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私のこだわり【猫 比名祥子記者】
7:明るく優しいペット葬儀
◆手厚く別れ悲しみ癒やし◆
最終回の今回は、猫を飼う人にとってどうしても避けて通れない「飼い猫の死」について考えたい。実家の愛猫(メス、雑種のキジトラ)も、もう15歳のおばあちゃん。昨年は病気で死にかけたこともあり、そろそろ心構えをしなければ……。
能美市和気町に、とても明るい雰囲気のペット葬儀社「ピースリー」を見つけた。ガラス窓を多用した建物内に入ると、日の光がさんさんと降り注ぎ、真冬なのにぽかぽか。そして室内の棚や壁際に並ぶ納骨スペースには、ペットのかわいい写真やお花、おもちゃなど。
代表の石小(いしこ)喜美江さん(59)が笑顔で迎えてくれた。ここではどんな葬儀ができるんですか? 「基本的には、人間と一緒です」
一番手厚い形式の「個別立会葬」は、納棺して葬式をし、焼香する。最後のお別れをして火葬した後、参列者で骨つぼに骨をおさめるまでが一連の流れ。費用はペットの大きさで決まり、猫は「小型」の3万2千円。
最も安い合同火葬は、合同墓での永代供養もついて1万5千円。金額は、同業他社より安くしているという。「もちろん行政よりは高いですが、ペット霊園をお金持ちの人だけのためのところにしたくない」
ペットが死んで行政に持ち込むとほとんどが生ゴミ扱いという。「役場の人に、ゴミ袋に入れて犬と書いて持ってきてと言われ、『そんなことできない』と涙を流しながら来られたお客さんもいました」と石小さんは振り返る。
加賀市出身で、美容系の仕事をしていた石小さんは2007年、知人の依頼でピースリーの経営を引き継いだ。全く無知の業界だったが、ちょうど同時期に娘が飼っていたビーグル犬が死に、自ら葬儀をとり行った。
「ペットは家族。時間をかけて葬儀をすると、だんだんと悲しみが癒えてくる」と語る。「辛気くさい雰囲気が大嫌い」といい、葬儀の後に墓を作り、お花やお人形、思い出の品などでかわいく飾ってあげたところ、利用者から「そんなことできるの?」とびっくりされたという。
ペットの遺骨を人間の近くに置くのはよくないこととされており、置き場所に悩む人は多い。しかし、合同墓だと気が進まない。石小さんは、棚で仕切った個別納骨スペースを増設。雪の日でもお参りに来られる個別の室内墓も作り、いずれも遺骨とともに好きなものを飾れるようにした。お参りついでにお茶が飲めるスペースも設け、利用者同士の交流も生まれた。
納骨スペースの利用は1年更新。多くの人が数年経つと悲しみも癒え、遺骨を永代供養の合同墓に移して、また新しい一歩を踏み出していくという。
「猫ブーム」といわれる昨今。ピースリーでは、10年前は依頼の8割以上が犬だったが、ここ数年は犬と猫がほぼ同数になっているという。
問い合わせはピースリー(0120・119422)。遠方の人でも郵送で遺骨を納骨する「ペット納骨便」もあり、全国から利用できる。
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「私のこだわり」は今回で終了します。次回からは、新コーナー「お出かけ情報」として、近く予定されているイベントや行事の案内を紹介します。
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