懐かしい名前が甲子園に帰ってくる。18日開幕の選抜高校野球大会に広島商が出場する。春夏通算7度の全国制覇を誇る名門も近年は低迷し、センバツは実に20年ぶりという▼名門復活を陰で支えたのが、出雲市出身の大野豊さん(66)と達川光男さん(66)の元広島東洋カープバッテリーだった。学生野球資格を回復し、3年前に母校でもある広島商の指導を始めた達川さんが「(自分は捕手で)投手のことを聞かれてもよく分からない。協力してくれ」と、大野さんの資格回復を機に依頼。課題だった投手陣の強化に一役買った▼広島県内の他校でも指導している大野さんは、本紙コラム『真っ向勝負』(1月20日付)で「球児たちは素直で礼儀正しく、私の高校時代よりしっかりしている」としつつ、「目的意識を持ち、創意工夫しながら練習に取り組んでほしい」と注文を付けた▼カープOBと言えば、大野さんとともに「投手王国」を築いた鳥取城北高出身の左腕・川口和久さん(62)が実母の死去を機に昨秋、故郷鳥取市にUターンした。本業の野球解説の傍ら、農業に挑戦するという▼鳥取の球児のレベルアップを手伝いたいと意欲を見せる川口さんに、大野さんも「母校の出雲商など、島根県内の高校にも足を運べたら」と話す。プロ球団で投手コーチも務めた理論派の2人だけに、実現すれば成果が楽しみだ。山陰勢初の甲子園制覇に夢をはせる。(健)