<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~ 作:折本装置
二日連続更新です。
明日も更新できるよう頑張ります。
□■<這いよる混沌>本拠地最奥部
『推測。あのバリアは、魔法を素通りさせていました。おそらくは物理防御に特化した、キメラ特有のENDの低さを補うバリアだと推測します』
『そっか、となると俺じゃキツイか……。レイ、ドラゴンは任せた。俺は赤ちゃんもどきを倒す』
「任されました!」
『承知』
いや、球状の液体ん中入ってる人型ってもうあれにしか見えんのだよ、とサンラクは内心でつぶやきながら、【捕食泥濘】へと向かっていく。
「「「「「GUUUUUUUUUU」」」」」
そちらを無視して、【五色頭竜】はサイガ‐0へとブレスを吐こうとする。
それは、異なる属性のブレス。
物理防御バリアを張る中央の首以外は、すべてが異なる属性のブレスを使用する。
炎、雷、闇、風の四種類。
それら一つ一つが純竜と同等かそれ以上の出力である。
後衛ゆえ肉体的ステータスの貧弱な彼女では、かすめただけでも死に至る。
レイを狙うのは、その肉体ステータスの弱さを見抜かれたか。
あるいは、先ほどの特殊弾でダメージを負わなかったことから、弱いと判断して先に消そうと判断したのかもしれない。
いずれにせよ当てれば必殺のブレスが、まさに放たれようとして。
「「「GUU、A?」」」
放たれる前に、左側二つの首が爆発し、胴体も含めて左半身が炎上した。
「「「GU、GUAAAAA!」」」
残る二つの首も体の大半が破壊し炎上する痛みに発狂し、ブレスを吐くどころではない。
かろうじて物理防御のバリアは保たれていたが。
【五色頭竜】は残った三つの脳をフル回転させて原因を探る。
いったい、何をされたのか。
遅効性の爆発魔法でも仕込まれていたのか。
こちらの観測できない手段で何らかの攻撃を加えたのか。
そもそも物理防御力を犠牲にしてまで得た魔法や炎熱への耐性をどうやって突破したのか。
何もわからない、わかるはずもない。
【五色頭竜】の炎上の原因の半分が、自分自身の攻撃――
突然の自爆、しかしそれはキメラの不具合ではなく、別の原因によるもの。
そしてそれこそが、キヨヒメが上級進化で獲得したスキル。
その名を、《
《
《恋獄降火》は相手に対して一切のダメージを与えるものではない。
ただ単に――
のちに王国の中でも最も恐るべき<超級エンブリオ>に至るものと同じ、耐性の消去。
まして《恋獄》は炎熱耐性の消去に特化しており、その点においては<超級エンブリオ>のスキルをしのいでいる。
熱への強力な、それこそ上級奥義を軽症でしのぐほどの耐性を持つはずの竜であっても、自らの炎のブレスで自爆する。
屋外であれば、日光に耐えきれず大抵の者が【火傷】の状態異常になる。
さらに複数打ち込めば、体温に耐えきれなくなり自壊する。
追尾と追撃を能力特性にしている<エンブリオ>にふさわしい能力だ。
魔力を魔法へと変する魔力式銃器としてはあり得ない効果のように見えるがそうではない。
これもまたあくまで魔法の一種。
【
それは、彼女が望んだ力。
前衛を務めるサンラクのために、より火力で貢献したいと欲して得た力。
「貴方たちがどれほど強いかは知りません」
それは事実。
彼女程度の《看破》では彼らの実力を測れない。
ドラゴンが五体つながっているのだから、恐ろしく強いことはわかるが。
「ですが、どれほどスキルや肉体で強く繋がろうと、私たちにはかなわない」
それは、レイとキヨヒメだけの話ではない。
そもそもがキヨヒメはレイとサンラクの絆故に生まれたもの。
だから。
「
サイガ‐0は、己の在り方を突き付けた。
そして、キヨヒメを構え、炎熱の弾丸を撃ち込んだ。
□【猛牛闘士】サンラク
さて、多分あっちのドラゴンはなんとかレイが処理してくれてるらしい。
うわ、爆発した。
この部屋めちゃくちゃ広い……それこそ二体のモンスターが普通に収まる程度には広いんだが、それにしたってブレスとか爆発とか……崩壊したりしないよな?
