戸川先生は、たとえば次のような先生だった。
・冬の日でも窓を開けていなければならない。寒いのに全員体操着でいなければならないし、それに元気にしていなければならない(無理にでも)
・授業中は姿勢を正しくしていなくてはならない。姿勢が悪いと背中に1メートルの物差しを入れられる。僕はよく入れられた
・下校前のホームルームはとても長い。戸川先生の作詞・作曲の帰りの歌を歌ってから、反省会みたいなものをやってようやく帰れる
・サッカー部に入りたくないのに男性はサッカー部に入れさせられる
・ビンタをする(これは痛かった)
アニメで見ている3年4組とはかなり違った小学校生活だったようだ。
特に浜崎さんが詳しく語っているのが、プールのこと。戸川先生は水泳の教え方も厳しくて荒っぽく、当時泳げなかった浜崎さんはプールの授業が嫌で、たびたび学校から脱走していたそうだ。それがきっかけとなってだんだん学校へ行かなくなり、浜崎さんの記憶に色濃く残る「悪夢」の日々が始まる。アニメの中の、毎日学校で楽しく悪ふざけをしているはまじとは違った、人間・はまじの一面を本書で知ることができる。
本書では言及されていないが、戸川先生の他にも、現実と違う性格で描かれているキャラクターがいる。まる子に甘い祖父、友蔵だ。さくらももこさんは現実の祖父について、エッセイで「全くろくでもないジジィであった」と述懐している。「こうならよかったな」とほのぼのとした理想の世界をつくったのが、『ちびまる子ちゃん』が国民的に愛されるようになった理由なのかもしれない。
※画像提供:彩図社
(BOOKウォッチ編集部)