サカナはいかにして上陸したのか?
ここまで、板皮類の重要な発見を見てきたが、時代が下ってデボン紀後期になると、サカナはやがて上陸を始めた。陸上を歩く脊椎動物の多くはあしで移動する。基本的に4本のあしであることから陸上の脊椎動物を「四足動物」とも呼ぶ。サカナから、どのようにして四足動物へと進化していったのか? その過程にも、重要な発見があった。
古くから肉鰭類のユーステノプテロン Eustenopteronが四足動物の祖先に近縁とされていたが、2006年にはカナダの地層から、同じく肉鰭類のティクターリク Tiktaalikが報告された。ユーステノプテロンは胸びれに、上腕骨、橈骨、尺骨に相当する骨があったが、それらの骨は、関節していなかった。つまり、腕のように使うことはできなかったのだ。しかし、ティクターリクの上腕骨、橈骨、尺骨は関節していた。
つまり、ティクターリクには「肩」「肘」「手首」があったのだ。そのため、ティクターリクは、サカナではあったけれど、腕立て伏せができたとみられている。さらには、「首」と「腰」も確認されている。ティクターリクは、まだ、あしではなく、ひれをもっていたけれども、からだのつくりは、かなり四足動物に近づきつつあったのだ。