神宮球場などを建て替える明治神宮外苑の再開発で、周辺の樹木およそ900本を伐採する計画があることが分かりました。再開発の事業者は、代わりに1000本近い木を植樹する計画ですが、有識者は「樹齢100年を超える樹木も多く、景観が失われる」として懸念を示しています。
東京・新宿区と港区、それに渋谷区にまたがる神宮外苑は、大正15年に建設された都市公園で、エリア内に国立競技場や神宮球場、秩父宮ラグビー場などがあり、今後、一部が再開発される予定です。
再開発では、神宮球場と秩父宮ラグビー場が場所を移して建て替えられるほか、商業施設などが入る2棟の複合ビルが新たに建設される予定です。
国立競技場近くのこちらの林は再開発に伴い、多くが伐採される計画です。
事業者が1月、新宿区に提出した資料によりますと、再開発エリア内にある高さ3メートル以上の樹木1904本のうち、国立競技場南側の一帯や「聖徳記念絵画館」前の広場を中心に、892本を伐採する代わりに、エリア全域に新たに979本を植樹するということです。
有識者は「樹齢100年を超える樹木も多く、景観が失われる」として懸念を示しています。
現地を調査 東京大学 石川幹子名誉教授
「伐採される木のなかには赤松やスダジイ、くすのきなど大正時代に植えられた樹齢100年を超える樹木が多く、新しい樹木を植えたとしても代わりになるものではない。当時の都市計画に基づいて植えられた樹木であり、歴史と文化のある景観が一気に失われてしまう。しっかりと説明して、もっと議論するべきではないか」
都は、こうした計画について9日有識者を交えた審議会を開き、都の担当者は「事業者からは日本らしい樹木を植えると説明があり、さらに緑ある環境を作るものと認識している」と説明しました。
東京都は審議会で再開発の計画そのものは承認しました。ただ、樹木の伐採については今後、都が事業者と協議を進めるということです。