『モナリザ』 糸車の聖母 | レオナルド・ダ・ヴィンチの小部屋~最後の晩餐にご招待

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1510年 『糸車の聖母』 作者不明

時価70億!盗難のダビンチ作品「糸車の聖母」発見

2007年10月5日8時52分配信 産経新聞
 【ロンドン=木村正人】2003年8月に英スコットランド南部の古城から盗まれ、行方不明になっていたレオナルド・ダビンチの名画「糸車の聖母」(時価約70億円)が4日、北部グラスゴーで見つかり、英スコットランド警察当局によって回収された。英BBC放送が伝えた。
 この事件では4人が逮捕されたが、「糸車の聖母」が発見された経緯は明らかになっていない。「糸車の聖母」は、1501年に描かれた作品で聖母マリアに抱かれた幼いイエス・キリストが糸車を手にしている。
 4人は作品の売却交渉に入っていたとみられる。古城を所有するバックリー公爵は美術収集家としても知られ、9月に83歳で亡くなっていた。

2003年に個人所有されていたとする『糸車の聖母』が盗難にあっていましたが、2007年に見つかっています。
ただ、この時は活字の情報のみで、発見されたという絵は、はっきりと確認できていません。
新聞でも発見された絵は公開されていなかったものですから。
ただネット上で検索すれば、個人のサイトなどで、上の絵と同じ構図でもっと色彩が明るい絵の画像が流れています。

ちなみに上の画像は、Web Gallery of Artに、ダ・ヴィンチのコピー作品として分類されていたものです。上の画像は1510年制作となっていました。
↓ ↓
http://www.wga.hu/index.html)

糸車の聖母は、レオナルド派によってヴァリエーション作品が10点はあるそうです。
下の絵は1501年に制作されたものです。作者はやはり不明。これもWeb Gallery of Artにあります。
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昨年フジテレビで公開していた、フランスの田舎で発見されたという『ラロックの聖母』。
公式サイトで一般に研究資金の募金を募っていましたが、ダ・ヴィンチの真作とでも言うなら価値は数十億になるのです。
募金に頼らず頑張ってほしいものです。


・・・本題に戻ります。

ダ・ヴィンチが『糸車の聖母』の構図の絵を描いていたのは、本当だと思います。

なぜかというと、『糸車の聖母』のヴァリエーション作品は10点ほどあるそうです。
それだけの数の絵があるからには、絵の元となる師ダ・ヴィンチの存在は欠かせないでしょう。
ただ、ダ・ヴィンチの手による真作絵画が、どこにあるのかは不明です。
盗難されて発見されたものが真作であれば、すごいことなのですが、
2007年に発見された後、どこのメディアもこの『糸車の聖母』のその後にふれず、ダ・ヴィンチ特番を組んだ番組さえも、この話題に触れないことを見ると、あれはヴァリエーション作品だったのではないかと自分は疑っております。


『糸車の聖母』のヴァリエーション作品を、ネットであちこち捜しましたが、
下記2点の他、個人のサイトで見つけた1点の、3点のみです。
左の盗まれたとネットで言われている画像は、色彩がやけに明るいのですが、①の絵と、もしかしたら同じもので撮影時の環境の違いでこんな色合いになったのかな・・・と、思う面もあり。正直なところ4枚目にあたるのか①の絵と同じなのか判りません。
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①と③の画像は、Web Gallery of Art(URL : http://www.wga.hu/)の中のものです。
レオナルド・ダ・ヴィンチのコピー作品として分類されていました。

②の画像は、左の盗難されていたと言われている画像に、大きな木を自分が書き加えたものです。
実際は、全体的にセピア色で大きな木が描いてある『糸車の聖母』のヴァリエーションがあったのですが
それには個人のサインが含められている画像でしたので、著作権に関わるかと思い、自分のブログでは
公開しませが、大体こんな大きな木が描かれていたものだと思ってください。


3点に共通していえる事は、聖母と幼子の構図は同じです。
3点とも違うのは背景です。

3点のうち、一番早く描かれているのが、③の1501年のもの。
①の絵は1510年。②は年代が判りません。

早いもので1501年に描かれているということは、真作はもちろんその前に出来ていることになります。

果たして『糸車の聖母』の真作が何年に描かれたのか?
『モナリザ』よりも、先に描かれていたと自分は思います。

『糸車の聖母』

『糸車』は、聖母マリヤのアトリビュート(持ち物)です。
天使が聖母マリヤに受胎告知をしに行った時、マリヤは書物を読んでいる場面が多いのですが、古くには糸を紡いでいた場面もあったそうです。
世界遺産となっているクロアチア、エウフラシウス聖堂に、受胎告知の場面のモザイクがあるのですが、その聖母マリヤはつむぎ糸を持っているそうです。


その聖母マリヤのアトリビュートを、ダ・ヴィンチは幼子イエスに持たせています。

イエスの持つ糸つむぎの器具には、まだ何の糸も紡がれていません。

器具の先端はまるで、イエスの十字架を象徴しているかのようです。

幼子イエスの視線は、いつか十字架にかけられ天に還っていく自分の行く末を見つめているかのようです。


・・・続く。