――そんなはずはないでしょう!
富野 まあ当事者がここまで言っちゃうと全部謙遜になるから、ひとつだけ偉ぶったことを言わせてもらうなら、そういう時代の渦中で、果たして技術力一辺倒でいいのか、帝国主義の大量消費社会に進んでいいのか、っていうことは当時から自分自身で疑い続けていました。そうなるとやはり人類は絶滅するんじゃないかっていう気分があって、『ガンダム』で象徴的に描いてみたら、やはり間違いなくそういうところへ行くっていうことがわかってきた。
理工科系の思考だけでいったら、おそらく地球は保たない。だからもう少し緩やかにモノを考えるというメッセージを、巨大ロボットアニメのジャンルでも発信していく必要があるんじゃないかなと思ったわけです。これに関してはそれを意識して作った作品があることを考えると、やっぱり富野はただ単に巨大ロボットものを作ったんじゃないんだよね、っていう自負はあるわけです。