モラハラで別居、風俗で働く長野市の女性「世の中普通の家庭ばかりだと思っているの」

有料会員記事
子どものために購入したパンや菓子でいっぱいになった袋を持つAさん=6月下旬、長野市

■子2人の子育て 「助けてくれない 政治は遠い世界」

 両手のポリ袋にはタマネギや食パン、スナック菓子…。30代の女性Aさんは6月下旬、仕事を終えると自宅で待つ小学生の長男と長女のために用意した袋いっぱいの荷物を持ち、帰路に就いた。

 長野市で子ども2人と暮らす。夫とは3年ほど前から、モラルハラスメント(精神的虐待)が理由で別居している。日常的に続く言葉の暴力に耐えきれなかった。生活費を入れてもらえないため、別居とほぼ同じ時期に始めたデリバリーヘルス(派遣型風俗店)の仕事で家計を支える。

 夫は長男が生まれた後、自宅に帰らない日が続いた。理由を聞くと「仕事が忙しい」と答え、問い詰めると「稼いでいる俺に文句を言うな」「女は家庭を守ってろ」と怒鳴られた。初めての子育てに不安が多かったが、怖くて相談できず孤独を深めた。

 「2人目の子どもができれば家族に関心を持つかもしれない」。そう期待したが、長女に恵まれても何も変わらなかった。家事はせず、たまに…

(残り847文字/全文1275文字)