日本大百科全書(ニッポニカ)「サッシ」の解説
サッシ
さっし
sash
window sash
本来は上枠head、下枠sill、立(たて)枠jampで構成される窓枠frameのなかの框(かまち)と組子(くみこ)とをいうが、一般には窓枠全体をさす。雨仕舞(あまじまい)や気密性において利点をもつ。19世紀なかばにイギリスで工場や倉庫などの回転窓や上げ下げ窓用につくられた鋼製の低級なサッシ窓は開き窓casement windowとは区別されていたが、サッシ技術の進歩と大量生産とによりこの区別は消滅した。鋼製と木製のものとがつくられてきたが、鋼製のものは防錆(ぼうせい)処理を施さねばならず、第二次世界大戦後の軽金属工業の発展とともに生まれたアルミニウム製のサッシ(アルミサッシ)にしだいにとってかわられた。鋼製サッシ(スチールサッシ)は現在ほとんど生産されず、断熱性能の高いプラスチックサッシがそれにかわって用いられている。2007年(平成19)の『住宅用建材使用状況調査』(日本サッシ協会)によると、窓のアルミ化率は全国で93.3%、プラスチックサッシは6.7%となっている。
[坂田種男]
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ガラス窓、ガラス戸の枠、および障子の部分をアルミニウム合金でつくったもの。通常アルマイト(陽極酸化被膜)処理を施し、さらにその上に7~12ナノメートルの透明な塗装を行って仕上げる。鋼製サッシに比べて軽量で加工性もよく、水密・気密性にも富み、住宅から公共建築に至るまで広く使われている。耐久性がよく、部材は押出し形材を使い組み立てるので精度もよく、量産に適するが、塩、アルカリに弱く、また異種金属との接触で腐食するおそれがあるので、サッシの取り付けにはこれらへの配慮が必要である。サッシは丁番(ちょうつがい)、錠前、クレセント(締め金具)、戸車、グレイジングガスケット(パッキング)、ガラスなどとともに組み立てられる。
アルミ合金は熱伝導率が高く、冬期に枠や障子が結露することがあるので、二重サッシやペアガラス、押出し形材のヒートブリッジ(熱橋)を遮断する断熱サッシが生産されるようになった。
[坂田種男]