俺たちはともかく向こうのティアン達がつぶれたら最悪だぞ。
正直、避難させるべきなんだろうが……。
『そりゃ無理かあ!』
「SYUOOOOOOOOOOO!」
赤ちゃんもどきとの戦闘は、長期戦の様相を呈し始めていた。
なにせ相手は半分、というか八割がスライム。
攻撃は変幻自在、液状の体を触手のように動かして攻撃してくる。
さらに、液状の体を本体から放して様々な方向から攻撃してくる。
どうも距離に制限がある――一メートルくらいか?本当に短距離しか分かれられないみたいだな。
あと数にも制限あるっぽい。
だから避けるのは楽なんだけど。
『物理無効と魔法無効の両立はバグだろ!』
「「「SYUOOOOOOOOO!」」」
ええいうるさい一度に喋るな!
さて、こいつの攻略法は二つある。
一つ目、抜け穴を探る。二つ目、抜け穴を行く。
何を言ってるのかわからないし俺もわからないが言わせてもらおう。
一つ目は、ギミックの打破だ。
物理無効と魔法向こうの両立、それはスライムの物理無効とゴーレムの持つ魔力を吸収するスキルによるものだ。
確か、レジェンダリアでステラが言ってた気がする。ゴーレムは大気中は地脈の魔力を取り込んで動き出すものがほとんどだと。
で、スライムの物理無効は確認した通り。
だからコアになってるベビーゴーレムを物理でぶっ壊して残ったスライムを魔法で削り切る、これが一つ。
ただこれは不可能。少なくとも俺一人じゃ無理だわ。
このスライム、消化能力が半端ない。
普通に斬りつけた双剣が溶けかけてるし、俺のENDじゃ奥のゴーレムに届かない。
武器を投げても多分届かないだろうな、STR低いし。
レイにも物理攻撃手段はないし、だから俺が担当してるんだが。
で、二つ目の攻略法は、今やってるんだが……全然当たらんなこれ。
『もう十五回目だぞおらあ!はい十六う!』
「SYU」
うん?
あれ、これはもしかしてついに。
「SYUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」
『はっはあ!急に焦ってどうしたのかなあ!』
【双狼牙剣】のスキルの一つ、《呪怨狼牙》は右手の剣で攻撃した相手に【吸命】の状態異常を確率で付与する。
いやいくら十%とはいえ、試行回数十六回でようやく成功とか、やはり乱数はクソだよクソ。
【恐怖】になる《恐慌狼牙》はとっくに発動してたんだけどな。
おかげでだいぶ楽に回避できてるっていう。
こいつらスタンするときは分体も一緒にスタンするタイプだな。
多分本体が操ってるんだろうが、正直恐怖抜きでも躱せるくらい単純になってるからよろしくないよな。
さて、《回遊》による速度強化も含めて、これはもう勝ったといっても。
「SYUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」
『あ』
最悪だ、やりやがった。
本体が、大量に
一メートルが限界というのは、ブラフではない事実。
今人間やめたレベルのAGIで動体視力も上がってるから見える、飛び散った分体は離れた傍から消えてる。
だが、消える前に俺に降りかかる。
多すぎて、人に躱せるものじゃない。盾を使っても全部は防げない。
俺が溶けて、デスぺナになれば、レイも死んで、クエストも失敗して、それは。
『させるかああ!』
最後の切り札あ!《
人に躱せない弾幕をどうすれば躱せるのか、答えは簡単だ。
人間をやめればいい。
種も仕掛けもない。
ただ単に人間の関節の可動域を超えた挙動をしただけだ。
それでは体に負荷がかかり、【脱臼】などで動かなくなる。
その制限を《暴徒の血潮》で無理やりかき消す。
このコンボによって理論上便秘のような動きも可能になって……いやあそこまでは無理だな。
デンドロでは飛び散った肉片まで動かせんし。
「SYOOOOOOO」
『はっ』
で、まあ盾と関節をお釈迦にして回避したわけだけど。
お、ラッキーだね。
『随分
悪いがそこまで体積減ったら、もう削り切っちゃうよ?
まあ、これ以上何かされてもアレだし……終わりにするか。
◇◆◇
■□???
確かに【生命王】の作った怪物は強かった。
伝説級UBMと同等以上の存在。
スペックで言えば、彼等に勝てる道理はなく。
しかし、それでも。
光の塵へと変わっていく二体の怪物。
そして、すべてを出し尽くして、倒れる男に駆け寄る女と少女。
どう見ても、それは戦闘の決着
彼らの勝利だった。
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補足
サンラクの特典武具は確立になるかわり耐性ガン無視します。
普通に【呪術王】の耐性とかも貫通する。
余談
0.9の15乗は大体0.2。