樹木およそ900本の伐採計画がある明治神宮外苑の再開発で、文化財の保護に取り組むユネスコの日本国内の諮問機関が樹木をほとんど伐採せずに済むとする案を東京都に示しました。再開発計画をめぐっては、反対の署名なども出されています。これまでの経緯をまとめました。
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明治神宮外苑の再開発 樹木約900本伐採の計画 景観はどうなる?
大正15年に建設され東京・新宿区などにまたがる明治神宮外苑の再開発では、神宮球場と秩父宮ラグビー場の位置を入れ替えて建て替えるほか、複合ビルの建設などが予定されています。
事業者の資料では、再開発にともなっておよそ900本の樹木が伐採される計画です。
この計画をめぐっては、3月、再検討を求める署名も提出されました。
署名を提出したのは都内に住むアメリカ人で、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんです。
カップさんは、この計画が2月9日、有識者を交えた都の審議会で承認されたことを受けて、計画の再検討を求めてインターネットで集めたおよそ5万1000人分の署名を都に提出しました。
署名をくれた人には『こんな計画は知らなかった』という驚きの声が多かった。市民を交えた議論が十分にされないまま計画だけが承認されるのは、開かれた行政としてあるべき姿ではない。
4月15日には、具体的な計画が明らかになって以降、初めて、都や有識者が都民から意見を聞く会合が開かれました。
野球場なども古くなっているから更新しなくてはいけないことは理解できるが、再開発の大枠が決まったあとに意見を求められても、計画に反映させることは難しいのではないか。
住民に知らせる都の広報活動が不十分だと思う。木々や現在の美しい景観を残すよう努力することが賢明なまちづくりではないか。
都は出た意見なども参考にしながら、再開発を行う事業者に対して、樹木を極力保全するように求めていくということです。
計画に対して文化財の保存に取り組むユネスコの国内の諮問機関「日本イコモス国内委員会」は、26日、再開発の環境アセスメントを行う都に代わりとなる案を示しました。
案では、一部の車道を歩道に変えてスペースをつくることで球場とラグビー場を入れ替えずに今の場所で建て替えることができ、入れ替える場合に伐採される計画だった樹木を残すことができるとしています。
これらの対策などで、伐採する樹木を2本に減らすことができるとしています。
代替案は「日本イコモス国内委員会」のメンバーで、樹木の伐採に反対している東京大学の石川幹子名誉教授が設計しました。
東京大 石川幹子名誉教授
「計画に反対しているだけでは何も進まない。今回の案をたたき台にして樹木の伐採を極力少なくできる提案がどんどんでてきてほしい」