<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~ 作:折本装置
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□【猛牛闘士】サンラク
あの後、外道産のムカデ爆弾で吹っ飛ばされた俺は当然、デスペナルティになった。
で、すぐ後にログアウトしてきた玲と、煽りを交えてメッセージを送ってくる外道共から事情はきいた。
<UBM>は倒せたし、特典は玲が獲得したらしい。
話を聞く限りだとキヨヒメのスキルがコアを八つぶっ壊したらしいので妥当ではあるか。
さらに言えば、フィガロが子供たちを送り届けたことで、クエストも達成済みのようだ。
土竜人からは、達成報酬としてかなりのアイテムや金銭をもらえたらしい。
俺と玲の分ということで、報酬の半分を受け取ったんだとか。
加えて、<這いよる混沌>をぶっ潰したことで冒険者ギルドから多額の賞金がもらえたそうだ。
これに関しては、なんと全額俺達が受け取ることになったらしい。
シュウもフィガロもそちらには興味がないらしかった。
それと、玲は特典が少々……いや、かなり癖が強いものだったので、扱いに困っているらしい。
正直、俺も詳細を聞いてそれどうすればいいんだ、と思った。
まあ、ティックに相談すればどうにかなるかな?と俺は思っている。
それに類する話を、確か本人から聞いた気もするし。
その後俺たちは丸一日ゲームなしで過ごした。
俺にしては珍しいが、まあこんな日がたまにあってもいいだろう。
うん?ゲームをせずに何をしてたかって……いや別に俺達が何しようが別にいいだろ、プライバシーの侵害だぞ。
騒ぐな脳内ディプスロ。
◇◆◇
んで、デスぺナが明けて速攻でログインしたわけなんだが。
「どっちが勝つと思う?」
「うーん、初見同士ならさすがにサンラク君じゃない?サンラク君に十万リル」
「甘いねペンシルゴン。二人は共闘しているはずだから、ある程度手の内は割れてるはずだよ。フィガロに十万リル」
「お、賭けか?じゃあ俺はフィガロに二十万リルだ!」
『ビシュマル……。前々から言おうと思っていたが、お前は賭け事に向いていない。止めた方がいいと思うぞ』
「いや!今日はいける!そんな気がする!」
「団長……。あの人?何かな?変態?」
「ネイ、失礼だぞ。……《鑑定眼》が効かないから<エンブリオ>かな?」
「サンラク君!が、頑張ってください!」
「……応援。父上が勝つように応援しています」
『それじゃお互い、準備はいいクマ?』
「うん、僕はもう大丈夫だよ」
なあ、誰か教えてくれ。どうしてこうなった?
いや、ログインした後、ギデオンでフィガロと再会したはいいんだけどさ。
フィガロから決闘してくれって言われたんだよね。
まあ、決闘ランカーだし、対人戦が好きなのはわかっていたけどさ。
この状況でやるの?
なんか結構俺も知らん人がいるんだけど。
多くないか、見に来てるやつ。
あくまで闘技場の結界をレンタルしてるだけで大会とかでも何でもないはずなんだが?
こんな大勢の前でやるとか聞いてないんだが?
「おやおやあ、サンラク君。どうしたのかな?へいへいピッチャービビってるー!」
「いやいや、あいつはむしろ投げられる側でしょペンシルゴン」
『お前ら後で覚えとけよ……』
デンドロではPKのペナルティないからな。
こいつらさっき知ったけど”嵌め殺し”だの”嬲り殺し”だの呼ばれる有名なPKらしいし容赦する必要はない。
外道死すべし慈悲はないのだよ。
「サンラク……大丈夫かい?」
『ん、ああ大丈夫だよ』
ま、こいつと決闘ってのは嫌じゃないし、楽しそうだしな。
知らないやつらとか、知りすぎてる外道共とか、そういう奴らはとりあえず置いといて、さ。
ふと、俺のほうを見ているレイと目が合う。
こちらを一心不乱に見つめる目は、少しだけ照れくさくて、それ以上に頼もしい真剣な目だ。
「ごめんね、随分といつの間にか、人が集まってしまったみたいで」
フィガロはすまなさそうに謝ってくる。
まあ別方向に視線を送ってれば邪魔者と取っていると思われても仕方ないか。
そうでもないんだけどな。
『いや、気にすんなよ。大事なのは今この瞬間、向かい合ってる俺とお前だ。そうだろ?』
「……うん、そうだね。楽しもうか」
そう、あの時、今目を輝かせてこちらを見ている彼女が言ってくれたように。
今はただ、この瞬間を楽しもう。
「さあ、やろうか、サンラク!」
『ああ、やろうぜ!フィガロ!』
フィガロは爪を、俺は双剣を持って駆け出す。
よし来い!
ぶっ飛ばしてやる!
To be Next Episode
ここまで読んでくださってありがとうございます。
この後は、いくつか閑話を上げようと思います。
三章は随分先になってしまうと思います。
活動報告上げてます。