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ドナルド・トランプと戦った謎多き日本人 その最期は未解決

2022.06.28 公開

1992年1月。河口湖畔の近くで不動産会社社長の54歳の男性が殺害された。日本刀のようなもので数十箇所刺され、家には高額な現金や宝石などは盗まれておらず、怨恨による殺人の疑いで捜査が行われたという。

この男性の死に、前アメリカ合衆国大統領・ドナルド・トランプは「私は、彼とのゲームが大好きだった。彼は大金で勝負するプレイヤーだった。私のホテル経営が破綻していたとき、彼からたくさん稼がせてもらったよ」とコメントを出していたという。

実は、殺害されたこの日本人男性はかつてトランプが最も恐れたという人物だという。彼の名前は柏木昭男。

1990年当時43歳のトランプはニューヨークの中心地・マンハッタンにそびえ立つトランプ・タワーなど数々の不動産物件を手がけ、アメリカ東部アトランティックシティに、カジノ付きの豪華なホテルも経営し不動産王としてその名を轟かせていた。が、その一方で世界的な金融危機により不動産経営は厳しい時代に突入しており、大富豪トランプでも銀行への返済が滞ってしまうほどだった。トランプはこの事態を乗り切るために現金を作るためカジノの売り上げをかける施策を行っていた。

そんな中、トランプは世界各地でカジノを経営するヨーロッパの大物と会食をし、その際に「50過ぎの男性だったんですけど 彼は間違いなく世界最高のバカラギャンブラーの1人でしょうね」とある日本人の話を聞く。

彼が言うには「1回にかける額は、2900万円。それを10時間以上酒も飲まず勝っても負けても表情1つ変えず、集中力を切らすことがないんだ。そんな感じでほぼぶっ通しで勝負は1週間続いてね」と、結果オーストラリアのカジノ店が29億円負けたのだという。

その男こそが柏木だった。柏木は10代の頃富士山など山頂に荷物運びをする強力という仕事で金を稼いでいたという。そして、1964年アジアで初めてのオリンピックが東京で開催されることで土地が値上がりすることを予測し、20代半ばの頃に不動産業を学び、強力で貯めた金で土地を売買したという。そして柏木の予想通り、土地は100万倍にも跳ね上がり大金を手にしていった。

その後東京へ進出し、悪質とも言える手法で地上げを行い裁判沙汰になることもあったというが、結果財を成し不動産王に成り上がった。そして有り余った金で世界のカジノでプレイするようになりカジノ界でその名を馳せるようになっていたという。

柏木はオーストラリアのカジノで大勝ちしカジノ界で一躍有名となり、世界のバカラプレイヤーの5人のうちの1人と呼ばれるほどになった。トランプは柏木という男性に興味を持ち始め、柏木について部下に調べさせた。それによると柏木は日本の不動産王で、オーストラリアでは大勝ちしたがラスベガスでは、600万ドルも負けたこともあり、柏木の資産は10億ドルを超えると推測されるという。

柏木のように、10億円もの金を賭けてくる人物をカジノ界ではホエールと呼ばれるが、トランプは「カシワギのようなホエールがうちのトランプ・プラザのカジノに来てくれれば、大きな宣伝になる。どんな方法を使ってでも呼び寄せるんだ」と部下に指示し、トランプは柏木を自分のカジノへ呼ぶ画策を始めた。


しかし、一方で柏木にギャンブルで勝たれたらカジノ自体の経営が苦しくなるリスクもあった。が、この時トランプは経営者よりもギャンブラーとしての血が騒ぎ「カシワギを倒せたら、自分の名が売れる……」と思っていたという。

 そんなトランプに絶好のチャンスが訪れる。トランプは当時、ボクシングヘビー級チャンピオン37戦無敗のマイク・タイソンの試合相手や会場を決めるプロモーターを行なっており、次の試合場所に日本を選んでいたのだ。

