河瀬直美監督が24日、都内でメガホンを執った東京五輪の公式映画「東京2020オリンピック SIDE:B」の公開初日舞台あいさつを行った。
アスリート中心の「―SIDE:A」(公開中)に対し、「―SIDE:B」では大会関係者、一般市民、ボランティア、医療従事者の姿を記録した。劇場で観客と一緒に鑑賞していた河瀬監督は上映後、舞台に登壇。感極まった表情で「言葉が出ません。この映画に出会っていただいて、ありがとうございます。5000時間にも及ぶ映像にはさまざまな人たちの表情や思いが刻まれているので、編集が大変で刻んだら血が出るのではないかという思いでした。50年後、100年後の人にも見てほしい」と語りかけた。
ティーチインで観客から50年後、100年後の未来に伝えたいことを聞かれ「諦めないこと。対話をすること、それから愛だと思います。コロナによって浮き彫りにされた課題みたいなものをどう解決していくのかっていうことも、この映画の中に描いているつもりです。現在、自分たちが何に翻弄(ほんろう)されて、どのようなものに屈しなければいけなくて、それをどう乗り越えていくのかをもう一度、検証してもらえるような作品になれたらと思っています」と思いを込めた。
また、映画作りの意義について「世間は目立つものにスポットライトを当てるけど、私たちの人生一個一個、それぞれに全部光が当たっていると思っていて、私自身の映画ではいつもは光の当たらない場所に光を当てて作っているつもりです」。最後に「生きている限り、映画を作り続けます。どうかまた映画を持って戻ってくるとき、劇場でお会いできたらうれしいです」とメッセージを送った。