名称は「世界基督教統一神霊協会」なので「統一協会」と略すのが適切だが、「統一教会」という略称も広く用いられている。