初戦引き分けの後、カープは3連勝で王手をかけたものの3連敗。1986年のプロ野球日本シリーズは史上初の第8戦にもつれ込む。六回表、西武・秋山幸二選手の打球は左翼席へ。あらら、痛恨の同点2ランだ▲昭和のコイ党はあの光景が忘れられない。ダイヤモンドを1周した秋山選手がくるり後方宙返りしてホームインしたのだった。結局カープは敗れ、その後も4度目の日本一を果たせないまま。これぞ「西武秋山の呪縛」と呼ばずして何と呼べばいい▲それから36年たち、呪縛が解ける日が近づいてきた。同姓で、しかも西武出身。そんな秋山翔吾外野手が大リーグ挑戦にけじめをつけ、われらがカープの一員となる。あのバック宙の衝撃を上回る活躍を期待したい▲西武ではシーズン216安打のプロ野球記録や739試合連続フルイニング出場のパ・リーグ記録を打ち立てた。加えて俊足強肩で守備が堅いところがカープ向きとされるゆえんだろう▲しかも渡米して最初に所属したのが赤帽子に「C」マークのシンシナティ・レッズと、赤ヘルもばっちり似合う。ここは84年以来の日本一に輝いて呪縛を完全に解くために、まずはセ・リーグで大暴れを。