大阪2歳児死亡 虐待リスク一時「最重度」も市は家庭訪問せず
産経ニュース / 2022年7月5日 20時9分
大阪府富田林市の自宅で小野優陽(ゆうは)ちゃん(2)が半日近く放置され、熱中症で死亡した事件で、管轄する児童相談所は約2年前、逮捕された祖母と入浴中に優陽ちゃんがおぼれた事案を受け、虐待リスクを「最重度」と判断していた。児相の指導で虐待リスクが下がったとして対応を引き継いだ市は、事件まで家庭訪問をしないまま、さらに見守りレベルを下げていた。
児相によると、令和2年1月、優陽ちゃんが実父の実母に対する暴力で「心理的虐待」を受けたとの通告を大阪府警から受理。祖母の小野真由美容疑者(46)に引き取られ、5人暮らしが始まった。しかし優陽ちゃんは同年6月、入浴中に小野容疑者が数分間目を離した際に溺れ、心肺停止状態となって救急搬送された。
一命を取りとめ後遺症もなかったが、児相は溺れた原因を小野容疑者の「安全配慮不足」とし、ネグレクト(育児放棄)に当たると判断。児童福祉法に基づき、虐待リスクを「最重度」と位置づけ、一時保護なども検討される「要保護児童」と認定した。
児相は小野容疑者に対し、約4カ月間に複数回の面談や家庭訪問で指導。反省の態度を示し、退院後の優陽ちゃんが公立保育園に通ったこともあり、同年10月に対応を市に引き継いだ。翌月の市との協議で虐待リスクを2段階下の「中度」とした。
昨年6月、「仕事で送迎が難しい」という小野容疑者が保育園を退園させた。外部の目が届きにくくなったが、市などは昨年12月に「要保護児童」から「要支援児童」へと見守りレベルを緩和した。市によると、健康診断などの際に優陽ちゃんの様子に異常はなく、小野容疑者から優陽ちゃんの発達状態について相談も寄せられていたことなどから「子育てに前向き」と判断したという。ただ、事件まで一度も家庭訪問は行わず、優陽ちゃんが閉じ込められた乳幼児用の柵なども把握していなかった。
要支援への緩和について、市の担当者は「虐待が確認されず危険が差し迫っていたと判断できなかったので、女児の死亡も想定できていなかった」と釈明。児相は「判断は適正だった」と主張している。
児童虐待に詳しい東京通信大の才村純名誉教授(社会福祉学)は「虐待は家庭で起きるので、原則的にすべての事案で家庭訪問は必要」と強調した上で、「ネグレクトの場合は身体的虐待と違って兆候が見えづらく、家庭環境を確認すべきだ」と指摘。富田林市では昨年度、職員7人で966件の虐待事案を担当しており、「1人当たりの担当事案が多いと丁寧な対応ができないこともあり、検証の必要がある」とも述べた。
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