[ベルリン 23日 ロイター] - ドイツ経済省は23日、ロシアからの供給減と価格高騰を受け、天然ガスに関する3段階の緊急計画で第2段階の「警報」を発令した。ただ、高騰するガス価格を消費者に転嫁する条項はまだ発動していない。
ガス供給不足が長期化するリスクが高いと判断した。第1段階の発表は3月末だった。
ハベック経済相は「ガス供給の縮小はプーチン(ロシア大統領)による経済攻撃」としてロシアを批判。ガス配給制度の導入回避を望むが、可能性は排除できないと述べた。
「ドイツでは今後、ガスは希少資源となる。既に夏が始まっているため、われわれはガス消費を減らす義務がある」と強調した。
ロシア国営ガスプロムは先週、バルト海経由でドイツに天然ガスを送るノルドストリーム1の供給量を容量のわずか4割まで減らしており、ドイツが緊急計画の第2段階に移行することは見込まれていた。
ロシアは西側諸国の制裁が原因で修理済み設備の受け取りに遅れが生じているために供給を減らしているとし、意図的ではないと主張。ロシア大統領府は23日、同国は欧州での「義務を厳密に履行している」と表明した。
第2段階では、ガスの貯蔵に政府が150億ユーロ(158億ドル)の信用枠を提供する。また、工業部門にガスの節約を促すため、今夏からガスの入札モデルが開始される予定。
ハベック氏は、高騰するガス価格を企業や家計に転嫁する条項を発動する段階にはまだないが、供給逼迫と価格の高止まりが長引き、電力会社の赤字が深刻になれば発動する可能性があると述べた。
ドイツ公社協会(VKU)は政府に対し、補助金で消費者を保護しなければ、低所得の個人が公共料金を支払えなくなり、電力・ガス会社が破綻する可能性があると訴えた。
連邦ネットワーク庁のトップ、クラウス・ミュラー氏はガスの販売価格が3倍に跳ね上がる可能性があると述べた。
この日公表されたデータによると、ドイツの天然ガス輸入は1─4月に総量が前年比で22%減少した一方、輸入額は170%急騰した。
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