当時日本はバブルで、ニューヨーク・マンハッタンのシンボルとも言える高層ビル群、ロックフェラー・センターを日本企業が買収するなど、日本の投資家が、ニューヨークの不動産を買う好景気。部下は「来月、マイク・タイソンの防衛戦を観戦に東京に行かれた際、前夜祭のパーティーで日本の投資家に集まっていただきます。日本のお金を、我が社に流してもらいましょう!ぜひ、アピールしてください」と提案。その際に柏木にも声をかける予定だという。

そして1990年2月、マイク・タイソンが日本に訪れる。その裏でトランプと柏木は対面し、トランプは日本の投資家たちにアメリカの物件を紹介していた。そこでトランプは柏木に「タイソンと記念撮影でもどうだ?遠慮なく撮ってくれ」 と写真撮影を進めるが、柏木は「ノーピクチャー!」と答え、帰ってしまった。 接触失敗と思われたが、翌日トランプ・プラザのカジノに来ることが決まり、カジノでトランプと対決することが決まった。

タイソンの試合から数日後、柏木はニュージャージー州にあるトランプのカジノへ訪れたが、2日間ホテルに籠り、カジノには訪れなかった。そして3日目ついにカジノへ繰り出すことに。柏木は1回で2900万円を賭け、1日目の結果は柏木が23回連続で勝ち、大逆転していた。なんとカジノ側が負けた金額は5億8000万円にも及んだという。

さらに2日目も同じように賭け続け、2日間で柏木は8億7000万円も勝った。負けたトランプは部下にこれまでにゲームのデータを分析させ、柏木のクセを探し、なんとしてでも金を奪い返す作戦を実行!確率の専門家の数学教授を呼び、柏木を倒す作戦を考えた。

数学教授は「ハウスエッジをいかす方法が1番勝機はあるでしょう。ですので、ゲームの回数が多くなればなるほどカジノ側の勝つ確率は上がります。いかに、ミスター・カシワギに長い時間ゲームをさせるかです。1日10時間、1週間以上は続けてほしいですね」と提案。

長くゲームをさせるために、トランプは柏木に挑戦状を送った。そこには「ミスター・カシワギに1200万ドル(約17億円)用意していただき、カジノを楽しみませんか?あなたの勝ち分が倍になるか?全ての賭け金を失うか?私と勝負しませんか。あなたがトランプ・プラザのカジノに再び来ることを信じています」と書かれていたという。

柏木はトランプの企みに気付いていたとも思われるが、勝負を受けることに。こうして、最初の戦いからわずか3ヶ月後、柏木は再びトランプのカジノに訪れ、17億円をかけた大勝負が始まった。柏木は前回同様、毎回3000万円ほど賭け、約6億円の勝ちを出した。翌日も柏木は勝ち続け、ルールの1200万ドル勝つまで残り300万ドルとなっていた。

トランプの予測を裏切る結果に、トランプは焦りを見せ始める。が、そこからゲームは急展開。なんと柏木が数時間でおよそ7億3000万円負けたのだ。そして翌朝まで勝負を続け、6日目にカジノ側が逆転をし始める。逆転の報告を受けたトランプは最初のルールを変更し「1000万ドル(約15億2000万円)になったらゲームを終了しろ!」と指示。大逆転を恐れたのか、強制的にゲームを終わらせたトランプ側は1回目の負けを差し引いても400万ドルの勝ちとなったという。

この戦いはさまざまなメディアで取り上げられ、トランプは「ミスター・カシワギは、実にギャンブルのプロだ。私は敬意を払います」とメディアにコメント。カジノ界では、顧客情報を公にするのはタブーとされているがトランプはそれを無視し名前を言ってしまう。これにより柏木の情報は日本にも伝わり、自宅に多くの取材者が訪れるようになってしまう。が、柏木はメディアの前には一切出てこなかったという。

そしてそこから2年後。日本刀のようなもので数十カ所刺され、殺害されて発見された柏木。警察はすぐに捜査したが、犯人につながるものはなかったという。実は柏木は、様々なところで多額の負債を抱えていたという情報もあったといわれている。皮肉にも同じ年にトランプが経営するカジノホテルは、多額の負債を抱え、倒産したという。柏木を殺害した犯人は見つからず、時効となり未解決事件となっている。

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